広岡達朗篇PART1はこちら。
‘89年の日本シリーズは、初戦からパ・リーグの覇者近鉄が一気に3連勝。巨人を土壇場まで追い込んだ。その第3戦、NHKラジオの解説は広岡。
勝利投手加藤哲はヒーローインタビューの際に
「どうですか巨人はパ・リーグのチームと比べて」という考えてみれば意地悪な質問に
「ここで負けたら(同年パの最下位チーム)ロッテに失礼でしょ」と思いっきり失礼なコメントをしてしまった。
※どうも誤解があるようなのでちょっと言っておくと、加藤は別に「巨人はロッテより弱い」なんて紋切り型のことを言ったわけではない。これはマスコミが例によって面白おかしく書き飛ばしただけ。逆にそのことを大きく曲解し、加藤は何も失礼なコメントはしていないのに、という人もいる。これも実は違っている。その際に広岡達朗はこんな解説を……
……クールきわまりない広岡は、「こんなことを選手に言わせちゃいけませんね」と、当時の監督である仰木に痛烈な皮肉をかましたのである。シャレのわからん旦那だな、コメントまで管理しろっていうのか、と当時カーラジオで中継を聞いていたわたしは思ったが、なんと広岡の予想通り、激怒した巨人は、第4戦から4連勝してシリーズを制覇したのだった。
よく、管理職のあり方として広岡や森の選手操縦術を信奉する人がいる。自信のない中間管理職あたりに特に。しかしそれは野球の見方としてやはり邪道だろう。わたしはあのとき、加藤哲が発したコメントの稚気を愛するし、冷静に突っ込んだ広岡の解説もまた野球の一部だと考えるだけだ。それにしても、1リーグになると、こんなコクのある場面ともお別れかあ……
選手のことを「あの子」と言ってしまう広岡流は好みではないけれど、管理だけの野球人ではなかったことで、いつか再評価されることもあるかもしれない。その日を期待して80点。
画像は第7戦で先制ホームランを放った駒田。ついでに先発の加藤に「バーカ」と意趣返し。こっちの方がよほど失礼である(笑)。
次回は中畑清篇。
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