後に銀閣寺と呼ばれることになる東山殿を建てた足利義政の物語。大河の「花の乱」を特集したときも痛感したけれども、応仁の乱の時代はさっぱりわからない。
奥さんの日野富子はこの作品ではやはり強烈なキャラ。政治的には見るべきもののなかった義政が、銀閣でめざしたものは何か。「銀閣の人」とは実は誰のことだったか、とても参考になる。
義政の執念が「わび」「さび」を生み、日本家屋というものを作り上げた経緯が、はたして事実だったかはよくわからない。しかし、作者の門井が学生時代に銀閣を訪れたとき「なんと平凡な」と失望したことが、むしろ義政の先見の明を立証しているのかもしれない。
まもなく特集する松岡正剛と田中優子の「日本問答」においても、この造りは本来ありえないはずだったのに、日本というものにぴったりと適応したあたり、納得。床の間とか、無駄な存在は義政がつくりだした。
いま酔っているので言っちゃおう。銀閣の人とは、日本人全員だったんです。書院造りは日本を席巻しました。その意味でこの書は面白かったー。
あなたの気持ちのなかにもないですか?極彩色できらびやかなものより、渋い鈍色のものが好ましいという気持ちが。
門井慶喜は現代のそんな日本人にも潜むわびさびをすくい取った。いや実はね、わたしは高校生のころからあの金閣寺が苦手で(修学旅行でも寺参りをしていないのに)、渋い銀閣寺をわけもなく応援していたのを思い出しました。応援してどうする。
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