「絶妙にむかつくな」
日曜劇場「グランメゾン東京」において、こう吐き捨てる木村拓哉は、いつものように木村拓哉だ。過剰にナチュラルというか。
そしてこのすねた演技は、みんなに嫌われているが料理だけは天才的という主人公に“絶妙に”フィットしている。
ミシュランの三ツ星レストランで修業し、パリの自分の店が二つ星を獲得している尾花夏樹(木村)は、アレルギー体質の政治家にナッツを混入した料理を供したことで名声を失う。おちぶれた彼と、料理の腕に自信を失い、パリで修業しようとする早見倫子(鈴木京香)が出会い、彼らは東京で新しいレストランを開くことになる。しかし尾花の汚名のために店の船出は悲惨なものだった……
かつてパリでいっしょに働いていたギャルソンの京野(沢村一樹……立ち姿がすばらしい!)、シェフの相沢(及川光博)、見習の平子祥平(玉森裕太)が再び集結し、あらたにパティシエに松井(吉谷彩子)、ソムリエールに久住(中村アン)、下働きに芹田(寛一郎)が加わるあたりの展開は、もちろん「七人の侍」の前半部分のよう。ワクワクします。しかもみんなそれぞれにドラマを抱えており、彼らがいかによみがえるかがドラマの核となっている。
これは、SMAPの解散騒ぎで批判の的となった木村拓哉がいかに復活するかともシンクロしている。思えばあの騒動のために、むしろ木村には陰影のようなものが加わり、その影が「教場」に結実したともいえるだろう。
日曜劇場らしく手塚とおるが憎々しげにライバルレストランのオーナーを演じ、「半沢直樹」的になるのもおかしい。後半になるにつれてコメディ色を強め、ドラマとして有機的になっていくのは「BG」と共通している。
おじさん(木村)とおばさん(鈴木京香)のラブストーリーに見せて、実は尾花をいちばん認めていたのが敵役のリンダ(冨永愛)だったという展開もにくい。ああキムタクドラマはやめられない。
次は「南極大陸」だ。っていうかこんなに好きなのにおれはなんにも見てなかったんだな。すまんキムタク。
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