事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2022年9月号 懲戒処分

2022-09-21 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2022年8月号「リフレッシュ特休」はこちら

さて、山形県教育委員会が不祥事を起こした職員にくだす処分にはどんなものがあるのか。何年か前に特集したことがあったので再録します。

1.訓告……口頭によるものと文書によるものがあります。ハードなお小言、ととらえることができるでしょうか。昇給には影響しません。しかし教育委員会などに、管理職といっしょに頭を下げに向かう情けなさはひとしお(経験者談。ええそうですとも、わたしのことです)。

2.戒告……厳にいましめる、という意味の処分。ここから上の処分はすべて文書によって行われ、履歴書に残ります(一定年数が経過すれば削除可なものもある)。『その責任を確認し、及びその将来を戒めるものとする』(昭和31年9月30日施行 市町村立学校職員給与負担法に規定する学校職員の懲戒に関する条例)ためのもの。昇給が遅れる効果があり、これが生涯賃金で考えるとでかい。

3.減給……『1日以上1年以下、給料の10分の1以下を減ずる』もの(同条例)。

4.停職……『停職の期間中、いかなる給与も支給されない』(同条例)と明記されています。期間は1日以上1年以下。職は保有するが職務には従事しないこととされています。つまり、公務員でありつづけるわけだから、バイトをするわけにもいかず、一切の収入を絶たれます。

5. 免職……要するに、クビ。退職手当も支給されず、あらゆる意味で放り出されることになります。
                                              
実はこのほかにも一般には知られていない処分も存在するようですが、まずほとんどは以上の五種類のなかから選択されます。

どのようにして処分が決められるのか、いちばんわかりやすいのは交通事故・交通違反でしょうか。ポイント方式なのです。制限速度を50キロ以上超過した暴走運転の場合は13点、30キロ以上は9点、無免許運転は21点、期限切れの無免許運転は8点などとなっています。

そして、8点か9点だと戒告、10点以上だと減給、16点以上だと停職、29ポイント以上をゲットした場合は免職です。

ひとつ大事な違反を忘れていないかって?そうです、飲酒運転ですよね。この場合はポイントもへったくれもなく、いきなり免職です。酒気帯びでも。なぜなら、事故には過失という側面があったとしても、酒を飲んで運転したことは明らかに“故意”だからです。

この、自分の意志でやった不祥事について、懲戒処分は厳しくなる法則が見て取れます。次号でそのあたりを特集しましょう。

画像は「鎌倉殿の13人」ふたたび。
映画館に行けてないのでこの大河をまた特集します。毎回毎回よくもまあこれだけ登場人物を死なせるよなあ……そんなダークなお話なのに、突き抜けた面白さ。暗殺者の梶原善の退場で泣かせ、予告なしに大竹しのぶが登場し、山本耕史の名探偵ぶりが光る。もう終盤に入っているのに、承久の乱はまだまだ先みたい。早く見たい気もするし、いつまでも続いていてほしくもある。ああ日曜日が待ち遠しい!

……てなことを言いながら「人事委員会勧告2022」につづく

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史劇を愉しむ 第29章「王妃マルゴ 無修正版」La Reine Margot(1994 ヘラルド・エース)

2022-09-20 | 洋画

第28章「ヘラクレス」はこちら

史劇を愉しむシリーズであると同時に「ヘアーの不毛」の新作でもあります。

史劇として愉しむには、フランスの宗教戦争について基礎的な部分を知らないときついかも。わたしは歴史知らずなので、あー、このドラマのラストでブルボン朝が始まったのかとようやく気づきました。

一応、世界史は高校時代に履修していたので

「聖バーソロミューの虐殺」

「ユグノー戦争」

「ナントの勅令」

あたりは“単語として”聞いたことがある程度。にしてもこんなに陰惨な話だったのか。

原作はアレクサンドル・デュマだから波乱万丈です。カトリックとプロテスタントが勢力争いを繰り広げていた1572年。国王の母カトリーヌは、平和のために娘のマルゴとプロテスタントのナバール王アンリを政略結婚させる。その結婚式のために人があふれかえるパリで、新教の指導者が暗殺されようとする。反発する新教徒たち。それを抑え込むために王室は……

まあ、歴史に興味があったというより、お察しのように「イザベル・アジャーニ」「無修正」というあたりがレンタルした動機です。もちろんアジャーニや他の俳優のヘアは出てきますが、性描写はむしろ控えめ。すさまじいのは虐殺で、まさしく死屍累々。こっちの方が劇場公開されたときにぼかしが入ったのか。

一説には1万人以上が殺されたというから、ヨーロッパ人もやることがえぐい。

男なしには夜をすごせない、と豪語する淫蕩なマルゴが、いかにしてある若者を愛し、そして王妃となっていくのか。

暗い話ではあるけれど、そこを突き抜けた感慨もある。フランス映画史上最高の製作費をかけた画面の質感がすばらしい。イザベル・アジャーニの色香にクラクラ。のちのアンリ四世を演じたのは「あるいは裏切りという名の犬」のダニエル・オートゥイユでした。

ヘアーの不毛篇「ヒッチハイク」につづく

第30章「ローマ帝国の滅亡」につづく

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鎌倉殿の 13 人 第 36 回「武士の鑑」

2022-09-18 | 大河ドラマ

第35回「苦い盃」はこちら

ほう、と見終えてため息をつく。大河らしい大河を観た思い。畠山重忠(中川大志)の乱……というより、りく(宮沢りえ)の讒言にのった北条時政(坂東彌十郎)の横暴に異を唱えただけなのだが。

この回のために重忠はしごくまっとうな人物として描かれており、だから彼の退場は北条の内輪もめへの格好のきっかけになる。

三谷幸喜の場合、陰惨な回こそコミカルにスタートするのが通例。時政に重忠を討てと命じられた和田義盛(横田さん、ほんとに早くよくなってください)の表情はさえない。

「いやあ、次郎(重忠)は見映えもよくて頭もいい。おれと同じ匂いが」

「(即座に)話を進めましょう」

ボケが義盛でつっこみが三浦義村(山本耕史)です。笑ったなあ。

この回は反語の連続で、「○○だけは殺すな」がすべて裏返ることになります。そしていくつもの父と子の物語でもある。重忠は北条の策略で息子を殺され、だから敵軍の大将となった北条義時(小栗旬)の弱点が息子である泰時(坂口健太郎)であることを見抜く。

そしてなんと三浦義村がジャッジをつとめる重忠と義時のナックルファイトへ。重忠の拳が御家人たちの反感であることを義時は十分に理解している。

合戦の場となったロケ地とその撮影がすばらしい。緑濃い、こんな美しい場所で高低差を利用した戦が行われたのかと納得させられる。

さあ、これで義時と義政父子の離反は不可避になった。そこへ北条政子というクッションを置くあたり、なるほど義時というのは悪いけれども周到な政治家だったんだなと。

っていうか波平とカツオの殺し合いにサザエが出てくるのかあ。しかもそれはカツオのコントロールによって。

第37回「オンベレブンビンバ」につづく

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「ラブ・アクチュアリー」Love Actually(2003 ユニバーサル)

2022-09-17 | 洋画

めずらしくロマンティックコメディを選択。クリスマスの奇跡の物語。

なにしろキャストがめちゃめちゃに豪華。

ヒュー・グラント

リーアム・ニーソン

ローラ・リニー

コリン・ファース

エマ・トンプソン

アラン・リックマン

キーラ・ナイトレイ

ビル・ナイ

ビリー・ボブ・ソーントン

マーティン・フリーマン

クラウディア・シファー

キウェテル・イジョフォー

そしてローワン・アトキンソン(笑)。

加えてジャンヌ・モローがカメオ出演しているのだ。いくら映画が好きじゃない人でも、ひとりも知らないってことはないでしょう?これは、脚本家のリチャード・カーティスの初監督作だったので、付き合いのある俳優たちがご祝儀代わりに大挙して出演したのかもしれない。カーティスはその後、あの「アバウト・タイム」を撮っています。

さて、たくさんのキャラクターが必然的に登場し、最初はエピソード集のように見える。しかし次第に彼らが微妙な関係を持っていることが明らかになっていく。かなりうまいです。さすが「フォー・ウェディング」「ノッティングヒルの恋人」を書いた人だけのことはある。

いかにもイギリス的な皮肉なやりとりや、首相(ヒュー・グラント)の前でおもわず四文字言葉を発してしまう公邸スタッフ(マルティン・マカッチョンが魅力的!)など、笑わせてくれます。

また、セックスシーンの撮影のために、スタンドインとしてからむ男女など、描写もかなり露骨。オトナ向けの艶笑譚でもあります。サウンドトラックもノラ・ジョーンズやジョニ・ミッチェルなどこちらも豪華。わたし、この映画が好きです。オトナですもの。

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「あの子とQ」万城目学著 新潮社

2022-09-16 | 本と雑誌

また吸血鬼のお話。あの万城目学が吸血鬼を主人公に!なんと魅力的な。

「愚かな薔薇」で恩田陸は吸血鬼を不老不死であることをキーに描いたが、この作品ではそこをちょいと変更。

不死を捨てたかわりに血も吸わず、昼日中でも活動できる吸血鬼の新世代が台頭する世界が舞台。そんな“進化”したヴァンパイアたちは、人間と変わらぬ生活を営んでいる。ただし、抜群の運動能力を保持しているため、なるべく本気を出さないようにしなければならないのだが。

しかしヒロインの17才の少女は、Q(吸?)という存在のために全力でQ(旧)世代と対決する。ラストが大活劇になるあたり、万城目ワールド全開です。

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「愚かな薔薇」恩田陸著 徳間書店

2022-09-15 | 本と雑誌

タイトルは意味深。賢い薔薇は、時がたてば枯れ、朽ちていく。しかし愚かな薔薇は、枯れることも老いることもない。つまり愚かな薔薇は不老不死の吸血鬼を象徴するフレーズなのだ。

ある田舎町に、宇宙船の乗組員をめざす少年少女が2ヶ月間にも及ぶキャンプにやって来る。長い航行を可能にするには、アストロノーツを長寿にする必要があり……

恩田陸が14年間にもわたって書き続けた大作。不老不死をはじめとした吸血鬼の約束事をSF的設定にうまくはめ込んでいる。

圧倒的に面白くはあったんだけど、人類の進化とは何かを問う物語の核が明らかになるにつれ、理に落ちすぎてはいないかとちょっと不満。ないものねだり。

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「看守の信念」城山真一著 宝島社

2022-09-14 | ミステリ

「看守の流儀」の続篇。

しまった。わたしは第2作を先に読んでしまったのだった。

いろいろな理由はあるけれども、この2作はどうしても書かれた順番に読まなければならなかったのだ。その理由のひとつは、ある高名な、そしてテレビドラマ化もされた某ミステリのトリックをうまくひねって使ってあることで、あのときも驚いたが今回もしてやられた。

この伏線があって第2作のラストがああなったわけか……ああやっぱり順番どおりに読むべきだった!

ってことで読み返してます(笑)

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ミズヒキ

2022-09-13 | 日記・エッセイ・コラム

ひまわり篇はこちら

「いやー伍長、久しぶりに出ましたねヒゲが」

「ヒゲじゃないっ。ミズヒキという由緒正しい花材でだな」

「奥さんに言われるまで気づきもしなかったくせに」

「刈り払い機でバンバン刈ってましたあ」

いやほんとにずっと刈ってました。っていうか、おれが花を活けてるっていうこと自体が今でも信じられない。世間から笑われていなければいいんだけど。

自宅まわりの花を全部消費するって態度はOKでしょ?SDGsでしょ(笑)

ススキ篇につづく

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鎌倉殿の13人 第35回「苦い盃」

2022-09-12 | 大河ドラマ

第34回「理想の結婚」はこちら

突っこみどころ満載の回。

思い悩む源実朝を、和田義盛(横田栄司さん早く元気になってください)は、とある老婆のもとへ連れていく。

「なんでも占ってくれるんだ。これがよく当たるんだ」

おっとぉ、坂本スミ子が生き返ったのか!まるっきり「楢山節考」における緒形拳のお母さんじゃないか。

「これ、誰だろう」

「ほら、さっきキャストに出てたじゃない。大竹しのぶでしょ」と妻。

ほえー。大竹しのぶもすごいけれども、特殊メイクの江川悦子さんはさすがの腕前。深緑野分の「スタッフロール」のモデルを、わたしは勝手に江川さんに決めて読んでました。

にしても大竹しのぶの登場をまったく予告しなかったNHKも、エッセイでもばらさなかった三谷幸喜もえらい。できることなら、彼女をもう一度登場させて「いだてん」の時のように

「また来週!」

と言わせてほしい。

さて、ヤヌスのように裏表がある義時の妻、のえ(菊地凛子)。彼女を初めて三浦義村(山本耕史)に紹介する。縫い物をしていたというのえだが……

「指に飯粒がついていた。握り飯を食べながら裁縫をする奴がいるか」

さすがに女を怜悧な眼で見ています。しかしこのふたりが向かい合うと、坂田銀時とメフィラス星人の対決って感じでうれしい。

さて、のえもたいしたタマで、男子を生んで北条家の家督をゲットすると息巻く。

「そうでもなければあんな辛気臭い男に嫁ぎません」

大河の主役を“辛気臭い”とは前代未聞じゃないか(笑)。

第36回「武士の鑑」につづく

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「ホテルローヤル」(2020 メ~テレ=ファントム・フィルム)

2022-09-10 | 邦画

「セックスは、善いものなの?」

気持ちがよいものなのか、という意味ではなく、人間にとってセックスは善きものなのかとヒロインの雅代(波瑠)は問う。

廃墟のラブホテル。若い男女が忍びこみ、ヌードの撮影をする。そしてそこに、このラブホテルが営業中だった情景が重なる。

生活力のない父親(安田顕)と、若い男との関係を続ける母親(夏川結衣)、それぞれに事情を抱える従業員たち。

彼らの生活は、少なくとも経済的にはセックスによって成り立っている。その多くのカップルは未婚か、不倫だ。自分もそのことに依拠していることを嫌悪する雅代(彼女はセックスの経験がないわけではない)だが、母親が家を出たことによって仕方なくラブホの経営に携わる。そこへ、性玩具の営業マンである宮川(松山ケンイチ)が現れる。

彼に、雅代は問うのだ。

「セックスは、善いものなの?」と。

わたしは若いころ、庄内地方のモーテルのほとんどを制覇し、同僚のために「庄内おもしろモーテルマップ」なる案内書を書き上げたふざけた野郎だ。そんなわたしでも、まだまだわからない。セックスは、善きものなんだろうか。

余貴美子岡山天音(近ごろ、何にでも出てる印象)など、脇役が渋い。主題曲はなんと柴田まゆみの「白いページの中に」のカバー。桜木紫乃が直木賞をとった原作は面白そうだなあ。読んでみよう。

主役の波瑠は透明感ありすぎ。性の匂いがまったくしない。あ、それも計算だったのか。

舞台は釧路だから、そこから酒田にやって来た妻が見ていなかったはずはない。

「まるさんつるやがね」

「?……??」

丸三鶴屋というデパートがあったらしい。その建物がまだあったので彼女はうれしかったよう。 

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