保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

闇夜に出没した‘鵺’(ぬえ)伝説

2005-12-27 14:57:43 | シリーズ・京都を歩く
昔、映画のCMで「鵺の鳴く夜は恐ろしい」
というコピーがあったのをご存知でしょうか?

一世を風靡した角川サスペンス映画の
CMでしたが、なんともおどろおどろしい
語りで、初めて聞いた時、背筋が
寒くなったを覚えています。

そのCMにも使われた‘鵺’にまつわる伝説逸話が
京都洛中にもあり、古くから京都人の間に
恐怖話として語り継がれています。


鵺(ぬえ)とは、陽が沈んだ暗黒の闇に生息する怪鳥で、
「平家物語」(第四巻)では
「頭は猿、胴体は狐、尾は蛇、手足は虎の如く」と表現されており
鳴声も不気味な奇声を発していたと伝えられています。

言い伝えによると、仁平年間(1151~54)の頃、丑の刻に
なると東の空に黒雲が広がり、太極殿や天皇の住まいなどが
ある大内裏上空までも覆いつくしました。
その黒雲から怪しい鳥のような鳴き声が聞こえてきて、
当時の近衛天皇が非常に怯えていたといいます。

そこで御所を警護していた源氏と平家の中から
弓の名手・源頼政が選ばれ、鵺退治にあたりました。

頼政はいつもように黒雲が広がってくるのを見計らい、
雲の中いる怪しい生き物目掛けて、矢を放ちました。

奇声を発して落ちてきた鵺に、頼政の家来達が刀で
トドメを差したのです。

仕留めた!という手応えがあった後、松明で
照らしてみたその姿が、上で述べたような怪鳥の
さまだったのです。

この時に頼政が矢のやじりを洗ったといわれる池が
二条城の北側ある「二条公園」に今も残っています。


鵺池といわれる馬のひずめ形をしたその池は、公園の最北西の角に
あり、足首ほどの浅い池です。今はきれいに整備されていますが
以前は池の周りを木々が生い茂り池水も殆どなく、逸話を実感
させる不気味な雰囲気を漂わせていました。

池の右側に退治された鵺を祭る「鵺神社」が建っています。

この「二条公園」は昭和9年に開園された児童公園で、
平成16年に平安京時代の遺跡跡(地業所や側溝など)を
復元整備されました。
平安京の頃は、宮内大路が通っていた場所。
太政官や宮内省、園韓神社などが建ち並ぶ中心地でした。
今は二条城とNHK京都支局に挟まれる位置にあり、
市民憩の公園として広い年代の人に利用されています。

また、この逸話以外にも不気味な話がいくつかある
公園として有名で、また機会があればお話したい
と思います。