保津川下りの船頭さん

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増水による川底の変化

2006-07-28 21:43:51 | 船頭
記録的な豪雨に見舞われた今年の梅雨後半。

保津川も2年前の台風23号以来の大増水となり、
私達の保津川下りも結局10日間の休業を余儀なくされました。

河川が増水すると川の岩や砂利、中州までもが流され
川底は大きく変わります。

保津川の下流に位置する嵐山でも増水により砂利の大量流入が
おこった模様で、ユンボが出動して川底の整備をしていました。

今、嵐山では「夏の鵜飼」を開催しているので、
鵜飼舟やそれを見物する屋形船が操船し易い様に
川底の掘り成らしているのです。

天下の名勝・嵐山の渡月橋を背景に作業をするシーンを
目撃するのは滅多にないことです。

改めて今年の梅雨前線のもの凄さを感じた次第です。

保津川でも川底の変化は起っているようで、船が通過する航路の
所々に砂利が積り浅瀬になっているようです。

この川底の変化は操船にも微妙な影響を与えます。

砂利や岩の流入により、川底の高低差に変化が生じ、
川の流れそのものが変化するのです。

以前は緩やかだった淵が砂利や岩によって絞られ、
水を吸い込む流れの強い瀬になったりするのです。

この変化はもちろん船の操船方法にも微妙な影響を与えます。

増水前とはあきらかに変化した川の現状、流れを素早く読み取り、
その流れに則したかたちの操船方法に切り替えるのです。

自然の流れに逆らうことなく、私達が自然側に合わせて
操船することが安全に船を流す最大のポイントなのです。

川の流れとは、まるで意志があるかのように力強く、
人間には一切の融通も利かせてはくれません。

私達はただその流れを読み、時には任し、時には外し
ながら船を操っているだけなのです。

自然は畏怖する存在でもあり、感動、感謝を感じさせてくれる存在です。

川で仕事をするという事は、即自然の姿を日々体感して生きること、
だと改めて感じる今日この頃なのです。