散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

3都市巡り(5) JRの旅の締めはここ

2014年07月19日 21時43分25秒 | 飲み歩き・琴似界隈
恵庭の名店再会を果たし、後は帰るばかり。ちょうどやって来たエアポートに飛び乗り、一路、琴似へ。幸い座ることもでき、今日は読書も捗り(電車乗りっぱなしなので4冊読了)、無事に到着した。

JR琴似駅に帰って来た時の締めは、琴似のバー「D」である。まずは夏向けのカクテル、ミントジュレップから。



少し大きめのグラスで隙間があるため、ミントの香りが上手く立っている。ウイスキーはメーカーズマークで、何だか甘みを強く感じるね。

2杯目は白州シェリーカスク2014年。山崎の強い華やかさではないが、シェリーの風味の後押しで、普通の白州とは全く違った味。この位の主張がちょうど良いのかも。

 

冷酒が徐々に効いてきて、本日の最後はちょっとひなびた味、アイル・オブ・ジュラ・スーパースティッションにしよう。



店を出たところで、まだ行ったことのない立ち飲み屋さんに行きたくなるが、自重して歩いて帰る。結果的に正しい振る舞いで、良かった。

3都市巡り(4) 名店再見

2014年07月19日 19時20分12秒 | 飲み歩き・北海道内
駅前工事中の恵庭駅に到着。



恵庭には2010年に訪問した私の大好きな名店「T」があったのだが、2012年に行ったときには閉店になっていた。まさかあれほどの店がただ無くなりはしまいと、時々調査をしていたのだが、やはり移転再開していたのである。場所は以前とほとんど変わらぬ恵庭の飲み屋街、久しぶりの訪問である。

 

さすがにかなりの距離を歩いたため、1杯目はビール。通しにはさらしくじらと花ニラの酢味噌という、実に珍しいものが出てきて、期待が高まる。さらしくじらは歯ごたえ中心で味はほとんど無し。ここに花ニラの少し癖のある風味が効いている。



これは単品よりお任せにしてみようかな。続いて生タコ、チップ、本マグロの造り。生ダコはすっきり良い歯ごたえと良い香り、チップは上品な脂がしみじみ美味い。マグロは脂がくどくないなめらかな舌触りである。ここであわてて〆張鶴純に切り替え、酒と刺身の相性を楽しむ。



次は大物、米ナスの味噌田楽である。ここでちょいと甘く熱いものが嬉しい(恵庭は結構涼しいのだ)。水気を十分に残した茄子が美味いね。



苫小牧から近いとあって、ここでホッキ貝の酒盗バター焼が登場。酒も田酒山廃にチェンジ。どう考えても美味いつまみなのだが、酒盗は本当に隠し味になっていて、過剰な押し付けがない。主役のホッキを生かした味付けである。ダメだダメだと思いつつ、貝に残ったバター汁を少々飲んでしまう。



レンコンのめんたいはさみ揚げ、万願寺唐辛子のエビ肉詰めが到着。本来、それぞれ単品でも出ているのだが、お任せにしたため2品同時に食べられるのが嬉しい。レンコンはサクサクとねっとりの中間の揚げ具合。万願寺唐辛子は辛くないのだが、揚げてあるせいかどこか辛い予感の香りがしてくるのが面白い。そこにたっぷりのエビ、これは美味い。



酒も残り少なく、じゅんさいが到着。周りにゼラチン質のプルプルがたっぷり。これは良いじゅんさいだと思う。



そして締めに稲庭うどん。もう大満足だった。



店を出て、送って下さった女将さんに、「何回かお伺いしていたのですが、場所が移転してから初めてです。前の店が閉まっていたときはショックでした」という話をすると、どうやら私の顔を覚えていたようで、非常に喜んでいただけた。私が恵庭とは何の関係もないのにやって来ているのを知って、少々驚いたようでもあった。

また、気分のいい夏の日に、伺いたい店だ。日の落ちて来た中、駅へと向かう。


3都市巡り(3) 前衛かあ…

2014年07月19日 16時51分20秒 | ART
白石から長躯、苫小牧へ。苫小牧市美術博物館は駅から遠い。とは言っても帰りの電車まで約2時間半あるので、歩いて行こう。3つの美術館を巡るにはどの順番で行くのが効率的かというのはあるのだが、今回は苫小牧を最後にしなければならなかったため、まあやむを得ないのだ。

■苫小牧市美術博物館「青森県立美術館コレクション展 アオモリ・アヴァンギャルド 堆積する創造のエネルギー」。苫小牧市博物館が美術博物館となってから1年。この展覧会はその1周年記念の特別展覧会である。

工藤哲巳「あなたの肖像」:ビーチチェアに巨大な頭部と体の溶けた破片のようなものが残されている。人類の進化の末の姿なのか、それとも人類が滅んでとてつもない年数がたったのか。
工藤哲巳「カゴの中のカゴの中のカゴ」:3重のカゴの中には、それぞれ目が配置されている。監視の果てか?
高山良策「UFO飛来者」:乳房が6個、頭部には手のようなものがついた奇怪な生物。バサバサの髪の毛がある頭部から直接足が生えた生物は、宇宙人というよりは、日本の土俗的な妖怪のようである。妙にくにゃっとした近未来的な黒電話が面白い。

棟方志功「御吉祥大辨財天御妃尊像図」:フルカラーで135×69センチ。すごく高そうだ。
阿部合成「田園」:画としてしっかりしている中に、歪んだあぜ道からシュールの香りが漂う。
阿部合成「海を見る詩人」:灯台に吸い寄せられる詩人。海にオレンジ色の灯火。なかなか奇麗である。

今純三「露天、屋台店さまざま青森県画譜第3集」:作者は「考現学」を唱えた今和次郎の弟だとか。実に細かいスケッチで、屋台の「やきとり、おでん、和洋酒、茶めし、牛めし、ライスカレー」という看板書きを伝えている。
今純三「乗り物いろいろ青森県画譜第10集」:今度は様々な乗り物の画に加えて、大通の交差点をどっちからどっちへ、何の乗り物が何台移動したかという調査書きが記されている。これ、出版されたら好きな人も沢山いるのでは?(へえー、今調べると1973年に出版されているのか)。
伊藤隆介「Aomori Blue」:モデルの回転とカメラの上下動で複雑な映像を作っている。モデルは基本的に3層構造で、上は青い色(但し、映像ではあまり青く見えない)、中は青森県美術館のイメージ(例の「あおもり犬」がいる)、下は土器の破片が埋まった地下空洞のような感じ。

ということで、面白い作品もあったのだが、セクション2の「”アオモリ”に堆積する前衛精神」は何となく困ったなあ。私の年代だと60年代後期から70年代の「ゼンエー」って、非常に痛くしか見えないのだよ。まあ、もちろん自分の年代のものが後の時代から同じように見られているのは認識しているけれども。



公園内の彫刻などを見ながら、苫小牧駅に戻り、次は恵庭だ。

3都市巡り(2) 時間が無い

2014年07月19日 13時21分08秒 | ART
小樽から札幌へ、札幌で乗り換えて野幌へ。セラミックアートセンターへのバスは1時間に1本程度しかないので、どうしてもここが交通のネックになってしまう。バスをやめてタクシーで10分でも稼ぐか、と思ったものの、アートセンター寄りの南出口にはタクシーがいない…。ショッピングセンター方面へ歩くが、流しのタクシーもいない…。地方都市の感覚をすっかり忘れていた私である。

結局、駅から2個目のバス停から当初乗る予定だったバスに乗車。待ち時間におにぎりを1個食べて本日の昼食は終了。

■江別市セラミックアートセンター「THE YUNOMI 湯呑茶碗展 -ちょっと昔の、やきもの日本縦断旅-」。結論から言うと、1時間以上かけて見るべき、大変面白い展覧会であった。

多分、40都道府県(無いのは青森、埼玉、千葉、山梨、徳島、宮崎かな?)と、朝鮮、台湾、中国の湯呑、合計279点が展示されている。ほぼ解説付なので、自分の好きなデザインの湯呑を発見し、解説を読んでメモするだけでも、ゆうに2時間近くはかかってもおかしくないのではなかろうか。

ああ、それなのに私に許された時間は、バスと電車の都合上30分しかないのである。まずはまっしぐらに全点見ることにしよう。

東佐右衛門「染付メートル法便覧湯呑茶碗」:岐阜の美濃焼で、大阪の食堂で、メートル法の周知を図るためか大量購入されたものらしい。こういうの好きだな。
三浦月艇「色絵地獄絵図共蓋湯呑茶碗」:愛知県の焼付焼。湯呑に賑やかな色彩で描かれた地獄。これでいいのか。
盈進舎「釉下彩蔦文共蓋夫婦湯呑茶碗」:兵庫県出石焼。白磁にピンクの蔦の葉が描かれ、上品。

越智角一「陽刻厳島神社文楽焼共蓋湯呑茶碗」:広島県一角焼。外側に厳島神社の彫物がされている湯呑。
好川亀「色絵陽刻蟹文湯呑茶碗」:愛媛県水月焼。外側のくぼみに埋まるように蟹が彫られている。結構、湯呑の外側に細かい彫刻がされている作品は多かった。見どころである。
松禾焼「青磁雷文湯呑茶碗」:非常に落ち着いたグリーン。使いたくなる。

お茶用の茶碗というのは全く触れたことが無いので実感がわかないのだが、湯呑は誰しもが触れたことのあるものだろう(最近はそうでもなかったりして)。そういう意味での経験値が高いので、「使ってみたい」「これ欲しい」という気持ちが素直にしてくる展覧会であった。

観覧料は450円なのだが、作品点数が多いせいかリピート券というのがついていて、これが300円。近くに住んでいたら、必ずや行くであろう。



バスに乗り野幌駅へ。また札幌方面に向かい、新しくなった白石駅で乗り換える。


3都市巡り(1) 朝一番は小樽へ

2014年07月19日 10時55分05秒 | ART
今日は久々にJRの一日散歩きっぷを購入し、見たかった展覧会をまとめて見に行くことにしよう。ということで、普通ならばバスの方が早く着くのだが、JR琴似駅まで移動し、小樽へ。

小樽に到着すると、まっしぐらに市立小樽美術館へ。ところで途中のアーケード街だが、午前11時までは車両乗り入れ可なのね。あそこを車が通ると、ものすごく違和感がある。

美術館の開館は9時半ということになっていたが、人がいると何となくフライング入室可のようである。時間がもったいないのでありがたい。

■市立小樽美術館「色彩の饗宴 巨匠たちの絵とパレット」。2012年の帯広美術館「画家の素顔 パレット&絵画」と基本的には同じだが、小樽美術館の作品展示されるなど、出品作には違うものがある。新鮮な気持ちで見ることが出来た。

三岸節子「祝祭」:30代後半の作。踊る女たちと、駆ける馬・猫などを描いた穏やかな茶系統の作品。
田辺三重松「パレット」:左端の黒、紺から右端の黄色、白まで色彩の移り変わりが見事である。
中村善策「パレット」:手前から植物の緑、農村風景、雪山があって、燃えるような空が描かれている。コンパクトなパレットに描かれているので、かなり細やかでいい「作品」になっている。

熊谷守一「パレット」:こんなに沢山の色を使ってないでしょ! と言いたくなる派手さ。
熊谷守一「たんぽぽに蝶」:このシンプルな作品の凄みがだんだん分かって来たのは、私の眼力が上がったせい?
安井曾太郎「実る柿」:立体感のある枝ぶりは、セザンヌに傾倒していたというのが良くわかる。

宮本三郎「観客席」:観劇の席に座る上流階級の3人を斜め上から描いた作品。古典的西洋画スタイル。
古沢岩美「薔薇十字マドレーヌ」:青い十字架に涙を流してもたれる女性の肌には、バラの紋様が。奇怪なほど明るい青緑の空も印象的。
パブロ・ピカソ「パレット」:白、灰色、黒のみのパレット。狙ってやってるね。
モーリス・ユトリロ「パレット」:カラフルな街角と歩く人々。時にユトリロの作品って薄いというか、間延びがして見えるのだが、これはコンパクトに良く描かれていると思う。



3階の一原有徳記念ホールを駆け足で見て、2階文学館JJ's cafeの田中眞理「昆虫・小生物細密作品展」も見る。

田中眞理「クロスジベニモンツノカメムシ」:背中のテカりの再現が見事。
田中眞理「エゾヒメエンマムシ」:黒々と丸い昆虫。存在感がある。

 

小樽駅にとって返し、江別方面へと向かう。