魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フィリピン魚91.テンツキチョウチョウウオ

2013年08月13日 21時34分38秒 | 魚紹介

最近フィリピン魚も更新していませんでした・・・。
チョウチョウウオ科のテンツキチョウチョウウオParachaetodon ocellatus (Cuvier, 1831)です。

テンツキチョウチョウウオは本種1種でテンツキチョウチョウウオ属を構成します。チョウチョウウオ科の魚は多くの属で背鰭棘数が10以上あり、タキゲンロクダイの仲間などでも8~9あります。一方でテンツキチョウチョウウオの背鰭棘数は6と、ほかの同科魚類と比べ少ないものです。

 
シルエットを見ても、チョウチョウウオの仲間のようには見えません。ツバメウオなどの仲間のように見え、実際にPlatax ocellatus Cuvier, 1831という学名で記載されました。実際にFalse batfishという英語名がありますが、Batfishというのは、ツバメウオの仲間を指します。最近はSixspine butterflyfishという英名がよくつかわれているようで、Fishbaseもこれを採用しているようです。
 
模様について。体側には5本の褐色横帯を有し、うち1本は他のチョウチョウウオの多くの種と同じく、眼を通ります。尾柄部には白っぽい縁取りがある黒色斑がありますが、これは成魚では薄くなるようで、その代わり背鰭、この写真の個体ではしみになっている部位にこの尾柄部の模様とにた模様が出現します。そして背鰭後方はとがるようになり、まさにツバメウオのような姿になるのです。
 
写真の個体は灰色っぽいですが、これは冷凍して色が落ちてしまったためです。冷凍しなかった個体は、もっとオレンジ色が強くて綺麗でした。
 
テンツキチョウチョウウオの稚魚。よく磯採集愛好家が使う言葉に「1円玉サイズ」とか「10円玉サイズ」とかいうのがありますが、この個体は1円玉サイズにあたるでしょうか。背鰭の部分にオレンジが強く出るのは、まったく別の仲間であるクロホシマンジュウダイを連想させますが、このクロホシマンジュウダイ科の魚もツバメウオを含むマンジュウダイ科の魚に近いとされるようです。
 
浅い海、サンゴ礁域やその周辺の砂底にすむようですが、トロールでも漁獲されるようです。
 
テンツキチョウチョウウオは、チョウチョウウオ属に含めるという意見もあるようで、「日本産魚類検索 第三版」などでは実際チョウチョウウオ属にいれられています。その場合学名はChaetodon oligacanthus Bleeker,1850の学名が採用されます。Chaetodon ocellatusという学名はチョウチョウウオ科の大西洋産種であるツマグロチョウチョウウオの学名であり、かぶってしまうのです。
コメント
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