最近深海の魚ばかりだったけれど、久しぶりに深海でない魚をご紹介。アジ科のオアカムロという種である。
オアカムロは小離鰭のあるムロアジの仲間(ムロアジ属)の魚。日本に産するほかのムロアジの仲間のうち、モロ、ムロアジ、クサヤモロ、インドマルアジ、およびマルアジとは尾鰭の色彩が鮮やかな赤色であることにより見分けられる。この尾が赤いムロアジの仲間は本種のほかにアカアジ、レッドテールスカッドDecapterus kurroides Bleeker, 1855、さらに最近記載された種類であるDecapterus smithvanizi Kimura, Katahira and Kuriiwa, 2013が知られている。これらの種類はインド洋から西太平洋にかけて生息するようだが、オアカムロは世界中の暖かい海域に生息しているようだ。
これらの種類のうち、日本に分布するのはオアカムロとアカアジ。アカアジはレッドテールスカッドや、D. smithvaniziと見分けるのはなかなか難しいのだが、オアカムロとアカアジを見分けるのはさほど難しくない、と思う。
オアカムロDecapterus tabl Berry, 1968
アカアジDecapterus akaadsi Abe, 1958
並べてみるとこんな感じなのだが、ちょっと難しかったかも。オアカムロの胸鰭は第2背鰭まで届いていない。逆にアカアジは届いている。ただしオアカムロは胸鰭が短いというよりは胴体が長い気がする。またオアカムロは鰓蓋弁の後縁が鋸歯状になっているという点も特徴的である。分布域はアカアジが北海道以南の海域、オアカムロは茨城県~沖縄県の海域に多く、それより北の海域や、日本海には少ないよう。
今回のオアカムロは刺身にして食べてみたがかなり脂がのっていて美味であった。魚の味は脂だけで決まるものではないし、養殖魚の脂はかなり強くあまり受け入れがたいということもあるが、今回のオアカムロはほどよい脂で、かなり美味であったのだ。もっとも、ムロアジの仲間はどの種類も刺身やタタキ、焼き物などで美味しいのであるが。