魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ニュウドウカジカ

2015年11月11日 23時35分42秒 | 魚紹介

「羅臼の珍しい魚」シリーズは全3回です。今回は2回目。羅臼から3種の魚が来たので3回に分けて表示。

今回の登場は深海性のニュウドウカジカさん。カジカという名前がついていますが、カジカ亜目ではあるものの、カジカ科ではなく、ウラナイカジカ科の魚です。

ニュウドウカジカは英国の「Ugly Animal Preservation Society」(訳:醜い生物保存協会)というところが発表した「世界で最も醜い生物」の1位に輝いた「ブロブフィッシュ」(ホテイカジカ、もしくはトサカジカ)の近縁種で、正確には別種。でも顔は本当にそっくり。でも醜いというよりは、むしろかわいい気もします。顔の中央部の肉も垂れていてかわいい。

身は厚い。いつものように鰭に針を刺してたてて、体側から撮影する、というのはもうあきらめた。ニュウドウカジカの「おはだ」はすべすべしていて鱗はない感じ。体には小さな白い皮弁がある。この個体は全長670mm、標準体長555mm、魚体重6160gという、かなり大きな個体であった。

下顎先端には二つの感覚孔がある。この特徴から近縁種のトサカジカと区別することができる。トサカジカも体長500mmを超える巨大種で、下顎先端の感覚孔はひとつであることによりニュウドウカジカと見分けられる。

腹鰭は小さく、申し訳程度にあるのみ。

体側には側線があることでクマノカジカと見分けられる。ただし側線は小さな孔状でありわかりにくい。またクマノカジカは頭部に皮弁がないようだ。ちなみにトサカジカとクマノカジカは本種とは分布がやや異なる。標準和名を見ればわかるようにトサカジカは日本では土佐湾沖の深海、クマノカジカは熊野灘や土佐湾、相模湾に分布し、本種の分布域は日本では茨城県以北。世界では北太平洋に分布し、東シナ海の大陸縁辺~北はベーリング海、東はサンディエゴのほうまで見ることができるらしい。いずれの種も深海性でトサカジカは水深945m以深、クマノカジカは500~1000mほど、本種は400~2000mほどの場所でみることができる。これほど深いと、採集の方法は限られてしまう。だからなかなか見られず、見てみたいと思う心が出てくるのだろう。

さて、このニュウドウカジカを食するのだが、こまったことに姿や顔の写真はインターネットで探せば色々と出てくるものの、肝心の食味について、あるいは食べられるかの情報は出てこない。「市場魚介類図鑑」でも近縁種のガンコやアカドンコを食したレビューは出てきたものの、このニュウドウカジカを食した話は出てこない。さばいてみると、肉質はアンコウに似ている。内臓などはフグ類にも似た雰囲気がある。

身は唐揚げ。大きくぶつ切りにして油で揚げるのだが、味はアンコウによく似ており、食感はアンコウそのもの。アンコウとして居酒屋においてもばれないかもしれない。肝臓は煮たら美味でやはりアンコウの肝のような感じ。卵巣もありこれも煮てみたがうまみは少ない感じ。

こちらは胃袋。よく洗って茹でたあと切る。これは食感がたのしい。このほかアラも煮たがこれも大変美味であった。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする