3日からぶろぐを更新していなかった。
8月に鹿児島県南さつま市の伊東正英さんから「エビスシイラ」という珍しい魚をいただいた。Facebookでは記事にしていたのだが、ぶろぐで記事にするのを忘れてしまっていた。
エビスシイラはその名の通り、スズキ目シイラ科シイラ属の魚である。シイラ科の魚は世界でシイラとこのエビスシイラの2種のみが有効とされている。エビスシイラも、シイラも、太平洋、大西洋、インド洋の暖かい海に生息している。シイラはオホーツク海~琉球列島にまで広く分布し、エビスシイラは日本周辺ではロシアのピーター大帝湾、兵庫県、島根県、高知県、鹿児島県、沖縄県渡嘉敷などから知られているが、数はシイラのほうがずっと多いようだ。私もエビスシイラの現物を見たり、触ったりしたのは今回が初めてなのである。
エビスシイラとシイラの違いは体の形だ。シイラは体の背縁と腹縁が直線状で体が細く見えるのだが、エビスシイラでは背縁と腹縁が丸みを帯びていて体が短いように見える。またエビスシイラの体高は腹鰭の後端付近で最大となるが、腹鰭の前方付近で最大になるシイラとこの点でも区別できる。
そのほかに背鰭軟条数にも違いがあるが、シイラは55~67軟条、一方のエビスシイラは48~59軟条で、数値が重なることもあり確実な同定ポイントとはしにくいと思われる。そのため(たがいによく似ている)幼魚を見てシイラとエビスシイラを見分けるのは困難かもしれない。
シイラは大きいものでは2mにもなるが、エビスシイラも全長1mをこえることがあるよう。ただし普通は75cmくらいまでのようだ。生きているときはエビスシイラも鮮やか緑色と金色に輝くらしいが、残念ながら死後時間がたつにつれて灰色っぽくなっていくところはシイラと同様のようだ。
シイラ科の魚は優れたゲームフィッシュであり、同時に食用魚として重要な魚である。日本では、シイラは食用としてはあまりメジャーにはならないが、アジ科に近い位置にあるともいわれるため、地域によっては好まれる。私も以前宇和海で漁獲されたシイラをよく食べていた。刺身、焼き物など美味な魚で卵の煮つけも美味しい。
今回は洋風の焼き物や刺身にして食べてみたが大変美味なものであった。伊東正英さん、いつもありがとうございます。