今日は年度末ですね。
この写真の魚はスズキ目フエダイ科ハマダイ属の一種で、まだ標準和名はない。ハチジョウアカムツの近縁種として2021年に新種記載されたEtelis boweniという種であろうと思われるが、ここでは「ハチジョウアカムツ近縁種」としたい。インド—西太平洋に広く分布し、日本でも琉球列島で漁獲されている。ハチジョウアカムツとは同所的にみられるらしい。全長1mにもなる大型種である。下瀬 環 著「沖縄さかな図鑑」(沖縄タイムズ社、2021年)に掲載されているハマダイ属の1種というのはこの種だろう。
ハチジョウアカムツ近縁種の尾鰭
ハチジョウアカムツの尾鰭
ハチジョウアカムツ近縁種の尾鰭上葉は黒いが、ハチジョウアカムツの尾鰭上葉は黒くない。これが最もわかりやすいかもしれない。このほかに顎の様子や、鰓蓋の棘の様子も異なるようである。また最大サイズについてもハチジョウアカムツよりは、ハチジョウアカムツ近縁種のほうが大きくなり、10㎏を超えるものもいるらしい。
ハチジョウアカムツ近縁種の刺身
沖縄ではハチジョウアカムツよりもハチジョウアカムツ近縁種のほうが大型になり美味しいことが知られている。我が家でも実際に刺身や煮つけなどで食べ比べてみたが、このハチジョウアカムツ近縁種のほうが美味しいと感じた。日本産ハマダイ属はハマダイ、オオクチハマダイとハチジョウアカムツ。そして本種の4種がいることになる。しかし個人的にはバケアカムツもこの属のものではなかろうかと思っている。いずれの種も美味しいが、大きいものは脂がのりすぎているとも感じている。
今回の個体は鹿児島県 田中 積さん(丸万 田中水産)より。いつもありがとうございます。