朝8時に起きてテレビで野球を見ていたらウツボ水槽が予想以上に汚れてしまったので急遽掃除。今日ご紹介するのは久しぶりに入手した大型のベラ、キツネベラ。この種は全長50cmを超える大型種であり、このタキベラ属としては同じように大型になるタキベラに次ぐ大きさになる。
キツネベラの体側後方の暗色斑
キツネベラと名前が似ているものにキツネダイがいる。どちらもベラ科・タキベラ亜科・タキベラ属ではあるのだが、亜属がことなる。キツネダイはVerreo亜属なのに対し、キツネベラはDiastodon亜属で、タキベラなどと近縁とされる。しかしキツネダイは吻がもっと長く、体側に赤い点が入っていたりする。一方キツネベラは体側後方に大きな暗色斑が見られる。ただこの個体は大型個体のためか、この暗色斑は不明瞭である。なおキツネダイについてはこちら。
こちらはキツネベラの下顎。大型個体では下顎が黄色っぽくなっている。
一方幼魚は成魚とはだいぶ色彩や模様がことなっていて、頭部から背中にかけて黄色が入り、背鰭から臀鰭にかけて太い横帯がはいる。なおこのキツネベラの幼魚はごくまれに海水魚店で販売されていることもある。しかし水槽でもある程度のサイズにはなるし、この仲間を飼育するのであればカエルウオの仲間やスズメダイの仲間を入れられない。だから安易に手を出してはいけない。水族館でもこの仲間は性格がきついためか、美しい魚のわりにはあまり見られないように思う。一方、琉球列島の市場にはよく水揚げされる魚である。例の「沖縄さかな図鑑」はベラ科に対して「市場価値はない」だの、あんまりな評価が目立つが、本種はそのような表記はなく、琉球列島ではふつうに食されている。地方名は「あかれー」とのこと。以前入手したキツネダイは薄造りがよかったが、今回のキツネベラも薄く切り。しゃぶしゃぶにしてみたが非常に美味しい。今回のキツネベラは長崎の石田拓治さんより。ありがとうございました。