いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

ぐるっとパス2023: [その11] 最終回 、松岡美術館、ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション、科学技術館

2023年06月29日 19時45分54秒 | 東京・横浜

ぐるっとパス2023年。 第11日目。
ぐるっとパス2023: [その1] 東洋文庫ミュージアム、六義園(りくぎえん)、旧古河庭園、旧岩崎邸庭園
ぐるっとパス2023: [その2] 東京都庭園美術館、泉屋博古館東京、大倉集古館
ぐるっとパス2023: [その3] 帆船日本丸/横浜みなと博物館、そごう美術館 さくらももこ展
ぐるっとパス2023: [その4] 神代植物公園、八王子美術館
ぐるっとパス2023: [その5] 町田市立国際版画美術館
ぐるっとパス2023: [その6] 松涛美術館、長谷川町子美術館
ぐるっとパス2023: [その7] 熊谷守一美術館、古代オリエント博物館、永青文庫
ぐるっとパス2023: [その8] パナソニック汐留美術館/ジョルジュ・ルオー、WHAT MUSEUM/ ART de チャチャチャ 高橋龍太郎コレクション
ぐるっとパス2023: [その9] アクセサリーミュージアム、郷さくら美術館、目黒区美術館、五島美術館
ぐるっとパス2023: [その10] ちひろ美術館、武蔵野市立吉祥寺美術館、井の頭自然文化園

武相境から自由が丘、大岡山経由で、目黒を超えて、白金台駅まで行く。この界隈は庭園美術館や自然教育園などがあり、しばしば来ている。この日は、松岡美術館。その後、地下鉄で水天宮前へ。ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション。浜口陽三の作品は先日も見た。今日は「本丸」だ。開催は妻の南桂子の作品展。静寂の画風。大好き。このあと、再び地下鉄に乗り、九段下へ。清水門から旧江戸城に入る。吉田茂像を見た。北の丸公園。その一角の科学技術館へ。これで、2か月にわたるぐるっとパス2023使用は終了。

■ 41 松岡美術館

松岡美術館(公式 web site

  Wikipediaより

当初は新橋の自社ビル内に開設したが、平成12年(2000年)4月、現在の創立者私邸跡地に新美術館を建設し、移転・再開した。

創設者は松岡地所創立者の松岡清次郎(1894年 - 1989年)。清次郎は若い頃から骨董の趣味があったが、ヨーロッパでオークションを体験したのが切っ掛けで、78歳から本格的に収集を始めた。青花磁器の名品「青花双鳳草虫図八角瓶」(元代作)と、「青花龍唐草文天球瓶」(明・永楽期作)の入手が、清次郎に美術館創設を決心させたという。

収蔵品は、ブールデルやヘンリー・ムーアなどの現代彫刻、ガンダーラ石造彫刻や中世ヒンドゥー教彫刻といったインド彫刻、中国・朝鮮・日本・ベトナムの東洋陶磁器、室町水墨画から昭和までに渡る日本絵画、ルノワールやモディリアーニ、ヴラマンクといったフランス近代絵画、など多岐にわたる。 

▼ 


色絵楼閣美人図大皿 古伊万里 有田皿山


色絵花鳥図六角壺 柿右衛門様式

モネ、ルノワール 印象派の光

今回は当館が所蔵する西洋画コレクションの中から、モネ、ルノワールをはじめとする、フランス印象派・新印象派の絵画を一堂に会します。

印象派の画家たちが活躍した19世紀後半のパリは、ナポレオン三世の下、オスマン男爵が取り組んだ大規模な都市改造により道路拡張やガス燈の設置、また鉄道網が形成されるなど、市民生活が大きく変わった時代でした。その変化に呼応するように、伝統が王道とされた絵画の世界も変貌していきます。先駆けとなったのがマネでした。彼は約束事にとらわれない手法で、パリの新しい生活風景を描き出し、絵画に革新をもたらします。印象派の画家たちは彼を慕い、逆境の中で共に学び合いながら新たな表現を模索し、光溢れる絵画を作り出しました。

当館の創設者 松岡清次郎が事業家として生きた20世紀もまた、産業技術の革新により人々の暮らしぶりが目まぐるしく変わり続けた時代でした。清次郎は貿易を手始めに、冷蔵倉庫業、ホテル、教育事業、不動産賃貸業といった人々の生活に関わる事業を数々手がけ、人々の暮らしに目を向けていました。なかでも、大正12(1923)年に創業し本年創立100周年をむかえた松岡冷蔵は、日本の食品コールドチェーンのパイオニア的な存在であり、日本の台所を支えています。清次郎が印象派の絵画に惹かれたのは、画家たちの生活への眼差しや現状を見据え新たな表現を生み出そうとする心意気にシンパシーを感じたからなのかもしれません。新たな芸術を追い求めた画家たちの作品に清次郎が感じ取った理想の美を見つけていただければ幸いです。

ポール・シニャック(wiki) <<オレンジを積んだ船、マルセイユ>>


《ミネルヴァ》

■ 16 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション

ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション(公式 web site

南 桂子 銅版画展-静かな王国

20 世紀後半、日本人女性としては、いちはやく銅版画の可能性を見つけ、パリで制作した南 桂子(1911-2004)の展覧会です。富山県高岡に生まれ、幼少の頃から絵を描いていた桂子は、戦後東京に出て油彩画を団体展に発表し、さらにパリに渡ると、銅版画家として頭角を現しました。

南桂子のモチーフは約40年間、ほとんど変わりませんでした。

鳥、少女、一本の木。

自分の足でひとり立ち、或いはたたずみ、透明感に満ちた世界にいます。

絵の中には孤独と、それをくぐりぬけた幸福が、穏やかに調和しているかのようです。

双子に羊。誰かのモチーフと同じだ。そして、「壁」、門というモチーフ入りもある。残念なのは、一角獣ではなくただの牛なのだ。


南桂子  『お城と牛飼いの少女』(部分)(ソース)


Google 画像

南 桂子(みなみ けいこ、Keiko Minami、1911年2月12日 - 2004年12月1日)は、富山県射水郡出身の版画家(銅版画)。夫は版画家の浜口陽三。本名は濱口 桂子(はまぐち けいこ。

少女や鳥や樹木を題材とした詩的な作品で知られる[2]。戦後日本を代表する銅版画家である。 (wiki)

■ 25 科学技術館
 
 
科学技術館は、現代から近未来の科学技術や産業技術に関する知識を広く国民に対して普及・啓発する目的で公益財団法人日本科学技術振興財団が設立した施設で、1964年(昭和39年)4月に開館しました。
 
入館者は子供から大人まで幅広い層に及んでいますが、大半は青少年で占められています。
また、最近の傾向として、ファミリーや友達どうしで来館される方々が増えています。
展示は参加体験型のものが多く、見たり、触ったりして楽しみながら、科学技術に興味、関心を深めていただけるように構成してあります。
今日の科学技術の進歩は目覚しいものがありますが、常に館内施設や展示の更新を図りながら正しい情報を提供してまいりたいと考えております。
 
 
 
 
子どもを包むシャボン玉
 
 
 
 
ルラシドン塩酸塩とは何ですか?
ラツーダは、当社が創製した独自な化学構造を有する非定型抗精神病薬であり、ドーパミン-2、セロトニン-2A、セロトニン-7 受容体に親和性を示し、アンタゴニストとして作用します。 セロトニン-1A 受容体にはパーシャルアゴニストとして作用します。ソース

新しい街でもぶどう記録;第449週

2023年06月24日 18時01分12秒 | 草花野菜

▲ 今週のみけちゃん
▼ 新しい街でもぶどう記録;第449週

■ 今週の武相境斜面

■ 今週の草木花実

■ 今週の「変」;日変、青変

■ 今週の江戸城

清水門

■ 今週の「臣」

 

東京都千代田区北の丸公園。「尊皇家・臣茂」の解説右画像の像の人も杖をついている。でも、「臣茂」は背中がしゃんと伸びている。

■ 今週のアメリカ原料

伊予柑(いよかん)を混ぜた「さつま揚げ」:おがた蒲鉾、のし天(愛媛県産)

のし天とは商品名らしい。一般名詞ではなさそうだ。ググっても出ない。この「のし天」は普通のさつま揚げに比べ薄い。おそらく、のして(伸して・熨して)薄くした薩摩揚げという意味で「のし天」なのだろう。そして、コシがある。「のし天」は、「じゃこ天」とは違う。「じゃこ天」とは「愛媛県近海で獲れた「ハランボ(ホタルジャコ)」などの小魚をすり潰して整形して油で揚げた魚肉の練り物で、愛媛県宇和島地方の郷土料理にっぽんの郷土料理観光事典)」とのこと。つまり、近海ものの魚が原料。この原料の違いが、「のし天」は、「じゃこ天」の大きな差だ;

「のし天」の原料の魚のすり身は米国産。

薩摩揚げや、そもそも蒲鉾など魚のすり身を原料とする加工食品の原料のタラ(鱈)の各国生産量。米国で漁獲量が大きいのだ。



https://www.globalnote.jp/post-7032.html

■ 今週の正直者

率直な発言で「真実」を確認してくれるバイデン。副大統領時代は「日本国憲法は米国が書いた」と事実確認。今度は、大統領として防衛費倍増は米国の意向と表明。

 

【ワシントン=田島大志】米国のバイデン大統領は20日、カリフォルニア州で開いた支持者集会で、日本の防衛費増額を巡り「私は3度にわたり日本の指導者と会い、説得した。彼自身も何か違うことをしなければならないと考えた」と述べた。自ら岸田首相に増額を働きかけたことを示唆したものだ。
 北大西洋条約機構(NATO)は加盟国に対国内総生産(GDP)比2%の防衛費確保を求めている。日本は非加盟だが、バイデン氏は「日本も巻き込むことができると思っていた。日本が欧州での戦争に関心を持ったのはいつ以来か」と述べ、日本のウクライナ支援強化も自ら引き出したものだとアピールした。読売新聞オンライン

バイデン米国大統領の対日認識は全く「正しい」。その正確な認識より傀儡の操りが可能となっているのだ。

■ 今週の王党派(wiki)

【AFP=時事】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は16日、コネティカット州で開催された銃規制法案をめぐる会合で演説し、スピーチ原稿にはない「女王陛下万歳!(God save the queen, man!)」という米大統領としては極めて異例な表現で締めくくり、波紋を呼んでいる。
  バイデン氏が面会した英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は昨年9月に死去しており、どの女王について言及したのか、そしてなぜ、愛国的な英国人のような掛け声を上げたのか、誰にも意図は分かっていない。(AFP)

■ 今週の旧キャンプ・クロフォード、あるいは、北極熊に対する羆(ヒグマ)のレコンキスタ


図1


図2 愚記事より

このキャンプ・クロフォード時代の右上の地帯。当時、ゴルフ場(現在、真駒内公園)。上が西。図1は左が西。図2の右上に川が見える。この川が図1の左端にある川。川沿いに熊が目撃されたとのこと。

キャンプ・クロフォード時代の「熊」、北極熊。雪像なので、何熊かわからないかと思うかもしれないが、つくった米軍が米軍第31歩兵連隊、愛称the Polar Bear regiment=北極熊連隊。米占領軍を象徴する北極熊の跡地にヒグマが失地回復を目指しているのだ。

■ 今週のドーナッツ

揚げたて豆乳ドーナツとバニラアイス [イタリアンレストラン ラ・パウザ](会社 web site

■ 今週の購書


ぐるっとパス2023: [その10] ちひろ美術館、武蔵野市立吉祥寺美術館、井の頭自然文化園

2023年06月21日 17時15分54秒 | 東京・横浜

ぐるっとパス2023年。 第10日目。
ぐるっとパス2023: [その1] 東洋文庫ミュージアム、六義園(りくぎえん)、旧古河庭園、旧岩崎邸庭園
ぐるっとパス2023: [その2] 東京都庭園美術館、泉屋博古館東京、大倉集古館
ぐるっとパス2023: [その3] 帆船日本丸/横浜みなと博物館、そごう美術館 さくらももこ展
ぐるっとパス2023: [その4] 神代植物公園、八王子美術館
ぐるっとパス2023: [その5] 町田市立国際版画美術館
ぐるっとパス2023: [その6] 松涛美術館、長谷川町子美術館
ぐるっとパス2023: [その7] 熊谷守一美術館、古代オリエント博物館、永青文庫
ぐるっとパス2023: [その8] パナソニック汐留美術館/ジョルジュ・ルオー、WHAT MUSEUM/ ART de チャチャチャ 高橋龍太郎コレクション
ぐるっとパス2023: [その9] アクセサリーミュージアム、郷さくら美術館、目黒区美術館、五島美術館

武相境から渋谷に出て、JR山手線で高田馬場へ。久しぶりに「アトムの駅メロディー」を耳のにする。西武線に乗り換え、上井草駅へ。歩いて、ちひろ美術館へ。展示は、初山滋。江戸っ子系モダニストとわかる。その後、歩いて、上石神井駅へ向かう。途中、バーミアンで五目焼きそばをいただく。上石神井駅付近では、オリオン書店を発見。このあたりは、立川から続くオリオン書店圏内らしいと察しがつく。上石神井駅からバスに乗り、吉祥寺駅へ。武蔵野市立吉祥寺美術館。常設展のみ。浜口陽三と荻原英雄の展示。浜口陽三と妻の南桂子の絵のはがきを買う。その後は、歩いて井の頭公園とその中の井の頭自然文化園へ。メタセコイアがそそり立っていた。前回行ったのは、2015年で、その時は、はな子さんという象がいたはず(と今知った)なのだが、記憶にない。りす園は憶えている。井の頭公園からは京王線に乗り渋谷に出た。

■ 58 ちひろ美術館

館内は撮影禁止。

没後50年 初山滋展 見果てぬ夢 (ちひろ美術館

初山滋(1897-1973)が75歳で亡くなってから、50年が経ちました。
明治生まれの初山は、まだ江戸の香りの色濃い東京の下町で育ちました。小学校を卒業してすぐに丁稚(でっち)奉公へだされ、模様画工房で着物の図案描きの修業をしますが、次第に絵を描きたい思いが募り、14歳のときに挿し絵画家・井川洗厓(せんがい)に弟子入りします。挿し絵の下絵描きをしながら、日本の古画などの模写に励む一方、印象派やアール・ヌーヴォー、キュビスム等、当時日本に一挙に紹介されたヨーロッパの新しい美術の潮流も感受ていきました。
初山は大正から昭和にかけての50年余りに渡り、“ 童画” の世界に欠かせない画家として、児童雑誌や絵本、童話集、教科書など、子どもの本に膨大な絵を描きました。体に染みついた江戸の装飾美に、モダンな感覚を巧みに融合させ、美意識の赴くまま自由な表現を展開したその絵は、今も新しさを失わず、みずみずしい感覚にあふれています。
本展では、初山滋の人生を追いながら、童画や絵本の原画、漫画などのほか、自刻自摺の木版画も展示します。ちひろ美術館


絵本『もず』より

web site  美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダで、この展示の紹介と初山滋の作品がいくつか見れる。

初山 滋(はつやま しげる、1897年(明治30年)7月10日 - 1973年(昭和48年)2月12日)は、童画画家 。本名は「繁蔵」。生涯にわたってひとつの画風に留まることのない自由奔放ぶりで知られる。

版画作品は二十数年にわたり、小学校の国語教科書の表紙に使われた。 wikipedia

主な作品に『たべるトンちゃん』(1937年)、『もず』(1967年)がある[2]。 

この展示で「コドモノクニ」(wiki)を初めて知る。

 Google 画像 コドモノクニ   初山滋

前回、ちひろ美術館に行ったのは2015年。その後、この動画が作成されたらしい。

▼ 


上石神井駅付近

■ 78 武蔵野市立吉祥寺美術館

常設展:浜口陽三記念室、荻原英雄記念室

◆荻原英雄記念室

従来の木版画の域を超えた複雑な表現を極め、世界的な木版画家として確固たる地位を築いた萩原英雄(1913-2007)より、代表的な木版画の数々が寄贈されたことを記念して設けられました。「ギリシャ神話」「三十六富士」などのシリーズ作品をはじめ、抽象作品など多種多様な作品の数々を展示紹介します。萩原英雄記念室

◆浜口陽三記念室

カラーメゾチントという独特な銅版画の技法を開拓し、多くの作品を創作した浜口陽三(1909-2000)より寄贈を受けた主要作品の数々を広く公開するとともに、氏の業績を末永く顕彰します。初期のモノクロームからカラーメゾチントに至る銅版画作品やその原版、道具類もあわせて展示します。浜口陽三記念室

絵葉書を2枚買った。左:浜口陽三[wiki]<<びんとレモンと赤い壁>> 1983-89年、右:南桂子[wiki]<<マロニエと少女>> 1975年

■ 79 井の頭自然文化園

▼ 水生物園


ぐるっとパス2023: [その9] アクセサリーミュージアム、郷さくら美術館、目黒区美術館、五島美術館

2023年06月19日 19時08分42秒 | 東京・横浜

ぐるっとパス2023年。 第9日目。
ぐるっとパス2023: [その1] 東洋文庫ミュージアム、六義園(りくぎえん)、旧古河庭園、旧岩崎邸庭園
ぐるっとパス2023: [その2] 東京都庭園美術館、泉屋博古館東京、大倉集古館
ぐるっとパス2023: [その3] 帆船日本丸/横浜みなと博物館、そごう美術館 さくらももこ展
ぐるっとパス2023: [その4] 神代植物公園、八王子美術館
ぐるっとパス2023: [その5] 町田市立国際版画美術館
ぐるっとパス2023: [その6] 松涛美術館、長谷川町子美術館
ぐるっとパス2023: [その7] 熊谷守一美術館、古代オリエント博物館、永青文庫
ぐるっとパス2023: [その8] パナソニック汐留美術館/ジョルジュ・ルオー、WHAT MUSEUM/ ART de チャチャチャ 高橋龍太郎コレクション

ぐるっとパス9日目。東横線で祐天寺駅に降りる。歩いて、アクセサリーミュージアム(目黒区上目黒4丁目33番12号)。装飾品の私的博物館。当方、装飾品には全くなじみがないのだが、覗いてみた。静かな住宅街にあった。その後、歩いて、蛇崩川緑道などを通り、中目黒駅へ。その東の目黒川を渡る。郷さくら美術館。日本画の美術館。新作展示。こちらも私的美術館。この後、中目黒駅からバスで、権之助坂を登坂するバスに乗り、目黒駅へ。お昼ご飯。昼食後、歩いて、権之助坂を下り、目黒川を渡りそして川に沿い北上し、目黒区美術館へ。その後、目黒駅に戻り、目黒線・大井町線に乗り、上野毛へ。歩いて、五島美術館へ。

■ 46 アクセサリーミュージアム

私的にコレクションした1830~2000年代に至る近代ファッション150年余のコスチュームジュエリーを文化・風俗といった時代考証を加えて展示」(「当館について」 から)

▼ Mariko Kohga展 (web site

甲賀 真理子(こうが まりこ)wikipedia

甲賀 真理子(こうが まりこ、1949年7月30日[2] - )は、日本のファッションデザイナー[3]。広島県豊田郡安浦町(現・呉市)出身。広島県立呉三津田高校 - 東京学芸大学中退。1973年、文化服装学院卒業。

1974年、ニコル入社。ニコルブランド担当デザイナーとなる。1979年、ZELDA(ゼルダ)のチーフデザイナーに就任。年2回のコレクションを発表。1986年、同社取締役。ゼルダをMARIKO KOUGAと改め、1989年、マリコ・コウガ・アールを発表。1998年、ニコルを退職し、(株)マリコ・コウガを設立した。 

坂本冬美さん、中森明菜さんゆかりの衣装も展示-甲賀真理子氏のデザイナー歴50周年を記念し、そのセンスとデザインを体感する企画展「Mariko Kohga展」を開催 

■ 45 郷さくら美術館

「日本画」に軸足を置きながら各々のフィールドで活動する作家10名が集い、グループ展『FROM』を立ち上げました。大作制作を梃子として、枠にとらわれない自由な絵画表現を追求し、作家同士が互いに研鑽を積む場所になればと思います。

 今、いわゆる「アート」は一般に広く、素早く、手軽に触れられる環境にあります。目まぐるしく作品が消費されていくその渦中にあって、腰を据えて制作に向き合い、作品づくりの母胎となる場所が必要だと考えました。

 私たちは「日本画」という創造過程の中にいます。それぞれの問題意識とアプローチの違いが並置され、ぶつかり合い、響き合う中に現代の「日本画」が立ち現れることを期待しています。ABOUT

目を引いた「山浦めぐみ《Thanks, Charlie》2023年」については先日の記事で。

■ 44 目黒区美術館

展覧会の概要  OVERVIEW

戦前の日本人画家の欧米への留学中の作品を収集方針に掲げる目黒区美術館は、ベルギーに留学した太田喜二郎の作品を収蔵しています。当時、パリ留学が主流であった中で、少数ですが、太田と同様にベルギー留学した芸術家がいました。画家の児島虎次郎と、彫刻家の武石弘三郎です。太田と児島は、ともにゲントの王立美術学校に通い、ベルギーの印象派の画家、エミール・クラウスからも学びます。武石は、ブリュッセル王立美術学校を優秀な成績で卒業し、帰国後は肖像彫刻家として人気を博しました。戦前の日本で「炭坑夫の彫刻家」として人気のあったベルギーの彫刻家、コンスタンタン・ムーニエの日本への紹介でも知られています。この度は、この3人の作家と彼らに関連するベルギーや日本の作家以外に、当時の印刷物による紹介や展示などにも着目し、戦前の日本におけるベルギー美術の受容について探ります。目黒区美術館 web site

■ 47 五島美術館

五島美術館について 建物、庭園 公式web site

建物(本館)は、和様空間の案出に秀でた芸術院会員・吉田五十八(よしだいそや 1894-1974)が設計しました。王朝貴族の建築様式である寝殿造の意匠を随所に取り入れた建物は、近代建築史における貴重な建造物として注目されています。昭和36年(1961)には第二回建築業協会賞を受賞しました。それから約半世紀を経た平成24年(2012)、開館当初の姿を可能な限り留めながら館内設備を刷新し、展示室を増設するなど大規模な改修を果たしました。2013年度グッドデザイン賞(グッドデザイン・ベスト100)を受賞しています。

敷地は庭園を含めると約6000坪。武蔵野の雑木林が多摩川に向って深く傾斜する庭園には、「大日如来」や「六地蔵」など伊豆や長野の鉄道事業の際に引き取った石仏が点在し、ツツジ、枝垂桜など、季節ごとに多彩な花を咲かせます。散策路には明治時代に建てられた茶室「古経楼」(こきょうろう)や、慶太翁が古材を使用して作らせた立礼席の茶室「冨士見亭」<共に非公開>があり、これらは様々な茶会に利用されています。この2つの茶室は五島美術館本館と共に、平成29年(2017)10月27日付をもって国の登録有形文化財(建造物)になりました。

見た展示:館蔵 近代の日本画展。展示は撮影禁止 

 

庭に出る。段丘崖に跨る敷地。

 


新しい街でもぶどう記録;第448週

2023年06月17日 18時38分14秒 | 草花野菜

▲ 今週のみけちゃん
▼ 新しい街でもぶどう記録;第448週

■ 今週の武相境斜面

■ 今週のいただきもの

■ 今週の焼き芋屋さん

この日都内、世田谷区では30℃になった。でも、焼き芋屋さんが営業していた。「冷やしておいしい」とあった。夏でも、焼き芋なのだ。つくばでは、デリ型の軽トラの焼き芋屋さん店舗型の焼き芋屋さんをみたことがありました。

ネットの記事:石焼き芋屋は釜に火を付けたまま走っても違反にならないのか?

■ 今週の「2週連続」

今週も「北海道」でスパカツを食べた。今週は普通盛りだ。

カツが見えている。先週はミートソースで覆われカツが見えなかった。

 先週 (大盛り)

■ 今週の「一斗缶の油」

白絞油(しろしめゆ)wikipedia。初めて知った。漢字も読めなかった。

 白絞油(しらしめゆ)は、菜種油を精製した食用油の商品名。薄い黄色の油で、揚げ油などに使用される。
 近年は、大豆油や綿実油を精製したものも白絞油として扱うことが多い。天ぷら油として市販されているものの多くは白絞油である。料理店などで利用する業務用が主であり、一斗缶などの形態で流通している場合がほとんど。 

■ 今週の半額

酒田むすめ

やわらかいあんをしっとりしたバター風味の生地が包み込んでいます。
じっくりと炊き上げた小豆こしあん、やきいもあん、コーヒーあんの3種を詰め合わにした酒田を代表する銘菓「酒田むすめ」です。ソース) これは小豆こしあん;

 来酒とは酒田に来ること
彼女も「酒田むすめ」なんだろうと思った。念のため確認すると、違った。鶴岡だった。

■ 今週の閲覧多数頁

愚記事:行商の老婆

■ 今週の逮捕者、あるいは、公安警察への感謝

「産業技術総合研究所」の主任研究員の中国人の男が警視庁公安部に逮捕されました。

逮捕されたのは茨城県つくば市の国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の主任研究員・権恒道容疑者(59)です。

権容疑者は2018年4月、自身が研究に関与したとみられる「フッ素化合物」の合成に関する先端技術の情報を中国企業のメールアドレスに送信し、営業秘密を漏えいした疑いがもたれています。

ソース : Google

一方、逮捕者を出した産総研のコメント;

令和5年6月15日(木)に当研究所職員が逮捕された件につきまして、関係者の皆さまにご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。今般の逮捕の実現に当たり、粘り強く取り組んでいただいた捜査当局に感謝申し上げます。AIST web site

逮捕者の歴史;

Google[産総研 研究員 逮捕]で検索すると、産総研って結構逮捕者を出していると知った。研究者だ。

かつて、つくばの隣の土浦の桜町のキャバクラで暴れて逮捕された研究員がいた。ふと、思い出した。

■ 今週の「なんじゃ、これ?!」

都内目黒にある「郷さくら美術館」で"FROM-それぞれの日本画"第3回展2023.5.20~6.18(日本画に軸足を置きながら各々のフィールドで活動する作家10名が集い、グループ展『FROM』を立ち上げました。 *押元一敏 *川﨑麻央 *喜多祥泰 *木下めいこ *関谷理 *武田裕子 *田島周吾 *長澤耕平 *野地美樹子 *山浦めぐみ [twitter:FROM-それぞれの日本画])をみる。


野地美樹子《輝きの時(左)》


木下めいこ《藤浪》



長澤耕平《Growing City》2023年(部分)twitter
実景ではありませんが、東京を題材にして制作された作品です。過去10年から現在の間で作った素材を貼り混ぜて画面を制作したそうです。四曲一双屏風で制作された巨大な作品は、今の東京を真上から覗いているかのようです。

草木花実の題材、あるいは、抽象と新作なのだろうけど「正統的」な作品で、とてもよかった。

そして;

▼ 「なんじゃ、これ?!」


山浦めぐみ《Thanks, Charlie》2023年

ひとめで、広島とわかった。三角州(デルタ)と川の形状からだ。そして、爆心地にはGoole Mapのピンマーク。広島ということは、中央の黄色い輝きは閃光なのか? でも小さいし??????

「なんじゃ、これ?!」

題名・解説を見ると、広島の文字もなければ、ましてや、原爆の文字もなかった。題名:《Thanks, Charlie》。????? エノラ・ゲイの搭乗員とかマンハッタン計画の当事者か??????

解説には:


ピンボケでごめんなさい

アーティストのCharles Worthenとは誰か?

美術手帖 チャールズ・ウォーゼンより

ウォーゼンは1958年アメリカ・ボストン生まれ。86年ロードアイランド・スクールオブデザイン大学院美術研究科彫刻専攻修了。その後、東京藝術大学大学院彫刻科研究生を経て、2005年までドイツ・ケルンで活動した。09年からは広島市立大学芸術学部彫刻専攻にて勤務し、同大学教授。主な展示歴として、瀬戸内国際芸術祭2016(香川)、対馬アートファンタジア(長崎)、個展に府中市美術館(東京)、白土舎(名古屋)、Galerie Gabriele Rivet(ドイツ)などがある。

 プラスチック、ポリウレタン、ゴムなど様々な素材や日用品を使って生き物のような、おもちゃのような作品をつくるウォーゼン。遊びごころが感じられる愛らしさと、少し怪しげな様子の作品たちは、思わずふれたくなるような魅力を放っている。

チャールズ・ウォーゼン (Google)

どうやら、山浦めぐみとチャールズ・ウォーゼンの接点は、広島市立大学らしい。

上の山浦めぐみ《Thanks, Charlie》に見える2つの図案はチャールズ・ウォーゼンの作品とわかった。

 

美術手帖                  作品名 ポップストップ

【展示作品のご紹介】 山浦めぐみ《Thanks, Charlie》2023年
 作者は世の中の物事から発生する目に見えないエネルギーや不均衡なリズムのループが創作の源泉になっていると言います。本作はCharles Worthenに敬意を込めて制作されており、過去と現在が入り交じるような作品です。
Twitter

でも、この作品は何なのか?、未だおいらにとって、不明である。


ぐるっとパス2023: [その8] パナソニック汐留美術館/ジョルジュ・ルオー、WHAT MUSEUM/ ART de チャチャチャ 高橋龍太郎コレクション

2023年06月11日 13時04分58秒 | 武相境

 

ぐるっとパス2023年。 第8日目。
ぐるっとパス2023: [その1] 東洋文庫ミュージアム、六義園(りくぎえん)、旧古河庭園、旧岩崎邸庭園
ぐるっとパス2023: [その2] 東京都庭園美術館、泉屋博古館東京、大倉集古館
ぐるっとパス2023: [その3] 帆船日本丸/横浜みなと博物館、そごう美術館 さくらももこ展
ぐるっとパス2023: [その4] 神代植物公園、八王子美術館
ぐるっとパス2023: [その5] 町田市立国際版画美術館
ぐるっとパス2023: [その6] 松涛美術館、長谷川町子美術館
ぐるっとパス2023: [その7] 熊谷守一美術館、古代オリエント博物館、永青文庫

ぐるっとパス2023(web site)を使った都内巡り、第8日目。「海岸」方面。地下鉄・浅草線で新橋駅に行く。パナソニック東京汐留ビル(超高層ビルGallery)の4階にあるパナソニック汐留美術館。「開館20周年 ジョルジュ・ルオー かたち、色、ハーモニー」をみる。その後、浜松町駅まで歩く。各停のモノレールに乗り、天王洲アイル駅へ。WHAT MUSEUMに行く。

■ パナソニック汐留美術館/ジョルジュ・ルオー

ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault, 1871年5月27日 - 1958年2月13日)は、フォーヴィスムに分類される19世紀~20世紀期のフランスの画家。

ルオーは、パリの美術学校でアンリ・マティスらと同期だったこともあり、フォーヴィスムの画家に分類されることが多いが、ルオー本人は「画壇」や「流派」とは一線を画し、ひたすら自己の芸術を追求した孤高の画家であった。wikipedia


パナソニック東京汐留ビル(左手)、右は旧新橋駅。

パナソニック汐留美術館 web site: ジョルジュ・ルオー― かたち、色、ハーモニー ―

19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍した、最も革新的な画家のひとり、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)。宗教的主題や、晩年の輝くような色彩で描かれた油彩、デフォルメされた親しみやすい人物像は、多くの人を魅了し続けています。本展は、当館開館20周年を記念するルオーの本格的な回顧展です。ルオーが、自身の芸術を語るのに繰り返し用いたことば「かたち、色、ハーモニー」をキーワードに、画家が影響を受けた同時代の芸術や社会の動向、二つの大戦との関係にも触れながら、ルオーの装飾的な造形の魅力に迫ります。
本展には、フランスや国内の美術館より、ルオーの代表作が集結します。パリのポンピドゥー・センターが所蔵する晩年の傑作《かわいい魔術使いの女》や《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》、手紙やルオーの詩など、本邦初公開作品を含む約70点が会場に並びます。日本におけるルオーの最も充実した回顧展のひとつとなることでしょう。公式サイトの展覧会概要

 

展覧会のみどころ

1.フランスや国内の美術館等より、本邦初公開作品含むルオーの初期から晩年までの代表作が集結。
当館では開館記念展以来となる本格的な回顧展です。
2.ルオー作品の「かたち、色、ハーモニー」の形成に影響を与えた、モローやセザンヌなど同時代芸術家との関係を浮き彫りにします。
3.戦争期に描いた重要作品《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》や《深き淵より》が日本初公開。
ルオーによる人間の苦悩と希望の表現に迫ります。公式サイトの展覧会概要


第Ⅴ章の展示ブースは撮影可能

  第Ⅴ章 旅路の果て―装飾的コンポジションへの到達

1930年頃より作品に出現し始める明るい色彩と柔らかく安定感のあるフォルムは、1939年頃より次第にその特色を強めていきます。そして最後の10年間には、色彩はますます輝きを増し、形体と色彩とマティエールとが美しいハーモニーを奏でる油彩画が数多く生まれます。本章では、ルオーが最晩年にたどり着いた、「かたち、色、ハーモニー」の究極的な表現を検証します。


《キリストとの親しき集い》1952年 パナソニック汐留美術館


左:《受難(エッケ・ホモ)》1947‐49年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
右:《かわいい魔術使いの女》1949年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

▼ この展覧会の案内、解説、レヴュー

・萩原敦子 私のイチオシコレクション   絵の具塗り重ね 深み生む
・美術展ナビ 岡部匡志 「聖」も「俗」も包み込む造形と色彩の魔術
・美術展ナビ 学芸員に聞く 前編 見どころは? ルオーが目指した表現とは?
・美術展ナビ 学芸員に聞く 後編 鑑賞のポイントやおすすめの作品を紹介

■ WHAT MUSEUM/ ART de チャチャチャ 高橋龍太郎コレクション

WHAT MUSEUMについて

寺田倉庫 wikipedia

寺田倉庫(てらだそうこ、英語: Warehouse TERRADA)は、東京都臨海部の天王洲アイル(東京都品川区)に本社を置く倉庫業者。基幹事業の保存保管事業では、ワイン、アート、映像フィルムなど、各商材に適した温湿度管理による保管と、倉庫会社の枠を超えた新規事業を展開している。 

高橋龍太郎コレクションは、日本屈指のアートコレクターである精神科医・高橋龍太郎氏が1997年から本格的に始めた現代アートコレクションで、現在3,000点を超える作品を所有しています。本展では、日本の現代アートの多様性を包括的に見ることができる同コレクションより岡村桂三郎、鴻池朋子、菅木志雄、山口晃、横尾忠則など、日本の長い歴史の中で築き上げられてきた文化や芸術、価値観を継承しながらも独自の視点で再解釈し、新たな形や方法で表現している作家の作品を中心にご紹介します。

日本の文化・芸術は時代の変遷とともに多種多様な外来文化を柔軟に解釈しながら受容し、発展してきました。現代アートの作家が日本独自の柔軟性と感性を受け継ぎ、その文化・芸術と向き合い葛藤して獲得したオリジナリティには世界にも類を見ない強度がみられます。本展では、日本の伝統文化・芸術の中に、現代の作家たちが何を見出し、どのように自らの表現へと昇華させたのかを探ります。展覧会を通して、日本の現代アートのDNAを探求しながらその魅力を新たに発見し、これからの現代ニッポンのARTを応援するきっかけになることを願います。主催者 web site


岡村桂三郎 <<獅子08-01>> 
⇒ダイヤモンドオンライン 岡村桂三郎 宗教的行為の一部として描く

 


新しい街でもぶどう記録;第447週

2023年06月10日 18時43分46秒 | 草花野菜

▲ 今週のみけちゃん
▼ 新しい街でもぶどう記録;第447週

■ 今週の武相境斜面

■ 今週の草木花実

■ 今週の「変」;要、平、造、音

■ 今週の「撮り鉄」

渋谷駅の最低部、地下鉄・副都心線のホームで撮り鉄をみた。

相鉄の電車を撮っていたとわかった。

■ 今週の初めて乗った:Q seat

東急電鉄公式サイト: 大井町線有料座席指定サービス Qシート

■ 今週の廃棄物

蛍光灯が大量に廃棄されているのを見た。

■ 今週の訃報: フランソワーズ・ジローさん死去(google

2010年5月に笠間の日動美術館の企画展に行った(愚記事)。


ジローとピカソ

【AFP=時事】(更新)スペインの巨匠パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の愛人でミューズでもあった仏女性画家フランソワーズ・ジロー(Francoise Gilot)さんが6日、亡くなった。101歳。ピカソを振った元愛人、仏画家フランソワーズ・ジローさん死去 101歳)[google]

■ 今週の「架空作品」

ピカソの「オランダ風の花瓶と髭をはやした三人の騎士」

村上春樹、『ダンス・ダンス・ダンス』の24章に出てくる。

牧村拓は また黙って ゴルフ・クラブを睨んでいた。
「変わってる」と彼は言った。 「君は俺に何かを連想させる。 何だろう?」
「何でしょうね?」と僕は言った。 何だろう? ピカソの「オランダ 風の花瓶と髭を生やした三人の騎士」だろうか?「でも俺は君のことが結構気にいったし、 君という人間を信用するよ。 悪いが ユキの面倒は見てくれ。いつか きちんと 礼はする。僕は借りは必ず返す人間だよ。そのことはさっき言ったよな?」
 「聞きました」 
 (強調 ikagenki)

そんなピカソの作品、「オランダ風の花瓶と髭をはやした三人の騎士」(google)などいうものはない(らしい)。

■ 今週の半額

圧密感があり、うっすらブランデー風味。☛ ヤマザキ リンゴのずっしりケ−キの口コミ・評判

■ 今週の「中に入れた」:和敬塾

今週日曜日に永青文庫に行った帰りに、和敬塾の前を通ると中でフリーマーケットをやっていると旗が立っていて、開放されていた。入った。

文京区目白台にある男子学生寮「和敬塾」西寮に、村上氏は入学した1968年4月から半年ほど暮らしました。和敬塾は1955年に設立され、約7,000坪という広い敷地の中に全6棟の寮があり、現在500人あまりの大学生が入寮しているそうです。早稲田ウィークリー 僕は十八で、大学に入ったばかりだった―村上春樹『ノルウェイの森』聖地巡礼(小説編)

■ 今週の不意な再会

新橋の駅を降りて、地上にあがると、みきゃんが目に入った(愚記事:西宇和みかんのために、関東でがんばる、みきゃん)。

ダークみきゃんも、ちゃんと、いた(愚記事:ダークみきゃん; 救いようのない不徳)。

香川・愛媛 せとうち旬彩館公式サイト

■ 今週の道産品

「北海道B級グルメ、スパカツ」。スパカツは、北海道釧路市の郷土料理。熱した鉄板皿にスパゲッティ、カツ、ミートソースを乗せた料理wikipedia

広告(下)と違い、カツの全面にミートソースがかかっていた。


北の味紀行と地酒 北海道 カレッタ汐留店 47階 お店の広告画像

お店からの眺め。今回は東向きで、皇居がみえた。

■ 今週の割引

「電通割」。カレッタ汐留ビルにて。電通が入っているビル。

■ 今週読んだ物語、あるいは、半額以下

村上春樹の新作、『街とその不確かな壁』は、しばらくして、古本価格が下落したあとに、みてみようと思っていた。なにしろ、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでいない。持っているけど。今回の新作は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と共通の世界の話とのこと。ところが、今週日曜日、ひょんなことから購入し、賃労働生活から時間をつくって4日間、10時間あまりで読んだ。あきることなく、つるつる、わんこそばのように、読めた。読んでいるあいだは、頭がぼーっとし、賃労働にも少なからず影響を与え、読後も続き、他の人の読後感を読むという楽しみに励んでいる。

この物語では村上春樹の物語同様にいくつかの鍵語彙が出てくる。影。人が「本体」と「影」にわかれ、それぞれ、人格化する。握手して別れたりする。でも、こういう本体/影というのは文学的喚起想念にとどまらず、現実にもっている人もいるとのこと。

われわれ心理療法家のもとへも、ときどき二重身体験 に悩む人が相談に来られる。「先生の前にいる私は分身のほうで、本当の私はいま、下宿で寝ています」という人 さえ あるが、このような人の治療はなかなか困難である。河合隼雄、『無意識の構造』 III 無意識の深層、3 影、影の病い

『街とその不確かな壁』ではその街では人は影を失う。そして、

▼ 神戸新聞と「ニューヨーカー」、あるいは、「影をなくした日本人」

村上春樹は新作で影をなくす人間の物語を書いているが、日本人が影をなくしたといったのが江藤淳で、1965年。1964年の東京オリンピックの頃の話;

はるばる海を越えて送られてきた ニューヨーカーの封を切って、 この表紙を一目見た時、 私は思わず声を上げて笑った。 江藤淳、「影をなくした日本人」

これだ↓
 

江藤淳は「ニューヨーカー」を購読していたのだ。「ニューヨーカー」は権威がある雑誌だそうだ[*]。1ドル360円であり、日米の経済力も何倍も違っていた時代だ。江藤は書いている;

過去とのつながりを失った人間は、いわば 影をなくした人間のようなものである。 今日の 日本で、 新幹線や道路のような近代化の成果だけがもてはやされているのは、 あるいは日本人が自分の影をなくしてしまったことの表れかもしれない・・・。 江藤淳、「影をなくした日本人」

江藤が特に指摘するのが、絵全体は「平治物語絵巻」の紅蓮の炎を想起させ、この絵の男の顔は「チョンマゲをとって髪を七三にわけた侍の顔」だと。そして、「自分の頭にチョンマゲをのせたら、似合いそうな気がして来た」と考える。なお、当時、この絵を江藤から見せられた編集者は「今でもまだ日本はこんなふうに見られているんですかね。いやになるな、まったく  やれやれ 」というのが当時の状況。

つまり、江藤はチョンマゲをやめて七三にしたことに象徴される過去との決別、さらには七三にしたのに過去と同一視されることに憤慨することに象徴される日本人を「影をなくした日本人」といっているのだ。

どうでもいいことだが、この文章の初出は神戸新聞である。1964年、村上春樹、14歳。なお、この頃江藤がありがたがって米国から取り寄せていた「ニューヨーカー」と、のちに、専属作家契約を村上春樹が結ぶ、1993年。江藤が死ぬ6年前だ。

 

 


ぐるっとパス2023: [その7] 熊谷守一美術館、古代オリエント博物館、永青文庫

2023年06月07日 19時40分49秒 | 東京・横浜

 

ぐるっとパス2023年。 第8日目。
ぐるっとパス2023: [その1] 東洋文庫ミュージアム、六義園(りくぎえん)、旧古河庭園、旧岩崎邸庭園
ぐるっとパス2023: [その2] 東京都庭園美術館、泉屋博古館東京、大倉集古館
ぐるっとパス2023: [その3] 帆船日本丸/横浜みなと博物館、そごう美術館 さくらももこ展
ぐるっとパス2023: [その4] 神代植物公園、八王子美術館
ぐるっとパス2023: [その5] 町田市立国際版画美術館
ぐるっとパス2023: [その6] 松涛美術館、長谷川町子美術館

ぐるっとパスを利用した都内めぐり。池袋・目白方面。地下鉄・副都心線で要町駅に行く。初めて。最初に熊谷守一美術館。その後、歩いて池袋駅へ。JR線をくぐって、「サンシャインビル」付近へ。古代オリエント博物館。この後、都電で早稲田へ。北上。神田川を渡る。肥後細川庭園へ。園内の段丘崖を上がり、永青文庫へ。帰りは、歩いて地下鉄・雑司が谷駅へ。雑司が谷駅は副都心線の駅で、ホームに降りるため4つのエスカレータを下った。副都心線は深い。なにしろ、あの地上より高いところを地下鉄が走っている渋谷駅で一番最底辺の地下を走っている。

■ 熊谷守一美術館

豊島区立熊谷守一美術館公式web site

熊谷 守一(くまがい もりかず、1880年〈明治13年〉4月2日 - 1977年〈昭和52年〉8月1日)は、日本の画家。日本の美術史においてフォービズムの画家と位置づけられている。しかし作風は徐々にシンプルになり、晩年は抽象絵画に接近した。富裕層の出身であるが極度の芸術家気質で貧乏生活を送り、「二科展」に出品を続け「画壇の仙人」と呼ばれた。勲三等(辞退)、文化勲章(辞退)。(wikipedia)

1900年(明治33年)、東京美術学校に入学。同級生に青木繁、山下新太郎らがいる。

 

美術手帖 色彩と線を振り返る 。 椹木野衣が見た、「熊谷守一美術館30周年展」2015   椹木野衣

なんでも、昭和天皇は守一の絵の熱心なファンだったというのだ。本当にそうだったのか確かめたわけではないが、生物学者でもあった昭和天皇なら、十分にありうる話だ。

■ 古代オリエント博物館


Google map

▼ ロゼッタストーンのレプリカ

Google ハエ 護符 エジプト

■ 永青文庫

公式 web site 永青文庫

永青文庫(えいせいぶんこ)は、東京都文京区目白台にある、日本・東洋の古美術を中心とした美術館。旧熊本藩主細川家伝来の美術品・歴史資料、16代当主細川護立の蒐集品などを収蔵展示研究、運営主体は公益財団法人永青文庫。理事長は18代当主の細川護熙(元内閣総理大臣)。 wikipedia

館内や展示物は一切撮影禁止。

わび茶の大成者・千利休(1522~1591)は多くの武将と交流し、茶の湯を指南しました。細川家とも関わりが深く、初代藤孝(ふじたか)(幽斎〈ゆうさい〉、1534~1610)より親交を結び、「利休七哲」の一人に数えられる2 代忠興(ただおき)(三斎〈さんさい〉、1563~1645)は、高弟として利休のわび茶を継承しました。以降、細川家では茶の湯が嗜まれ、永青文庫には大名家伝来の様々な茶道具が所蔵されています。

本展では、千利休が所持していた「唐物尻膨茶入 利休尻ふくら」や「瓢花入 銘 顔回」をはじめ、利休と細川三斎ゆかりの名品を中心に、細川家に伝わる茶道具の数々を展覧。近現代の細川家四代(16代護立〈もりたつ〉、17代護貞〈もりさだ〉、当代護熙〈もりひろ〉、護光〈もりみつ〉)が手掛けた茶碗なども紹介し、代々継承されてきた茶の美意識に迫ります。

さらに、2021年に発見された、武将茶人・古田織部(ふるたおりべ)(1544~1615)から細川三斎に宛てた貴重な手紙を初公開するほか、今年は細川家にゆかりの深い沢庵宗彭(たくあんそうほう)(1573~1645)の生誕450年にあたることから、沢庵の墨蹟を特別に展示します。 (公式 web site)

 


新しい街でもぶどう記録;第446週

2023年06月03日 18時00分00秒 | 草花野菜

▲ 今週のみけちゃん
▼ 新しい街でもぶどう記録;第446週

■ 今週の武相境斜面

■ 今週の草木花実

■ 今週の復刻本

田中角榮、『日本列島改造論』が復刻していた。出版元も同じだ。
ついこのあいだまで、古本価格は1万円近かった。

なお、表紙の角榮の顔写真が代わっている。

おいらは、その昔、ブックオフで100円で買った。

 

今日の古書相場:日本列島改造論 田中角栄

■ 今週読み始めた物語

村上春樹、『ダンス・ダンス・ダンス』。1988年の作品。『ノルウェイの森』が1987年なので、その後。『ノルウェイの森』は当時読んだが、それで村上春樹とはお別れ。お別れの理由は、村上春樹に原因があるというより、おいらが専門バカ修行へ入ったので、本全般を禁欲したから。次に読んだのが、『海辺のカフカ』(2002年)。

『ダンス・ダンス・ダンス』の時空は、1983年の札幌。おー! いたよ、おいら。もっとも、札幌という意味は、『羊をめぐる冒険』の姉妹系作品ということ以外、札幌の風土とか関係なさそう。今週、『ダンス・ダンス・ダンス』を読み始めたこととは別に昔の本を整理して見てたら出てきた。札幌の地下鉄の切符;

北12条駅から1区間、120円。これはキセルをしたのだろう。だから、手元に残っている。出るときは定期券を使ったのだ。

昭和58年7月21日。昭和58年は1983年だ。 昔はこのあたりには古本屋が多かった。


引用元

その頃、札幌の古本屋でこういうものを買った;

小坂修平は、後で出てくる。

■ 今週の傷痕文学、あるいは、<宮下公園に打ち込まれたガス弾>

村上春樹、『ダンス・ダンス・ダンス』の4章目より;

 でも僕が孤独であることー これは事実だった。僕は誰とも結びついていない。 それが僕の問題なのだ。 僕は僕を取り戻しつつある。 でも僕は誰とも結びついていない。 
 この前 誰かを真剣に愛したのはいつのことだったのだろう?
 
ずっと昔だ。 いつかの 氷河期と いつかの 氷河期との間。とにかく ずっと昔だ。 歴史的過去。ジュラ紀とか、そういう種類の過去だ。そしてみんな消えてしまった。恐竜も マンモスも サーベル・タイガーも、 宮下公園に打ち込まれたガス弾も。 そして、高度資本主義社会が訪れたのだ。 そういう社会に僕はひとりぼっちで取り残されていた。

これを今の若い人、あるいは、もしあれば翻訳で非日本人が読んだら、宮下公園に打ち込まれたガス弾、とは何であるかわからいないだろう。おそらく、読み飛ばす。マンモスのような古生物が喩えるべき何かの一例として。もっとも、ガス弾とは物騒ではあるが。事実、物騒なのだ。村上春樹の作品はわからない部位があっても読み飛ばしても大丈夫なようにつくってあり、かつ、わかる人には刺さるというつくりになっているのではないか?

宮下公園に打ち込まれたガス弾とは、渋谷暴動事件(wikipedia)のことに違いない。1971年11月14日のことらしい。「68革命」末期か。このあと、1972年2月に浅間山荘事件、3月にリンチ殺害の発覚、そして、11月には早大・川口大三郎リンチ殺害(wikipedia)へと運命はすすむ。今となっては、はっきりしているが、「やっぱり村上春樹も、"68年"の人なんだなあ」(絓秀実)。もっとも/しかしながら、村上春樹はデビュー作の『風の歌を聴け』にはっきり、「そして僕は機動隊員に叩き折られた前歯の跡を見せた」と書いているのだ。『1973年のピンボール』には「鼠が大学を去ったのには幾つかの理由があった。その幾つかの理由が複雑に絡み合ったままある温度に達した時、音をたててヒューズが飛んだ。そしてあるものは残り、あるものははじき飛ばされ、あるものは死んだ。」と明確に書いてある(愚記事:なつかしい本の話、村上春樹、『風の歌を聴け』)。

 ところが、その『風の歌を聴け』は、「若者に人気のある、アメリカ的な、都市的感性の作家」という扱い(小谷野敦、「『ノルウェイの森』を徹底批判するー極私的村上春樹論」、『=文藝評論  文壇を遠く離れて』、2003年)であった。さらに小谷野敦文学博士は、村上春樹の評価を説明する;

若者たちは、「ようやく 僕らの感性に合う 僕らの作家が登場した」という共感を示しており、 「遊戯的な文体がその寓話性を強調しており、 汗臭い「 湿った 青春小説が多いなかで」この作品は「 一遍の上質の遊び・ 冗談になっている」。春樹は、「家族のしがらみや貧乏生活の苦労など より、 都市生活者の軽いニヒリズム や ロマンチシズムを大事に」している。 つまり 「都市的感性」だというのである。(小谷野、同上)

村上春樹の初期三作は、「全共闘」崩れが主人公なのだ。その「全共闘」崩れの主人公が、

そのハイカラでスマートな軽さにまず私の肩の凝りのほぐれたことを言っておこう。しゃれたTシャツの略画まで挿入されていた。実は今何が書いてあったのか思い出せないのだが、筋の展開も登場人物の行動や会話もアメリカのどこかの町の出来事(否それを描いたような小説)のよう (島尾敏雄の『風の歌を聴け』

な世界を生きる話だ。ちなみに、群像新人文学賞の選評の選者の評では誰一人、主人公が<「全共闘」崩れ>であることに言及していない。ましてや、傷痕文学であるとは評していない。「ポップアートみたいな印象」(佐々木基一)とか。

<「だまし絵」のような村上春樹初期作品>

「だまし絵」というのがある。有名なのは上記。若い女と老婆が描かれている。多くの人がどちらかにしか気が付かない。つまり、片方が見えていない。このある種の認識の「障害」を体感できるのがこの「だまし絵」。ただし、「だまし絵」という言い方は印象が悪い。これから、村上春樹の作品の喩えに使うので。「多義的な絵、でも、どっちしか見えない絵」のこと。

村上春樹の初期三作、「若者に人気のある、アメリカ的な、都市的感性の作家」の洒落た作品という受け取られ方が主流だったらしい。一方、「傷痕」文学であるとの見方をした評論家もいた。川本三郎。

六○年代の終りから七○年代のはじめにかけて私たちの周囲にはほんとうに「鼠」のように急に姿を消してしまう友人がたくさんいた。私たちは此岸に残り、彼らは彼岸に消えた。この差はどうしようもなく大きい。

と書いているらしい(『羊をめぐる冒険』(1982年・講談社)を論じた「村上春樹をめぐる解読」(『文学界』1982年9月))。上は孫引き [ソース]。

もっとも、川本三郎が「傷痕」文学であるとわかったのは当然だ。自分が「瀕死の大怪我」をしたからだ。極左活動家とかかわり、朝日新聞を事実上馘になった(愚記事:川本三郎は、津村喬にくびを賭けず、赤衛軍・Kにくびを賭けた)。

■ 今週の「復員兵」

愚ブログでは、復員兵の子どもたちとしての団塊の世代、に関心がある。団塊の世代は父親の戦争体験を聞いて伝搬することをしないことを考えてきた。村上春樹と加藤典洋の案件は先週(村上春樹の父との確執; 特高警察の息子)書いた。

そして、今週知った。野中潤という人が、父親の戦争体験を気にしている二人の団塊の世代がいると。本が紹介されていた。今度、読んでみよう。

ちくまの教科書 > 国語通信 > 連載 > 定番教材の誕生 第5回(3/5)

▼かわぐちかいじ

これはわれわれ団塊の世代の悪い癖だ。世代としての親と敵対することはあっても、個としての親と向き合うことは避けてしまうのだ。それは不安な気持ちから、親たちの戦争体験をキチンと問わなかったことに起因している。自分の親が経験した「戦争」を聞くことから逃げてきたのだ。  われわれは、親が何者であるのかを聞くことが怖かった。もしかしたら自分の父親が、大陸で人を殺してきたのかもしれない。その悲しい運命の上に、自分の「生」が約束されたのかもしれない。それを聞くことから逃げてきた。かわぐちかいじ、『回想 沈黙の団塊世代へ』

▼小阪修平

たとえば、個人的な体験と世代的な体験との関係を自問自答しながら書き進められていく小阪修平さんの『思想としての全共闘世代』(2006年・ちくま新書)の場合も、戦争体験について「キチンと問わなかった」ということなのでしょうか、学徒出陣したという父親の過去についての詳しい記述はありません。ただ、祖父が満洲国の警察官僚だったことに言及し、父親が復員してから母親の親族が経営している相互銀行に入社して若くして支店長にまでのぼりつめたことを語る小阪修平さんが、自らを「中のやや上」の階層で「甘ちゃん」だったと書いているあたりに、“ぼんやりとしたうしろめたさ”のようなものの片鱗を見ることができます(第二章「戦後民主主義と空想」)。意地悪な言い方をすれば、小阪修平さんは、国家権力の一翼を担って大陸への侵略に加担した上に、復員後も母方の人脈をたよって出世した父親によって育てられたということになるわけです。野中潤の文章

■ 今週みた新刊、あるいは、村上春樹、『羊をめぐる冒険』のための「副読本」

山本佳展、『羊と日本人;波乱に満ちたもう一つの近現代史』、 Amazon

文明開化以降の日本には、いつも羊がいた! 日本近代史においては、戦争や貿易摩擦、不景気や震災のなかで牧羊(緬羊:めんよう)が何度も国策とされたがそのつど挫折を繰り返してきた。戦後は御料牧場を始めとした農地解放と産業の変化等、その歴史は波乱に満ちていた。そこには、不屈の挑戦を続けた多くの技術官僚や民間人がいた。信念を持ってたゆまぬ努力を続けた羊をめぐる人々の生き様―忘れられた日本の緬羊史を、在野の若手研究者が独自の視点でとらえ、執念とも言える膨大で緻密な調査と関係者への聞き取りで浮かび上がらせた、渾身のノンフィクション! 本書と関わりの深いキーワード:幕末、明治維新、アジア太平洋戦争、植民地朝鮮、満州、満蒙開拓、移民、引き揚げ、御料牧場、三里塚、畜産、酪農、地方史・郷土史…

『羊をめぐる冒険』[1]:羊が近代以前には日本にいなかった史実に基づき、物語が進むのが『羊をめぐる冒険』。羊は、日本近代そのものだよ、と登場人物に村上春樹はいわせている;

可哀そうな動物だと思わないか?まあいわば、日本近代そのものだよ。
 しかしもちろん、私は君に日本の近代の空虚性について語ろうとしているわけじゃない。

その近代日本に初めて来た羊の実証的歴史の研究書がこの本らしい。いつか、読みたい。開拓使が購入したこの羊たちの話(愚記事:91匹と9匹の羊)も載っているのだろうか? 日帝瓦解に伴う「かわいそうな羊たち」の話は載ってないとおもうが。

[1]●村上春樹、『羊をめぐる冒険』をねたにした記事;

1.■今日気づいたこと;(村上春樹とコンラッド)
2. 『羊をめぐる冒険』、羊博士は竹雀
3.■村上春樹、『羊をめぐる冒険』で、"羊"が「先生」@のち右翼の大物に入り込むのは1936年の春である。
4.■『羊をめぐる冒険』の鼠は大ブルジョア子息
5.■村上春樹、『羊をめぐる冒険』における蝗害(こうがい)
6.■物語の意味がつかみきれない『羊をめぐる冒険』についての思いつき;
7.・ 村上春樹、『羊をめぐる冒険』における囚人奴隷労働
8.■神社焼き打ちの思い出;
9.・『羊をめぐる冒険』における"転落"、あるいは羊抜けと産業空洞化
10.・村上春樹、『羊をめぐる冒険』における近代日本の空虚さの頂点の描写