呆れて、わらっちゃている人は実は多いのだ、と知り安心した。おいらだけではなかったのだ。
例えば、伊東四朗さんは、いまさら「メルトダウン」を政府が認めたことを、わらうしかないとわらっていた。
芸人さんだけあって、あっはっは、あっはっは、あっはっは!、あっはっは!、と実際にわらって 見せた 聞かせた(#1)。
(#1 文化放送、http://www.joqr.net/blog/passion/)
一方、宮崎哲弥さんは、官邸スタッフとの直接の電話で、官邸の愚劣な状況を知る。そして、笑っちゃった。丁寧にどんな笑いかが説明されていて、それは決して嗤いというものではない、空笑いであったと。そして、一晩中笑ったと書いている(#2)。
(#2 雑誌『正論』5月号)
おいらも、3.11以降は湿った嗤いではなく、空空とした笑いがこみあげている。それはドライなカラカラであり、空虚で愚劣な"祖国"に捧げる、そらぞらしい、といったわらいでもある。宮崎さんといえども、おいらは、とりあえず、マッチを擦るのはやめておいた。なぜなら、霧深い海辺ならともかく、みんなが空笑いしている乾燥しきったこの状況で、火が着くと延焼が予想もつかないからだ。第一、おいらはたばこを吸わない。
マッチは擦らなくても、空空(からから)のぼやきで亡国だ、"祖国"は唐唐(からから)国の端っこの汚染された貧しい属領になるだろう(⇒第三の波平ブログ; 日本は中国経済圏の隅にある貧しく汚染した島国になる)。
■片や、笑うでもなしの人たちもいるのだろう。今度の災いを天災視する人たちがいる。こういう人たちは、自分のルサンチマンを晴らしている。つまり、その災いの原因、あるいは被害拡大の促進要因を呪う相手と認定しようとする。例えば、「保守」(もちろんカッコつきである)派や「右翼」(これまた、もちろんカッコつきである)の怨嗟の的は菅直人首相や民主党政権である。彼らは、左翼や市民運動上がりの政治家が官邸に入ることは、王宮にならず者が闖入、跋扈するようなものと感じるようで、つまりは下剋上のようで、嫌悪しているらしい。
特に、民主党の国家崩壊政策の挙句の果てであるという見方がある。
でも、そうだろうか?原発事故だって、従来の政府を含むえすたぶりっしゅめんとサマが、民主党への政権交代にもかかわらず、そのままやってきて、そして今回の事故が出来した。保守派にとっての「民主党の国家崩壊政策」が本当になされたのであれば、政権交代直後に原発が止まっていただろう。でも、皮肉なことに、「民主党の国家崩壊政策」が本当になされなかったので、日本は福島原発の事故で瓦解しつつあるだ。やはり、「僕は原発に詳しんだ」という首相の業績ではある。
今度の福島原発の事故であばかれ・あらわに(暴露)されたことは、従来の政府を含む原発運営えすたぶりっしゅめんとサマのまぬけさである。こんなにマヌケで今までよくやってこれたなとも思うが、ついにバレちまった。さぞかし、「"千年"に一度の寝返りをうった」M(マグニチュード)9.0のなまず様は、恨まれていることであろう。
それにしても、政府は自覚的に、覚悟をもって、いわゆる「メルトダウン」の情報を操作してきたのだろうか?具体的には、後だしで頃合いを見計らって人々の関心がひけたころに凄い内容を出す。庶民が問題の本質は何かということが麻痺したり、疎くなった状況を見越して(ブログ:ロシナンテの孤独様、記事:二通り、そして、、、)、ということを狙っているのだろうか?
問題は、このふたつのうちのどちらかであり、そしてどちらが国家としてまぬけであろうか?ということ;
1.本当に「メルトダウン」が生じているとは認識していなかった。
2.「メルトダウン」が生じているに違いないが、情報操作して、国民を欺いていた。
これは、 - - だからこそアナトール・フランスは、愚か者は邪悪な人間よりも始末が悪い、といったのだ。つまり、邪悪な人間はときどき邪悪でなくなるが、愚か者は死ぬまで治らないからだ(オルテガ、『大衆の反逆』) - -の問題だ(⇒見るまでもない関連愚記事)。つまり、1.は愚か者、2.は悪党だ。
もちろん、どちらでもない現象なのかもしれない。
▼上記、"自分のルサンチマンを晴らしている。つまり、その災いの原因、あるいは被害拡大の促進要因を呪う相手と認定しようとする"とか書いたが、なによりルサンチマンで生きているおいらが、下記憂さを晴らす;
■でも、新聞だって地震後とっくに崩れ落ちた原子炉圧力容器内の燃料棒を立てたポンチ絵を読者に届け続けてきた。大本営発表の垂れ流し!つまり、おバカなのは、従来の政府を含む原発運営えすたぶりっしゅめんとサマばかりではないのだ。
■そして、何より、原子力工学の大学教授サマも、「メルトダウン」は考えられないと世間に喧伝していた(2011/3/16)。
京大教授(宇根崎博信)に聞く 福島第一原発放射能漏れ問題
――――今後どうなっていくか。
「はっきりとしたことは何とも言えませんが、現時点の把握している状況でお話します。1、2、3炉は現時点では燃料棒が十分ではないですが、 ある程度は冷やされています。その状況が続く限り、メルトダウン(炉心が全部溶けている状態)には到らないはずです。ただ、冷やす機能が損なわれるとメル トダウンする可能性もあります。4炉は定期検査中で、1、2、3炉とは異なり、原子炉の中には燃料がありません。代わりに、その燃料はプールに入れられ て、数か月冷却されておりましたが、いまだに発熱が続いている状況です。電力が津波によって断たれたため、その冷却がままならず、やがて水がなくなってい き、燃料がカラ炊きになる恐れがあります。メルトダウンにまで繋がるかは正確には計算するまで不明ですが、私はその可能性は低そうだと考えています」
(UNN関西学生報道連盟の加盟団体が配信する、東北地方太平洋沖地震関連ニュース)
どうやら、原子力村のお貴族サマは本気で大丈夫と信じていたらしい。
■「猫400号」は不死身だ。
本気で大丈夫と信じたこの宇根崎博信センセは、実は、「メルトダウン」を信じたくなかったのだろう。あるいは、見たくない者には、「猫400号」は見えない。
「猫400号」というのは、1959年の10月に新日窒附属病院の細川一院長は、院内ネコ実験により、アセトアルデヒド酢酸製造工場排水を投与した猫が水俣病を発症していることを確認し、工場責任者に報告している(猫400号実験)。しかし、工場の責任者は実験結果を公表することを禁じた (wiki 水俣病)という件における猫の「試料」番号。
この件を、実験結果隠蔽、水俣病隠しと考える歴史家もいる。でも、実は事態は複雑だ。平成になってからだと思うが、水俣病のドキュメンタリー番組がNHKで製作、放映された。そこには当事責任者の弁明が多くあった。その中にこの「猫400号」の実験責任者のインタビューがあり、「科学というものにおいては、実験結果の再現性が重要である。アセトアルデヒドの工場廃液をを与えられた「猫400号」は発症したが、発症しなかった猫もいる。だから、再現性を確認するまで、公表しなかったのだ」というような言い分。再現性を厳密なる確認と読み換えてもいい。再現できない事象もあるので、厳密なる確認も追加した。いづれにせよ、科学には不可欠のはずである。もし、この論理をとるなら、再現性実験をずーっと先延ばしすれば、魚にたまった有機水銀が水俣病の原因であるという科学的結論を出さなくて済むことになる。もちろん、インタビューを受けたその 「猫400号」の実験責任者はそこまでは言っていなかった。
でも、みなさんは常識的にこのように考えるだろう。「危険を考えて、判断は"固く"すればよく、一匹でも猫の発症が確認されたら、公表すべきと」。そうなのだ。 「猫400号」の結果が発表されなかったのは上記「科学」の思想に則ったものではなく、御都合主義に基づくものだと、邪推できる。でも、裁判でこの邪推を正当化するのは難しいと思われる。
幸か不幸か、実験結果をいちいち「発見だ!発見だ!」といっていたのでは科学は成り立たないのだ。
じゃーどういうことか?つまりは科学的知見、あるいは科学的情報収集と判断は、常識的であり社会に役立つ判断であるわけではないということ。
そこで、今回の「メルトダウン」の認定を考えよう。実は今日の段階だって、「メルトダウン」の 厳密なる確認はできていない。もちろん、10年後も無理なので、今日も「メルトダウン」はありえないと強弁する学者はいないだろう。でも、地震のあとひと月くらいの間は、情報が不足していたという口実で、「メルトダウン」はありえないと強弁できた。見たくないものは見なくていいのだ。察していても、見たくない場合は、まだ厳密に確認できていません、と答えればいいのだ。見たいもの(世紀の大発見)は、かすかに見えただけでも、発見だ!、発見だ!と騒げばいいのだ。見えないものが見える研究者、研究グループは一定数あって、その業界では有名だ、という話は数多ある。
「猫400号」には2種類ある。ポジティブ「猫400号」とネガティブ「猫400号」だ。ポジティブ「猫400号」は再現性を確認される前に大々的に喧伝されるし、ネガティブ「猫400号」はそのデータが無視ないし、抹殺される。
研究業界では、「猫400号」はあちこちにいるのだ。やはり、「猫400号」は不死身だ。恐るべし、「猫400号」。
■自分で粗計算しろや;
米国、ドイツ、フランスなどはメルトダウンと判断して、自国民を退避させた。この判断と行動について、
海外の主要メディアは、事故発生当初から、「どこから、それほど精度の高い情報を仕入れたのだろう」と思うほど詳細な情報を使って、原発事故の深刻さを克明に伝えてきた、
と書いている日本人ジャーナリストがいる(今さらの「原発メルトダウン公表」に呆れる国民 政府・東電の情報開示は、なぜ“大本営発表”なのか )。あー、日本人ジャーナリストらしいな、とおいらは思った。つまり、情報というのは何かタイルか何かものようなものでそれを所有者から譲り受けることがジャーナリストの仕事と思っているらしい。そして、ジャーナリズムというのはこのタイル入手のコネづくりだと思っているらしいこと。こういう態度のなれの果てがネット・ツイッターの【拡散希望】行動だ。タイルを量産して(コピペ)ばらまくイメージ。今回も"「安全」デマ"が大量に拡散した。これらを拡散したのは、メルトダウンを信じたくない御仁たち・ツイッターたちに他ならない。
どこから、それほど精度の高い情報を仕入れたのだろう、ってたぶん、自分で計算したんだよ。
燃料棒の発熱量、熱除去できなかった時間(つまりは空だき時間)を基に、燃料棒の構成物質の比熱と融点、さらには燃料棒の強度などを考慮して、燃料棒の力学的安定性の破壊限界を推定したのだ。もちろん、推定である。でも、おおよそ計算できる。
不 思議なのは日本人でこれをやって、概算でも公表する専門家がいなかったこと。あるいは、大手マスコミはそのプロにシミュレーションを頼めばよかったのだ。 大本営発表ばかり垂れ流していないで。後知恵でもなく、水素爆発発生を受けて、水素生成量の推定、そして水素発生源のジルコニアの酸化反応程度などを試算 した例は、
「・理論物理計算が示す原発事故の真相」(現代化学5月号)にある。ここで、西村 肇センセの関心は大きすぎる水素爆発の原因解明である。西村 肇センセだってたぶん、自分で計算したんだよ。
西村 肇センセは自前で計算したけれど、つまりは物性値をひとつひとつ丹念に拾い集め、あるいは推定し、計算したけれど、原子炉のプロはシミュレーターをもっているはずだから、数時間の空だきで炉心燃料棒崩壊を推定できたはずだ。事実、燃料棒全崩壊をプロとして公言し、その発言が一番世間に伝わったのは、4月末の朝生での石川迪夫御大である(⇒ 日本原子力技術協会最高顧問・石川迪夫の「朝まで生テレビ」発言主旨(「福島の燃料棒は全部溶け落ちている!」)
やはり、石川迪夫御大は、バカじゃなかったのだ。よがった!(???)。悪党だったのだ。それにしても、後進が;
やがて水がなくなってい き、燃料がカラ炊きになる恐れがあります。メルトダウンにまで繋がるかは正確には計算するまで不明ですが、私はその可能性は低そうだと考えています
だもんね。ご愁傷さま。
なぜ、ぬっぽんえすたぶりっしゅめんとは三代目で"破綻すますた"と唐様で書くのか、というぬっぽんの最重要問題のいい考察事例だべさ。
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