今の日本人の圧倒的多数は、戦争も敗戦も経験しなかった世代だ。実際に武器をもって戦った経験のある人はほぼ皆無である。しかし、中国のスパイ気球が大きな国際問題になり、台湾有事が切羽詰まっているといわれる現在、私たちに何ができるかである。
政治というのは、敵と味方の明確な区別であり、交戦権のあるなしは、国家の根本だといわれる。しかし、我が国は敵を想定するということを忘れてしまった。そもそもの前提が、国際社会は平和な国家によって形成されており、身構えることは軍国主義の復活だ、と勝手に思い込み、憲法9条を不磨の大典のごとく、押し戴いてきたのである。
もはやそんな平和ボケは許されなくなっている。それでもマスコミの多くや、国民の一部は、防衛力を増強することに否定的である。殺したり、殺されたりするのであれば、白旗を掲げて、降伏すべき、との極論すらある。
危機はここ2、3年という見方が有力である。まずは戦争にならないようにするには、防衛力を充実させ抑止力を高めなくてはならない。また、米国にとどまらず、豪州、フイリッピン、NATOの同盟関係を強化しなくてはならない。台湾有事は日本有事でもあることから、軍事的な支援をも検討すべきだろう。
刻々と事態は推移しているが、高橋洋一氏によると、1962年のキューバ危機の時と類似しているという。米中の軍事的な緊張が徐々に高まっていることは確かである。何もせずに戦争になるよりは、最善の策を講じるのが、私たちの責務ではないだろうか。