あれだけ新聞やテレビに叩かれても、各媒体の世論調査によれば、安倍内閣の支持率は大幅にアップしている。国民はもはやマスコミの言いなりにはならなくなっているのだ。民主党など野党の体たらくが自民党を助けているのである。自民党とて絶対ではない。特定アジアに媚び日本の国益など顧みない国家議員もかなりいる。世襲で政治家になった人間が多く、志がなくても務まってしまうのである。野党の退潮のなかで、今後焦点となってくるのは、自民党内の権力闘争である。戦後の言論空間を死守しようとする勢力は、安倍首相を倒すために、宏池会の岸田外相を担ぎあげるだろう。憲法改正に慎重なグループが前面に出てくるに違いない。政界はあくまでも一寸先が闇なのである。江藤淳は『批評家の気儘な散歩』において言葉の復権を主張した。「私どもまず目をつぶって、私どもの沈黙の声を聞いてみる。そしてまず自分の中にかすかに燃えている灯を見詰めてみる。そしてそこに託された言葉を一人ずつが自分の声で語りはじめてみる。そういうささやかな試みを通じて我々一人一人が、やはり生まれてきて死んでいくものであるということ、世界がどうなっていこうと人間のこの条件は変わりようがなく、そこからぬけ出す道は言葉にしかないことを、自分のなかで確かめ直す以外に、言葉を復権させる道はないのではないかと考えます」。日本人が日本人であることを取り戻すためには、憲法改正を避けては通れないのである。アメリカに押し付けられた憲法はあくまでも翻訳でしかなく、日本の歴史や伝統の上に立脚していないからである。
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