できもしないことを言ってお咎めがないと思ったら大間違いだ。鳩山政権の支持率が急落しているのは、国民が騙されたのに気がついたからだ。鳩山由紀夫首相も防戦一方になってきており、ギブアップするのは時間の問題だ。谷垣禎一自民党総裁が党首討論で、普天間基地の移設問題についての鳩山首相の対応を批判し、最悪の結果になった場合の責任の取り方について言及した。鳩山首相は「今努力している最中ですから」と答弁するのが精一杯で、何を血迷ったのか、腹案があるということまで口にした。そうであるなら、一日も早く関係自治体と話し合いに入ればいいのに。それもしないでいて、よくぞそんなことが言えたものだ。しかし、鳩山政権や民主党がここまでひどいと、いくら何でもかばいきれないのではなかろうか。TBSの「時事放談」のレギュラー出演者であった細川隆元が、期待される総理大臣の条件として、「指導力、包容力、政治目標の設定、実行力、そして何ものにもかえがたきその宰相の人間性」(『隆元のわが宰相論』)というのを挙げていた。鳩山首相はその全てが欠けていないだろうか。とくに、人間性ということになると、あまりに恵まれた環境に育ったせいか、ピントがずれているように思えてならない。宰相の発言は、言葉の一言一句に説得力が求められるのに、軽佻浮薄に聞こえてならないからだ。一度国民からの信頼を失えば、それを取り戻すのは、至難の業なのである。
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