会津っぽの渡部恒三代議士は、民主党のなかで唯一正論を述べているが、「政権が代わったから(自民党政権での合意は)パーということになったら、国際政治はなり立たない」という意見も、まさしく正論である。こんなことは政治学のイロハではないか。渡部代議士とは、同じ会津高校の同級生で、飯盛山で血盟の誓いをしたという小室直樹も、それと同様なことを言っていたと思う。外交とか防衛とかは、まずは継続性が大事だからだ。政治家は党利党略で選挙のことしか考えていないが、プロフェッショナルとしての外務、防衛官僚は、その分野に関しては、膨大な知識を保有している。さらに、米国のような同盟国との間でも、あらゆる情報の交換を行っている。政治主導だからと彼らをまったく無視するというのは、愚かにもほどがある。護衛艦「すずなみ」に、中国海軍の艦載ヘリコプターが挑発行為を働いたが、赤星慶治海上幕僚長が「護衛艦の航行に影響が出た」とコメントしたのは、北沢俊美防衛大臣の発言では、あまりにも生ぬるいと思ったからだろう。民主党は徹底した報道管制を布いている。スポークスマンを政治家が務めると、自分たちに都合のいいことしか言わないのである。しかし、今回の鳩山首相の訪米においては、オバマ大統領との正式な会談が見送られてしまった。日本外交にとって、かつてない汚点である。黄門さんの正論が通用しないような民主党政治のせいで、米国も匙を投げたのである。鳩山首相はこれから一体どうするつもりなのだろう。
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