
天野屋糀室
神田明神前の天野屋の地下糀室が千代田区の文化財に指定された。天野屋は、あま酒で有名であるが創業174年の歴史を誇る。有形文化財に指定された糀むろは、100年以上から使用されているもので、地下室として建設された。
現存する部分の構造は半円形で、明治37年に煉瓦張りされた地下室と、関東大震災後に補強のため煉瓦張りになった箇所がある。
このような土木構造物は、千代田区では唯一のもの。都心の地価6mにあり、震災や戦災をくぐり抜けてきたものであることや現在でも糀・あま酒の製造のために実用されているということから、数少ない貴重な物件であるといえる。 歴史資料から、この高台で関東ローム層という地盤をいかして糀。味噌などを扱う店が集中していたことが確認されている。この地域特性を明らかにする上でも、天野屋の地下糀室は貴重な物件である。(千代田区広報より)
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天野屋さんの地下糀室には何回か見学をさせていただいたことがある。地下の室温は、ほとんど一年中変わらないとのこと。天野屋さんの男衆は、糀のなかに手を入れただけで温度が分かると言うから凄い。糀を発酵させてあま酒の基を精製する。あま酒の季語は夏。江戸時代は夏バテの防止にあま酒を飲んでいたようだ。女性の美容に効用があるという。そういえば、天野屋さんの女性たちは肌が白く美しいのはそのせいとも言われている。