今の千代田区神田須田町一丁目と淡路町二丁目の間が、連雀町ということになる。町すじが、むかしの東京の匂いをただよわせている、と池波正太郎が表現している通り。
美味しいお店が、軒を連ねる。そば屋のまつや、鳥鍋のぼたん、粟ぜんざいの竹むらは、あんこう鍋のいせ源は、むかしの店構えのままである。戦前の東京が、ポツンと残っているわけだ。
古いもの懐かしいものは、何でもかんでも、壊し、スマートを是とする風潮。戦災を逃れただけでも大変なことなのに、 そういう風潮にも耐え、池波が、愛し、通った店は、旧態をとどめている。これほど、ありがたいことはない。そういう街を、みなさんと歩き、甘味をいただける。池波をたどる小さな旅そのもではないだろうか。(トラベルキャスター 津田令子さん記)