昨日は定時に職場を飛び出してSさんの瞑想ヨーガクラスに向かった。いよいよSさんも来月の出産を控え、残すところ僅かの貴重なクラスだ。「今月からは開始時間を30分繰り上げさせて頂きます」ということで、いつもより早く到着しなければならなかったのに、間違えて先に来た快速電車に乗ってしまい、さらにそれに気づかず、次の特急の待ち合わせをやり過ごす始末。ああ、急いでいる時に限ってこういうボケたことをする。ケモブレインではないか。シュン。
それでもなんとか滑り込みセーフでスタジオに到着した。30分早い開始ということで、間に合わない方もおられる様子。まだスタジオには数人しかいなかった。ヨガマットは8枚ほど敷いてある。Sさんは立派になったお腹を抱えて、すっかりママの顔だ。夜眠ろうとするとは赤ちゃんが元気に動き回って(これまでとても寝付きが良かったのだが)、人生で初めて眠れないという経験をしたと仰っていた。ああ、確かに夜こちらがベッドに入ると俄然息子も動き出したなあ、と20年以上前の自分の妊婦時代を回想。曰く日中の血流は妊婦さんに、夜中の血流は胎児に届くのだそうだ。
指導者養成コースでご一緒したKさんのほか、M先生のクラスでご一緒した方など7名の方が参加。今日もまずはガネーシャ像にご挨拶。
冒頭、不安な時のヨーガの智慧での対処法をお話される。なるほどな、と思う。私もこの考え方が出来るようになってから、病院でもあまり不安な気持ちにならなくて済んでいる。要は、何があってもそれはなるべくしてなったこと、として受け入れる、ということである。
起こるかどうかわからないことをいくら考えても仕方ない。だから何が起こってもどんなことがあっても受け入れる、と心に決めればよいということだ。そのために今日はギリギリのところまでポーズを深めるという、ちょっと不安になりそうなレッスン。これ以上では痛くなってしまう、でもこれ以下だとちっとも辛くない、その間の自分なりのギリギリのところでキープする。ゆっくりとした流れで自分なりに落ち着くポジションが決まったら、ゆっくりとプラーナヤーマ。股関節が結構きつかったし、どのポーズも呼吸を深くしていないとかなり大変だった。
最後の瞑想は完全呼吸法から。最後のキールタンは御馴染みの、あらゆる障害を取り除いてくれるガネーシャと母の愛を歌うママ。深い瞑想の後、シャヴァーサナでポーズの余韻を味わい、キールタンで皆と合わせた声の余韻を味わい、すっかり満ち足りて幸せになった。ああ、もう何が起こっても不安なんてないわ、という不思議なくらいの全能感。ひたすら平和なシャーンティな気分である。
帰りは指導者養成コースご一緒したKさんと駅までご一緒した。帰路は普段より30分以上早い各駅電車に間に合って席が確保出来た。
病院最寄り駅近辺の常宿にチェックイン。小腹が空いていたのでコンビニでゲットしたおやつをお腹に入れてから入浴。ベッドに入ったら、足の爪が痛いのも忘れて5時間以上連続して眠ることが出来た。そしてしつこくもうひと眠りして目覚ましが鳴るのを待った。夫にモーニングLINEをしたら「おはようございます」と返事。浴槽足湯は、浮いた右足親指の爪が水を含んでパコパコして嫌な感じになるのでやめておいた。
焼きたてサクサクのデニッシュや野菜ジュースでお腹を満たし、部屋に戻ってゆっくり新聞を読み、母にご機嫌伺いの電話をしてから朝の連続テレビ小説タイム。うーん、これは今後の展開が気になることになってきた。 チェックアウトして外に出ると、小雨が降っている。予報より早くお天気が崩れたようだ。
傘を差して泥ハネを上げないように気を付けて歩く。足がぼんやり痺れて鈍い痛みがあるし、ぼーっとして水たまりに入ったりしないように注意が必要だ。
病院に到着し、IDカードを通して採血受付に出向く。採血の番号を取ると、66番。6月6日の66番だからいいことがあるかも、と病院受付の番号を見直すと656番だった。666でなかったのがちょっと口惜しい。7分待ちとあったが、ほどなくして部屋に入れた。何回かお世話になっている看護師Kさんに3本採って頂く。刺針も抜針もちょっとピリリとした。止血しながら腫瘍内科へ移動。
既に定位置は埋まっており、後方の席を確保して、読書開始。
今日のお伴は1冊目がNHK取材班による「なぜ、わが子を棄てるのか 『赤ちゃんポスト』10年の真実(NHK出版新書)。
帯には「追い詰められた女たち、身勝手な男たち なくならない育児放棄に児童遺棄。『ポスト』が社会の暗闇を浮かび上がらせる 大反響のクローズアップ現代+の新書」とある。読みながら何度もため息が出て、本を閉じようとした。
けれど、結局最後まで一気に読み切ってしまった。きれいごとを言うつもりはないけれど、どんな赤ちゃんに対しても「生まれて来てくれてありがとう」と言ってあげられる社会になることを祈らずにはいられない。一人の赤ちゃんが人として生まれてくるのは何よりも奇跡なのだから。
腫瘍内科の予約時間まで1時間。読書の切りのいいところで血圧測定。100-63、脈拍は71。ちょうど1時間待ったところで中待合へどうぞ、と電子掲示板に番号が出、その後40分近く待って先生がお顔を出された。朝の受付から先生にお目にかかるまでやはり2時間近い。
「さて、こんな天気だと痛いですかね。」と先生に問われ、「気圧の変動に敏感で、やはり胸骨のあたりが痛みます。またお腹の調子が良すぎて、ともすると下痢になります。2回ほど水様便まで行ってロペミンを飲みました。フロモックスを止めて3週間、足の爪はまだ脱落していませんが、爪囲炎がぶり返してきたようで、腫れて痛みます。あとは手の爪がとても弱くなっており、すぐに欠けたり折れたりして手袋を外せません。」とお応えする。
昨日の夜も、お財布からクレジットカードを引っ張り出そうとしただけで、手袋をしていたにもかかわらず、気づいたら右の薬指と左の中指の爪が欠けたり折れたりしていて、ホテルで爪切りを借りたのだった。結果凄い深爪になっている。
「休薬期間が内服期間より長いのに、あまり休んでいる気がしません。せっかくの休薬の恩恵があまり感じられません。手足も悪化はしないけれど、ずっと変わらない状態で、いつもだるくて眠くて身体が重い感じです。手のひらの発赤もあります」と手袋を外す。
「うーん、それでは、血中濃度と治療の効果を考えて、5日飲んで2日休みを2週繰り返して、その後飲めそうならば4日飲んで3日休むというトライアルをしてみたらどうでしょう。10日飲み続けると色々副作用が出るので、短くして休みを入れながら、飲み方を変えてみたらどうでしょう。」と仰る。
「ちなみにそういう飲み方をしておられる先輩はいらっしゃるのですか。」と問うと「いえ、パイオニアですから」とのお返事。やっぱりそうか、先駆者なのか。これもまた私のためのカスタマイズなのである。これまでも先生の絶妙な匙加減で色々な不具合を乗り越えてきた。そして出来るだけ長く薬が使えるようにして頂いてきた。
「点滴の方が楽で、2,3日寝込めば後は休薬期間でドンドン動けたのですが」と言うと、「いや、寝込むようなら治療しませんから。」と。先日も話題にしたSHO先生のブログではないが、抗がん剤治療とは副作用対策、これに尽きるのである。「寝込まずに出来るだけ普通の生活を続けるにはどういう飲み方をすればいいか、続けられなくては意味がないということです。世間一般には点滴はキツイ、内服はマイルドと言われていますが、実はそんなことはなく、点滴の方が後腐れがないんです。内服は副作用が続きますから、決して楽なわけではないんですよ。」と仰る。本当にそうだ。
ということで、パイオニアの飲み方にチャレンジである。既に168錠が規定のところ80錠にまで減らしているので、これ以上は減らせない。今回の提案の飲み方だと少なくとも2週間で10日間80錠は飲める。そしてその時にうまく副作用が出ないでくれれれば、これまでよりプラスアルファが最大4日分飲めるわけだ。もちろん無理そうならば飲まなくてよい、という条件で。
診察室での検温は6度6分。
採血の結果、白血球は3,800で好中球は1,200。肝機能は正常で、血糖値が67でやや低めだそう。今朝も甘いデニッシュを食べて来たのになあと独り言ちる。今日はハーセプチンを予定通り行って、パイオニア的飲み方でゼローダ8クールを明日からトライアルである。
ご挨拶をして診察室を出、化学療法室へ入る。待ち合い椅子にはどなたも座っていないが、リクライニング椅子やベッドはいずれもほぼ埋まっている感じ。ほどなくして看護助手さんが窓側一番端の私のお気に入りのリクライニング椅子に案内してくださった。態勢を整えて夫やお友達に報告LINE。針刺しと薬が届くのを待つ。
本日2冊目は藤原和博さんの「人生の教科書[おかねとしあわせ]」(ちくま文庫)。
帯には「中くらいの幸せはお金で買える お金は額より使い方」とある。裏表紙には「日本人の幸福度は先進国の中で最も低い。「お金があっても幸せになれない」のはお金の使い方がわかっていないからかもしれない。著者は「人との絆を深める使い方だけが幸せを導くのだ」と断言する。幸せになるお金の使い方を18の法則にして紹介する」とある。藤原さんといえば、リクルートを止めて都内で義務教育初の民間校長となった方。これは面白いかも、と頁を繰った。なるほど、参考にすべき部分は沢山。そして自分が幸せであることも実感できる1冊だった。
刺針には、中では一番新しい年配の看護師さんが見える。以前も一回刺して頂いたのだけれど、全く痛まずとてもお上手だった。今日もまずまずスッと行く。「やっぱりポートはいいですねえ」と仰る。「腕の時は大変だったんですよ、お互い大汗で・・・」とひとしきりポート談義。20分ほどしてKdさんと一緒に薬をセットしてくださる。爪囲炎の話等をして、ハーセプチンと生理食塩水で1時間半。
終了時間際にOkさんがいらして、「どうなった?」と仰るのでパイオニア的飲み方を説明すると、「薬局で『?』とならないように、薬剤部からコメントを書いてもらいますね」と処方箋をお持ちになった。確かに普通は14日飲んで7日休むという飲み方で、断続的に飲むという飲み方は通常ではないので、これはいったい、おかしくないですか、と病院に確認と問合せの電話があったりすると、余計な待ち時間がかかる。それを事前に避けましょうね、という有難いご提案だ。
ほどなくして、男性薬剤師さんが「倦怠感等顕著のため、主治医確認済み」と付箋を貼った処方箋を持ってきてくださった。チーム医療ここにあり、である。
血圧を測って頂くと、100-56、脈拍は58。抜針も衝撃がなく、ほっとした。
病院滞在時間は4時間半近く。会計書類を腫瘍内科受付に出してから、時間を見計らって自動支払機へ移動した。いつもどおり採血、点滴の3割負担の3万円強をカードで支払う。
外に出ると雨がしとしと降り続いている。やはり今日をもって関東地方も梅雨入りだ。湿度が高く、ムシムシした感じ。ああ、これから1か月はこのお天気が続いて夏になっていくのだなあと思う。
薬局に入ると、それほど混んでいない。これはあまり待たないかな、と思ったけれどやはりそこそこの時間がかかった。今日は3週間分を1週間分ごとに3袋に分けるように処方してくださったゼローダと、ミヤBM錠の2種類だったけれど、薬剤師さんには病院の薬剤部から付箋のついた処方箋が渡っていたので、飲み方についての問い合わせをして頂くこともなくスムーズ。本当に色々な方たちに支えられている、と改めて感謝である。ゼローダがいつもより4日分多いので、1万5千円弱をカード払い。
病院と薬局の合計滞在時間は結局5時間強。それほど強くはないけれど、濡れる雨がそぼ降っている。お友達と何度も通った駅ビルのイタリアンレストランでテラス席に案内された。ホテルの吹き抜けになっていて解放感たっぷり。車内では読むものもなく、スマホであれこれ調べもの。
乗換駅のスーパーでお弁当を調達。大荷物だし、最寄り駅では迷わずタクシー乗り場へ急いだのだが、あいにくのお天気、考えることは皆同じでタクシーは出払っており、長い列だった。諦めて傘を差し、両肩にバッグとエコバッグのダブルの荷物をかけ、片手には手提げ袋を持ってトボトボと帰宅した。
玄関には今月1回目のお花が届いていた。ピンクと黄色のLAリリーが合わせて3本、紫のネギ坊主のようなギガンジュームが2本、アレカヤシの葉が2本。花言葉はそれぞれ「威厳」、「不屈のこころ」だそうだ。いかにもスックと伸びてぴったりの花言葉。こちらも真似してすっくと背筋を伸ばし、胸を張って過ごそうではないか。
ゼローダは明日からパイオニア的飲み方で8クール再開。明日の会議は学内だけれど、研修もあったりで忙しい。あと2日無事に乗り切らなくては。
それでもなんとか滑り込みセーフでスタジオに到着した。30分早い開始ということで、間に合わない方もおられる様子。まだスタジオには数人しかいなかった。ヨガマットは8枚ほど敷いてある。Sさんは立派になったお腹を抱えて、すっかりママの顔だ。夜眠ろうとするとは赤ちゃんが元気に動き回って(これまでとても寝付きが良かったのだが)、人生で初めて眠れないという経験をしたと仰っていた。ああ、確かに夜こちらがベッドに入ると俄然息子も動き出したなあ、と20年以上前の自分の妊婦時代を回想。曰く日中の血流は妊婦さんに、夜中の血流は胎児に届くのだそうだ。
指導者養成コースでご一緒したKさんのほか、M先生のクラスでご一緒した方など7名の方が参加。今日もまずはガネーシャ像にご挨拶。
冒頭、不安な時のヨーガの智慧での対処法をお話される。なるほどな、と思う。私もこの考え方が出来るようになってから、病院でもあまり不安な気持ちにならなくて済んでいる。要は、何があってもそれはなるべくしてなったこと、として受け入れる、ということである。
起こるかどうかわからないことをいくら考えても仕方ない。だから何が起こってもどんなことがあっても受け入れる、と心に決めればよいということだ。そのために今日はギリギリのところまでポーズを深めるという、ちょっと不安になりそうなレッスン。これ以上では痛くなってしまう、でもこれ以下だとちっとも辛くない、その間の自分なりのギリギリのところでキープする。ゆっくりとした流れで自分なりに落ち着くポジションが決まったら、ゆっくりとプラーナヤーマ。股関節が結構きつかったし、どのポーズも呼吸を深くしていないとかなり大変だった。
最後の瞑想は完全呼吸法から。最後のキールタンは御馴染みの、あらゆる障害を取り除いてくれるガネーシャと母の愛を歌うママ。深い瞑想の後、シャヴァーサナでポーズの余韻を味わい、キールタンで皆と合わせた声の余韻を味わい、すっかり満ち足りて幸せになった。ああ、もう何が起こっても不安なんてないわ、という不思議なくらいの全能感。ひたすら平和なシャーンティな気分である。
帰りは指導者養成コースご一緒したKさんと駅までご一緒した。帰路は普段より30分以上早い各駅電車に間に合って席が確保出来た。
病院最寄り駅近辺の常宿にチェックイン。小腹が空いていたのでコンビニでゲットしたおやつをお腹に入れてから入浴。ベッドに入ったら、足の爪が痛いのも忘れて5時間以上連続して眠ることが出来た。そしてしつこくもうひと眠りして目覚ましが鳴るのを待った。夫にモーニングLINEをしたら「おはようございます」と返事。浴槽足湯は、浮いた右足親指の爪が水を含んでパコパコして嫌な感じになるのでやめておいた。
焼きたてサクサクのデニッシュや野菜ジュースでお腹を満たし、部屋に戻ってゆっくり新聞を読み、母にご機嫌伺いの電話をしてから朝の連続テレビ小説タイム。うーん、これは今後の展開が気になることになってきた。 チェックアウトして外に出ると、小雨が降っている。予報より早くお天気が崩れたようだ。
傘を差して泥ハネを上げないように気を付けて歩く。足がぼんやり痺れて鈍い痛みがあるし、ぼーっとして水たまりに入ったりしないように注意が必要だ。
病院に到着し、IDカードを通して採血受付に出向く。採血の番号を取ると、66番。6月6日の66番だからいいことがあるかも、と病院受付の番号を見直すと656番だった。666でなかったのがちょっと口惜しい。7分待ちとあったが、ほどなくして部屋に入れた。何回かお世話になっている看護師Kさんに3本採って頂く。刺針も抜針もちょっとピリリとした。止血しながら腫瘍内科へ移動。
既に定位置は埋まっており、後方の席を確保して、読書開始。
今日のお伴は1冊目がNHK取材班による「なぜ、わが子を棄てるのか 『赤ちゃんポスト』10年の真実(NHK出版新書)。
帯には「追い詰められた女たち、身勝手な男たち なくならない育児放棄に児童遺棄。『ポスト』が社会の暗闇を浮かび上がらせる 大反響のクローズアップ現代+の新書」とある。読みながら何度もため息が出て、本を閉じようとした。
けれど、結局最後まで一気に読み切ってしまった。きれいごとを言うつもりはないけれど、どんな赤ちゃんに対しても「生まれて来てくれてありがとう」と言ってあげられる社会になることを祈らずにはいられない。一人の赤ちゃんが人として生まれてくるのは何よりも奇跡なのだから。
腫瘍内科の予約時間まで1時間。読書の切りのいいところで血圧測定。100-63、脈拍は71。ちょうど1時間待ったところで中待合へどうぞ、と電子掲示板に番号が出、その後40分近く待って先生がお顔を出された。朝の受付から先生にお目にかかるまでやはり2時間近い。
「さて、こんな天気だと痛いですかね。」と先生に問われ、「気圧の変動に敏感で、やはり胸骨のあたりが痛みます。またお腹の調子が良すぎて、ともすると下痢になります。2回ほど水様便まで行ってロペミンを飲みました。フロモックスを止めて3週間、足の爪はまだ脱落していませんが、爪囲炎がぶり返してきたようで、腫れて痛みます。あとは手の爪がとても弱くなっており、すぐに欠けたり折れたりして手袋を外せません。」とお応えする。
昨日の夜も、お財布からクレジットカードを引っ張り出そうとしただけで、手袋をしていたにもかかわらず、気づいたら右の薬指と左の中指の爪が欠けたり折れたりしていて、ホテルで爪切りを借りたのだった。結果凄い深爪になっている。
「休薬期間が内服期間より長いのに、あまり休んでいる気がしません。せっかくの休薬の恩恵があまり感じられません。手足も悪化はしないけれど、ずっと変わらない状態で、いつもだるくて眠くて身体が重い感じです。手のひらの発赤もあります」と手袋を外す。
「うーん、それでは、血中濃度と治療の効果を考えて、5日飲んで2日休みを2週繰り返して、その後飲めそうならば4日飲んで3日休むというトライアルをしてみたらどうでしょう。10日飲み続けると色々副作用が出るので、短くして休みを入れながら、飲み方を変えてみたらどうでしょう。」と仰る。
「ちなみにそういう飲み方をしておられる先輩はいらっしゃるのですか。」と問うと「いえ、パイオニアですから」とのお返事。やっぱりそうか、先駆者なのか。これもまた私のためのカスタマイズなのである。これまでも先生の絶妙な匙加減で色々な不具合を乗り越えてきた。そして出来るだけ長く薬が使えるようにして頂いてきた。
「点滴の方が楽で、2,3日寝込めば後は休薬期間でドンドン動けたのですが」と言うと、「いや、寝込むようなら治療しませんから。」と。先日も話題にしたSHO先生のブログではないが、抗がん剤治療とは副作用対策、これに尽きるのである。「寝込まずに出来るだけ普通の生活を続けるにはどういう飲み方をすればいいか、続けられなくては意味がないということです。世間一般には点滴はキツイ、内服はマイルドと言われていますが、実はそんなことはなく、点滴の方が後腐れがないんです。内服は副作用が続きますから、決して楽なわけではないんですよ。」と仰る。本当にそうだ。
ということで、パイオニアの飲み方にチャレンジである。既に168錠が規定のところ80錠にまで減らしているので、これ以上は減らせない。今回の提案の飲み方だと少なくとも2週間で10日間80錠は飲める。そしてその時にうまく副作用が出ないでくれれれば、これまでよりプラスアルファが最大4日分飲めるわけだ。もちろん無理そうならば飲まなくてよい、という条件で。
診察室での検温は6度6分。
採血の結果、白血球は3,800で好中球は1,200。肝機能は正常で、血糖値が67でやや低めだそう。今朝も甘いデニッシュを食べて来たのになあと独り言ちる。今日はハーセプチンを予定通り行って、パイオニア的飲み方でゼローダ8クールを明日からトライアルである。
ご挨拶をして診察室を出、化学療法室へ入る。待ち合い椅子にはどなたも座っていないが、リクライニング椅子やベッドはいずれもほぼ埋まっている感じ。ほどなくして看護助手さんが窓側一番端の私のお気に入りのリクライニング椅子に案内してくださった。態勢を整えて夫やお友達に報告LINE。針刺しと薬が届くのを待つ。
本日2冊目は藤原和博さんの「人生の教科書[おかねとしあわせ]」(ちくま文庫)。
帯には「中くらいの幸せはお金で買える お金は額より使い方」とある。裏表紙には「日本人の幸福度は先進国の中で最も低い。「お金があっても幸せになれない」のはお金の使い方がわかっていないからかもしれない。著者は「人との絆を深める使い方だけが幸せを導くのだ」と断言する。幸せになるお金の使い方を18の法則にして紹介する」とある。藤原さんといえば、リクルートを止めて都内で義務教育初の民間校長となった方。これは面白いかも、と頁を繰った。なるほど、参考にすべき部分は沢山。そして自分が幸せであることも実感できる1冊だった。
刺針には、中では一番新しい年配の看護師さんが見える。以前も一回刺して頂いたのだけれど、全く痛まずとてもお上手だった。今日もまずまずスッと行く。「やっぱりポートはいいですねえ」と仰る。「腕の時は大変だったんですよ、お互い大汗で・・・」とひとしきりポート談義。20分ほどしてKdさんと一緒に薬をセットしてくださる。爪囲炎の話等をして、ハーセプチンと生理食塩水で1時間半。
終了時間際にOkさんがいらして、「どうなった?」と仰るのでパイオニア的飲み方を説明すると、「薬局で『?』とならないように、薬剤部からコメントを書いてもらいますね」と処方箋をお持ちになった。確かに普通は14日飲んで7日休むという飲み方で、断続的に飲むという飲み方は通常ではないので、これはいったい、おかしくないですか、と病院に確認と問合せの電話があったりすると、余計な待ち時間がかかる。それを事前に避けましょうね、という有難いご提案だ。
ほどなくして、男性薬剤師さんが「倦怠感等顕著のため、主治医確認済み」と付箋を貼った処方箋を持ってきてくださった。チーム医療ここにあり、である。
血圧を測って頂くと、100-56、脈拍は58。抜針も衝撃がなく、ほっとした。
病院滞在時間は4時間半近く。会計書類を腫瘍内科受付に出してから、時間を見計らって自動支払機へ移動した。いつもどおり採血、点滴の3割負担の3万円強をカードで支払う。
外に出ると雨がしとしと降り続いている。やはり今日をもって関東地方も梅雨入りだ。湿度が高く、ムシムシした感じ。ああ、これから1か月はこのお天気が続いて夏になっていくのだなあと思う。
薬局に入ると、それほど混んでいない。これはあまり待たないかな、と思ったけれどやはりそこそこの時間がかかった。今日は3週間分を1週間分ごとに3袋に分けるように処方してくださったゼローダと、ミヤBM錠の2種類だったけれど、薬剤師さんには病院の薬剤部から付箋のついた処方箋が渡っていたので、飲み方についての問い合わせをして頂くこともなくスムーズ。本当に色々な方たちに支えられている、と改めて感謝である。ゼローダがいつもより4日分多いので、1万5千円弱をカード払い。
病院と薬局の合計滞在時間は結局5時間強。それほど強くはないけれど、濡れる雨がそぼ降っている。お友達と何度も通った駅ビルのイタリアンレストランでテラス席に案内された。ホテルの吹き抜けになっていて解放感たっぷり。車内では読むものもなく、スマホであれこれ調べもの。
乗換駅のスーパーでお弁当を調達。大荷物だし、最寄り駅では迷わずタクシー乗り場へ急いだのだが、あいにくのお天気、考えることは皆同じでタクシーは出払っており、長い列だった。諦めて傘を差し、両肩にバッグとエコバッグのダブルの荷物をかけ、片手には手提げ袋を持ってトボトボと帰宅した。
玄関には今月1回目のお花が届いていた。ピンクと黄色のLAリリーが合わせて3本、紫のネギ坊主のようなギガンジュームが2本、アレカヤシの葉が2本。花言葉はそれぞれ「威厳」、「不屈のこころ」だそうだ。いかにもスックと伸びてぴったりの花言葉。こちらも真似してすっくと背筋を伸ばし、胸を張って過ごそうではないか。
ゼローダは明日からパイオニア的飲み方で8クール再開。明日の会議は学内だけれど、研修もあったりで忙しい。あと2日無事に乗り切らなくては。