今日も駅前(AKIBAオジン)

ツクバEX開業日から始めた親父居酒屋の放浪記。下町の居酒屋、旅先の地酒・酒蔵・秘湯、森と水の話や、たまには政治談義など。

岩手は「鉛温泉」、「大沢温泉」新緑・深緑織り成す名湯行脚

2016年05月17日 | 秘湯、露天風呂

  ゴールデン連休明けの五月半ば、いつもの仲間七人と岩手・花巻の温泉郷へ二泊三日の旅。馴染みのビューの企画旅行「地温泉シリーズ」、今回は地温泉31湯の内の2湯、「鉛温泉」と「大沢温泉」を連泊旅行。東京から北上までの新幹線利用、北上から東北本線で花巻へ。当然のごとく、列車の旅では東京駅から早速の酒盛り開始となる。

 花巻に正午過ぎ到着。新花巻温泉郷行きの市バスは二時間後となれば昼食は市役所近くの「やぶ屋」までブーラリ、ブラリと腹ごなし。やぶ屋では「わんこ蕎麦」を初体験するぞとの気合はあるが、参加者二人以上とのこと仲間を募るが皆は尻込み、已む無く「三色蕎麦定食」に変更。食後、かつては賑わっただろう閑散とした通りをブラブラと歩きながら駅前に戻り、駅前の「酒屋」で旅館での部屋酒の買出しに入る。

 花巻駅前のロータリーのバス停ベンチで地元の女性とあれこれ話で時間を潰して岩手交通バスに乗る。途中、賑やかに小学生が乗り込む、乗り遅れた子供を次のバス停で待つ風景は田舎ならではの暖かさを感じる。終点一つ前の「鉛温泉」でバスを降りる。新緑と深緑のコントラストが初夏の訪れを眩しく彩っているこの時期は格別の感がある。湯治部と旅館部の別れ道の案内に従い旅館部に。

 一泊目の「鉛温泉・藤三旅館」は、日本一深く立ちながら入る風呂「白猿の湯」で有名。天然の岩風呂で源泉掛け流しで底の岩盤から温泉が湧き出している。歴史を感じる天井の高い木造の湯屋の雰囲気は他の温泉では到底味わえない。混浴だが女性の時間帯は設けられている。宿には様々な風呂があり、全風呂制覇は無理のようだ。

 内風呂と川のせせらぎを間近にする野趣溢れた露天風呂の「桂の湯」。白糸の滝を目の前にした展望半露天風呂の「白糸の湯」など。何れも水量豊富な豊沢川の流れのせせらぎと新緑を見ながら温泉は体に嬉しい。長期の湯治客用の湯治部があり入り口は別だが本館とは中で繋がっている。食料から雑貨まで売っている店も館内に有る。

 夕食時には宿の地酒「南部関」が付いてきたが、花巻駅前で買った地酒の四合瓶「南部美人」を持ち込む。南部杜氏の発祥の地、酒も通好みの南部の肴に合う、旨みのある酒である。部屋でも「南部関」を呑む。

 この旅館、綾瀬はるか、広瀬すず、夏帆と「ウッジョ Wood Job!!」の長澤まさみが出演する「海街dairy」のロケ地であることが判明。宿泊したそうだ。昨年の日本アカデミー賞にエントリーされた作品ということ、是非、DVDを見なければ・・ 

 翌朝、二泊目の大沢温泉に向うが、その前には途中の「山ノ神温泉」へ立ち寄る。シャトルバスに乗り約10分、山ノ神温泉に到着し1500円で昼食付き入浴券を購入。ヒノキの柱、梁を使った大浴室と日差しが眩しい露天風呂にゆったりと浸る。PHが9.2と高く相当にヌルヌルとした泉質は嬉しい。昼食は館内のお洒落なレストランで蕎麦定食を肴にビールや日本酒で軽くやる。鉛温泉や大沢温泉と比較すると各室ともベッドルームが多いようで明らかにホテルである。

  大沢温泉へはシャトルバスを使わずに歩いて行くことにした。日差しの眩しい山間の道を歩き暫くすると大沢温泉までの真ん中近くに「昭和の学校」が現れる。既に廃校になった前田小学校を利用し、「校長先生」が昭和の店や文化を約5万点の展示物で自力で蒐集したそうだ。「三丁目の夕日」で出ていたミゼットも展示されている。洋服屋、理髪店、カメラ屋、文房具、ブロマイド、映画館、洋服屋など等、昭和の匂いが満載な学校である。昭和真っ盛りに育った我々爺さんには懐かしいものばかり。当初の懐疑的な思いは見事裏切られ、立ち寄って良かったとの感想。寄贈できる昭和レトロで家に何か無いものかと考えた。

   炎天下の中、歩くこと約30分、いよいよ当初の目的「大沢温泉 山水閣」にやってきた。温泉入り口近くの酒屋で同じくビール、ハイボール、地酒などを仕込む。老舗温泉旅館なのだが、エントランスは近代的なホテルそのものだ。部屋に案内される。渓流沿いの広い窓は、窓の全面が新緑と深緑のカンバス。空も山も見えないが、渓流の水音のバックグラウンドで素晴らしい絵を見ているようだ。この時期ならではのご馳走である。廊下続きの湯治屋は、長逗留のお客のために藤三旅館と同じく、質素で旧い歴史を感じる木の宿である。勿論、自炊できる厨房と何でも売っている売り場もある。

 大沢温泉を代表する風呂は、湯治館のはずれの渓流沿いにある「大沢の湯」である。広々とした露天で渓流の景色が満喫できるという。混浴ではあるが女性タイムが設けられているので、翌朝6時から解禁後のお楽しみとする。まずは、湯治屋から川を渡ったところの大沢温泉系列の菊水館の「南部の湯」に入ることとした。渓流に面した二階の角部屋にあり木をふんだんに使った落ち着いたられた半露天風呂だ。山水館の「豊沢の湯」は、半露天風呂で渓流に面し対岸の素晴らしい緑を楽しむ美しい湯である。PHが9以上の肌がすべすべとする泉質で落ち着いて入れる温泉である。そのほかにも湯はあるが、前日の鉛温泉でも温泉三昧、飲酒と湯あたりに気をつけて翌朝に回すこととする。夜の食事は個室で魅力的な仲居さんとの会話が弾み、ついつい持ち込み酒も脇に忘れて宿のお薦めの地酒をお銚子とボトルで注文する。

 翌朝、新鉛温泉初のシャトルバスで沿線の温泉旅館を巡り新幹線の新花巻へ。駅レンタカーでボックスワゴンに乗り換え、北上ICをパスし中尊寺近くの厳美渓へと高速を走る。花巻空港ICから一関ICまで約40分、一関ICから約15分で厳美渓に着く。国の名勝天然記念物に指定されているという。ミニチュア版との印象だが、渓谷の造形美のエッセンスを集めた風景はなかなか他には見られない。周遊道は30分弱、吊橋からの眺めもいい。腹ごなしの周遊後、駐車場近くの蕎麦屋「まるきや」に入る。「冷やしにしん蕎麦」を注文、汁はやや濃い目だが蕎麦はしっかりして旨い。皆のビールを横目に、運転しているのでノンアルコールビールを飲む。場所やシチュエーションとは関係なく相変わらず旨くない。

 食後、厳美渓からほぼ一直線に走り約10分、道路の全面の岩窟に掘られた赤い寺「達谷西光寺」が現れる。1200年前の東征の征夷大将軍の坂上田村麻呂の創建と伝えらる窟毘沙門堂である。岩壁に掘られた大仏(大日如来)、本州最北の磨崖仏だという。

 北上でレンタカーを乗り捨て、北上駅から新幹線に乗車。車内販売のお姐さんに散々と世話になりながら、ビールや日本酒でチビチビと。気がつくと大宮。いよいよ好天気に恵まれた今年の旅行も終盤。さて、秋の旅行は何処へと思うと・・・・ 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿