母の日の朝、でもある。
礼拝前に一筆。
勝沼さんのコメントを再掲する。
ガルシア・マルケスのは「幸福な無名時代」です。ちょうど一年前の昨年の五月に、石丸先生がメールの月始の挨拶で紹介してくれました。
何という偶然か。実は私が初めて見た「現代に秘境がなくなった」と嘆く人物はジャイアンとスネ夫でした。30年前の映画「ドラえもん のび太の大魔境」は、スネ夫が秘境がなくなった現代に生まれた不運を訴え、ジャイアンがまだ見ぬ秘境を見つけて連れていけと(まさにジャイアン!)ドラえもんに迫るところからスタートします。
「タイタンの妖女」は次々と秘境や真理が発見されると共にその意味や価値を失っていく物語だと思っています。
これは私の空想ですが、おそらくいつの時代も人々は秘境がなくなったと言っていたのではないでしょうか。秘境はある、行けると信じた馬鹿者が道を切り開いたことによって、秘境は発見されると共に秘境としての価値を失います。その繰り返しで常に現代は秘境がないと言われていたのではないでしょうか。
確かに物理的な秘境は年々少なくなっているでしょう。都合よくまだ見ぬ秘境を見つけてくれるドラえもんもいません。でも個人的には、ガルシア・マルケスも私にとっては石丸先生というドラえもんが見つけてくれた未知の秘境であったわけです。
秘境はあると信じる者にとってあるものではないでしょうか。
まずは脱帽し、素直に感謝する。
僕自身がしゃべり散らして忘れていたことを、こうして覚えていてくれたことに、
「偶然」の指摘に、
「秘境」に関する説示に、
いつもありがとう。
あらためて考えてみます。
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まったく話が飛ぶのだが、一昨日、大学の事務担当者からメール回覧があった。
文部科学省大臣官房総務課からの周知依頼で、その本文のタイトルは
「住宅地等における農薬使用について」
というのだ。
メール本文に、「一昨年11月の周知や、昨年の農薬危害防止運動では 官有地、独法等関係機関、学校、幼稚園、病院、運動場、寺社仏閣、美術館等 幅広い施設における農薬の使用について、適正な使用を啓発することが想定されておりました」との付記がある。
内容の見当はつく。
大方、これらの施設に付随する庭木や花壇の管理にあたって、むやみに農薬を使うなということだろう。
それ自体は当然でけっこうなことだが、ただ、ちょっと気になる連想があって。
僕の田舎の家の周りは、ずっと昔から農村地帯だった。
しかし近年、バイパスが整備されるにつれ、道向こうにちらほらと住宅が増え、最近はちょっとした団地もできている。
ここに住まう人々が、周囲の農家にしばしば文句を言うのである。
「農薬は健康に悪い」「肥料の臭いがする」「農機具の音がうるさい」等々
ごもっともと言いたいところだが、ちょっと待ってくれ。
百姓はもう何百年もここにいて、土を耕して生活してきたのだ。
そういう場所と知っていて後から移ってきたあなた方が、前から居た者に文句を言うのってどうなんでしょうね。
わが家は農家ではなく、父が道楽に園芸を楽しんでいるに過ぎない。
だから別段うちが困るわけではない。
父は年来の信念で頑固に無農薬を通しているし、そこにはもちろん主張もある。
農薬漬け、化学肥料漬けの農業が良いなどとは思わない。
それはそうだけれど、一部の「住民」が鬼の首でもとったように自分の都合を主張する様子を聞くと、いささか義憤を感ぜざるを得ないのだ。
とりあえず、「先住者の権利の尊重」というところから始めたのだが、話を大きくするならこれはけっこう象徴的なことで、日本の農業をどうしていくのかという大きな問題に、どうしたって行きあたる。
技術的にどうしていくのか、社会的位置づけとしてどうしていくのか、
さらに文化的にどうしていくのか、これが見落とされがちの大問題だ。
長い話を短くすれば、日本の風景から水田が消えたら、日本人は日本人でなくなると思うんだけどね。
そうか、TPPも内田樹の先日のオピニオンにひっかかってくるんだな。
「TPPに乗り遅れたら、日本は生き延びていけない」と煽って「グローバル化」のリスクとコストの受け入れを納得させる。
日本の農業の地位はいっそう危うくなり、アメリカひとり勝ち体制はしっかり固まっていく。
そこで生き延びる「日本人」って、いったい誰だ?
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昨日は碁を打って負けた。
勝ち負けは特に気にしない。
林海峰さんにして、「碁は勝つものではなく、負けていただくもの」だと言うんだからね。
問題は負け方である。
その一、左下隅で定石手順を間違えた。ただ間違えただけでなく、間違え方が以前からの自分の悪いクセを反映している。
その二、左辺で必要のないツギを打って後手を引いた。碁で最も戒めるべきことのひとつだ。
その三、右下で定石選択を誤った。前から打ってみたいと思っていた手に飛びついたのだが、全体の配石を考えればほとんど自爆行為だった。
その四、あろうことか、ノゾキに手を抜いて大事なところをぶっつり切られた。先のことに頭が行って、よく見ていなかったのだ。
あ~あ・・・
五段が聞いて呆れる、5級だってもっとしっかり打つ人は打つよ。
できるはずのことができず、わかっているはずのことが見えず、挙句にとんでもないポカをやらかして、
「これがおまえだよ」と直面化させられるていたらく。
もう、やめようかな・・・・・