散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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足かけ三日

2013-05-30 09:07:33 | 日記

5月28日(水)

1980年の今日、ロッテ・オリオンズの張本勲が前人未踏の通算3000本安打をホームランで達成。

ところは川崎球場、相手は阪急ブレーブス、マウンドには小さな大投手と呼ばれた剛腕の山口高志がいた。

79年末の読売納会で、それまでフロントに口を出したことのなかった王さんが、「張本に巨人で3000本を打たせてやってくれ」と強く訴え、張本が泣きながら止める場面があったのだと。直訴叶わずロッテに移籍しての記録達成、張さんにはこのほうが似つかわしい。僕らには、「東映の張本」のイメージがいまでも強いもんな。ヤクルトへ移って日本一に貢献した大杉勝男(故人)や、張本と同じく在日で同じようにいかつい肩と顎をもっていた白仁天、浪商出身の怪童尾崎など、野武士集団の東映フライヤーズは魅力的なチームだった。

 

先週末から何だか忙しくしている。

金曜の診療の後、土日は大宮で面接授業。

面接授業は力仕事なので月曜は虚脱状態だったが、大学のちょっと大事な事務仕事に、来週のダブル講演の資料作りなどがあって気ぜわしい。

火・水は試験問題の校正作業、コースを挙げてとりくむ年中行事になっていて、今年はその段取り担当などなど・・・

 

忙しいということは、書き留めておきたいできごとがいろいろ起きるということでもあるから、本当は忙しいときほどブログ(=日記)を書きたいわけなので、ここに矛盾というか葛藤が生じる。いつだって、これがきっかけで日記が続かなくなる。してみると、繁忙のさなかに丁寧に日記を残していた歴史上の人物たちは、それだけでも大したものだ。

 

マルクス・アウレリウス・アントニヌス、いわゆる五賢帝の掉尾を飾る哲人皇帝は、それこそ寸暇も与えられない公務のさなかに、内省に富んだ日記をギリシア語で書き留めることを怠らなかった。それがいま『自省録』として僕らの手にある。

 

趣はだいぶ違うが、岩波新書『ピープス氏の秘められた日記』も面白い。御本人はまさかこれが500年の後に伝わって日本で出版されるとは思わなかっただろう。海軍大臣まで務めた人物とあるから庶民とは言い難いが、その内心のありようや素行はきわめて庶民的で、当時のその地の人間について知るには非常に価値が高いものだ。

イギリスの海軍大臣と行っても、この時期はオランダ海軍がテームズ川を遡航してロンドンを脅かすような時代だったから、ピープス氏も必ずしも順風の公的生活ではなかったはず。実際、かなり「いかがわしい」ことも日記には書かれている。

 

*****

 

などと書いてから、もう三日経ってしまった。

この間、Fさんたちは拙い原稿をパンフレットにまとめる作業を手際よく進めてくださった。

高尾九段は本因坊戦挑戦手合いの第2局で、白番中押し勝ちをおさめた。コウの連続からリズムをつかんで会心の一局。

自分はその間、何をしていた?

 

梅雨の曇天、焦る気持ちそっくりに低く垂れ込めている。