先日は中紀・産湯海岸でのツアーを催行しました。
ここは中紀でありながら、南国風情の強い場所で、
海水の透明度も高く、夏場には黒潮に乗ってやってきた熱帯魚が、
多く観られる場所です。
またなんと言っても海岸線にたくさん生えているアコウの木が、
いっそう南国感をそそる。写真のやつがそうですが、
こいつもまた、南方から黒潮により種子が運ばれてきて育った植物だ。
沖縄から房総半島まで、特に、
鹿児島・佐多岬や宮崎・都井岬、高知・足摺岬や室戸岬、
和歌山・潮岬など、黒潮がぶち当たる温暖な岬周辺によく育つ木だ。
そいつが、中紀でありながら、この産湯海岸周辺にはたくさん生えている。
いわば黒潮の「ホットスポット」的エリアだと言えるだろう。
ここを漕ぎ巡り、海上で黒潮の気をたっぷり浴びたあと、
このアコウの木の木陰でまったりすること。
それは極上のトリップ感が味わえるリッチなひととき。
ちなみにこの木の下に、数年前までいつも、
100歳くらいのばあさんが座っていた。
そのばあさんに聞くと、
「わしが子供の頃からこの木はこんなじゃった、変わっとらん」
と言っていた。
ここ数年、そのばあさんも、とんと見なくなった。
きっと天寿をまっとうされたのだろう。
このアコウの老木はたくさんの人たちの人生も見てきた樹なのだろう。
ゆりかごから墓場まで。