プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

身体の軸で捉えるプラネット感覚

2016-06-18 23:03:36 | アート・文化

 シーカヤックって本当は、
 乗るというより履くものだ。
 自分の下半身に履き込み、慣れればなれるほど、
 バウ(舳先)の先からスターン(艫)の先まで、血や神経が通った、
 自分の身体の一部になる。

 そしてシーカヤックって実は、
 腕ではなく、軸で漕ぐものだ。
 腰を軽くひねって体軸をローテーションさせて漕ぐことによって、
 腕だけの負担から全身運動となり、
 また無駄な力は必要なくなり、
 慣れれば一日50キロとか70キロとか、普通に漕げるようになる。

 その体軸を作るにはとにかく漕ぎこむしかないのだけれど、
 まあそのうち形にはなってくる。
 誰でもできる。時間の問題だ。

 だけど本物の軸ができあがるには、
 少なくと5年10年はかかる。そして海旅の経験も必要になる。
 長年カヤックを履き込むことによって、
 端から端まで神経が通った自分の体に一部になり、
 そいつを磨き上げた「本物の軸」を使って操ること。 
 多分これは古武術とかで言うところの、
 「臍下丹田」とかそういうものと相通ずるのだろうけれど、
 とにかくその軸を通して、軸を中心にして、
 風や波、潮の流れとの深い対話、
 自然との深い交歓ができるようになる。
 波うねりとダンスを踊れるように、
 そして黒潮のVoiceや地球の鼓動をヒシヒシと、
 実感できるようになってくる。

 いわゆるひとつのプラネット感覚。

 とまあ、マニアックな話になりましたが、
 別にそこまでいかなくても、初心者レベルでも、
 カヤックは十分楽しいものです。
 入り口、玄関口の敷居も低いですからね。
 言いたいのはその奥に行けば行くほど、
 さらに深い世界が広がっているということです。
 ぼくもいろんな遊びをやりましたが、
 やはりこのシーカヤッキングのプラネット感覚ってやつは、
 究極的に素晴らしいものだと思いますね。

 自分の身体の軸で地球を感じるセンス。
 自然とは、海とは、瞬間瞬間に、
 リアルな本当の姿を垣間見せてくれる世界。
 そいつを捉えた瞬間、
 この感覚こそ永久不変のオレ自身の姿だ、と思えますね。
 本物の自然との一体感ってのは要するに、そういうことを言う。

 せっかく興味を持ってはじめたシーカヤック。
 長くやればやるほど自然のいろんな姿が見えてきますから、
 ぜひぜひ続けてほしいと思いますね。


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