落椿三々五々に黄泉の道 薪
紋黄蝶下りゆく井戸は穴生積み
青空を吹く風もあり散る花も 沙会
バッサリと髪切り上げて入学す
爺と婆スマホタピオカ山笑う 豊春
髭剃りの鏡横切る初燕
二月堂化身の椿のりこぼし 鞠
鉄線花割りし蕾はまきまきに
風に揺れ瀬音に揺れる若楓 凛
蜥蜴の子電光石火の雲隠れ
僧堂の読経さながら花吹雪 炎火
出陣の学徒の列やチュウリップ
俎板に億の切り傷若布汁 さくら
一重八重濃淡多彩肥後椿
ポケットに櫻の花あり目黒川 歩智
連休に炬燵どけるか外そうか
落椿ふつうの今が現在はなく 光子
春キャベツ虫喰いあとのない不思議
春ショール半年降りのJR パピ
三校で百人満たない入学児
春濤や砂浜走るロングトーン 鯨兕
落ち椿水に浮かばせ華の余生
茹でこぼす灰汁のあぶくや春惜しむ 裕
緊急も回を重ねて蛙鳴く
ふくらみてふくらみ過ぎて白木蓮 洋子
剪定や光と風を通りゃんせ
囀りをあしらいにもして茶懐石 稱子
もみじ蕊払うて山の茶会かな
土日毎雨降り続き若竹煮 余白
老夫婦手取り杖持ち花見かな
咲くも赤散りゆくも赤山椿 イヨ
夕暮を散る音静か竹の秋
熊野(ゆや)の藤母の優しき髪に触れ 黄玉
椿落ち一渓春水香る山笑
拠りどころなくぶら下がる花木通 雲水
人呼んだつもりで犬を四月馬鹿
ハコベ(繁縷)