一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

19   しざりゆく何かは知らず霧の中     多留男

2010年09月29日 | 

しざるは、退ると書く。相手に背を見せないで後退する感じだ。つまり、後ずさりである。これも後退りと書く。

何かがしざって行くのは、はっきりしているのだが、何かは知らないと読者を突き放している。したがってこれは、作者の記憶の中の心象風景ではないか、と思う。しかし、良いことか、悪いことかも分からない。実体があるものかどうかも分からない。人間かもしれないし、情熱というような見えないものかもしれない。つまり、あらゆるものが該当するのだ。

読者とすれば、自分の体験から自由に発想して構わないのだが・・・はてさて。

私の俳句の師匠,多留男先生から沢山の色紙をいただいているが、秋の色紙の中では、この句が一番好きだ。俳句には、石榴の絵が添えられている。先生は91歳になられるが、現在でも矍鑠としておられる。


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