最近、イギリスの宇宙物理学者ホーキング博士が、人類に残された時間は、今までの千年か らあとせいぜい百年しかない、と訂正したという。つまり百年後に滅びる、と予測しているのだ。
原因の第一は、戦争。人類にとって戦争が自然状態であり、平和は一時的な休戦でしかない。人類は進化の過程で、強欲で攻撃的な性質の遺伝子が組み込まれたようだ。今後、地上で争いが減る兆候はなく、軍事技術や大量破壊兵器の進展は争いを破滅的なものにするであろう。確かに、太平洋戦争からわずか七十三年しか経っていない。
第二は、人口の増加による食料不足や資源枯渇、そして疫病。マラリア、エイズ、エボラ出血熱、新型インフルエンザなども含め、全く新しい疫病の蔓延もあり得るであろう。
第三は、地球温暖化はもう後戻りできない転換点に近づいていて、気温二百五十度、硫酸雨が降り注ぐ金星のような高温の惑星へと地球を追いやるであろう。
第四は、人工知能(AI)の開発。完全なるAIが完成すれば、人類を終焉に追いやることを意味するであろう。AIが人間を滅ぼす、というのだ。
それらにより、現在の地球は徐々に警戒すべき状況になっている。小惑星の衝突なども含まれてはいるが、人類は、欲望のまま地球のあらゆる資源を使い尽くし、争いを続けて滅亡に至るというのだ。それらのどれかが、百年以内に人類を滅亡させる、と警告している。
さて、そんな危機の迫る七十四億五千万人の宇宙船地球号に乗る私達は、残された短い人 生をどう生きるべきであろうか。この難問を、芭蕉や蕪村、一茶など江戸時代の俳諧師が聞いたなら、きっと腰を抜かして驚くに違いない。
いずれにしても私達は、今ここに生きていること、健康であること、家族や友人がいること、日本の自然に恵まれていること、平和であること、それら全てが奇跡であり実に有り難いことと自覚し、感謝の心を持って日々生活することではないだろうか。勿論、日本文学の最短詩である俳句を続けていることにも、である。
そして、私達はこの世へ何をしに来たのか、人生とは何か、という個人的な命題。神は存在するか、死とは何か、あの世はあるのか、という哲学的命題。更に俳句とは何か、写生、写実とは何か、自然とは何か、などの様々な命題を考察するためにも、これからも俳句を作り続けるのであろう。
あやめ(菖蒲)とジャーマンアイリス