卍の城物語

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デモCD/Fiction teller

2009-03-12 01:30:24 | ロック
青森一ロックなバンド「Fiction teller」が活動休止したので、哀悼の意を込めて、唯一存在するデモCDを徹底評論する!!

その前に基本的な情報から。
Fiction tellerは弘前大学のP研から生まれた四人組ロックバンドである。
メンバーはボーカルの三上花奈江、ギターの澤口翔吾、ベースの宮下太輔、ドラムスの長谷川悟から成る。
2008年5月に結成。翌月初ライブ。11月に自主企画ライブを成功し、同時にデモCDをリリース。2009年3月ラストライブを経て活動休止。

レパートリーは全てオリジナルの曲ばかり。作詞作曲など誰なのかは明らかにしてないが、作詞はボーカルのカナへ、作曲はギターのショウゴがしてると勝手に推測。
詞は独特の世界観で、内容はほぼメルヘンチックである。
ライブでは「曲」といわず、「お話」として紹介する。曲という概念ではなく、ロックな童話なのである。
バンドの音はギターロックで、あくまで歌メロを際立たせ、バンドサウンドは決して騒々しさを感じさせない天性のメロディセンスを持っていた。
レパートリーは知ってる限りで8曲ほどある。
そんな彼らの代表曲が入ったデモCD全3曲を批評する。

M1.メトロ
地下鉄の電車は暗闇の中でしか過ごせない。まだ見ぬ光を夢見て今日も走り続ける。そんなお話。
スピード感があり、煌きも感じさせるギターとパワフルなボーカル。ベースラインもカッコいい。ドラムはリズムに徹底し、しかし盛り上がる所はテクニカルに。
未来へ突き進む疾走感があって物凄いクールでグルービーな最高のチューンである。

M2.朝靄とチョコレート
少年と少女は森の中へチョコレートを探しに行くのでした。そんなお話。
これぞメルヘンロック!!独特の詞の世界観とリズミカルなギターフレーズ。
本当に森の中にいるようなイノセントだが、しっかりとロックを奏でてる曲。

M3.風の哀愁ひとりたび
風の子どもが家出して、でも誰にも気付いてもらえない悲しさを歌ったお話。
4ビートからサビは3拍子にリズムが変わるところがカッコいい!!ギターは風の吹きす荒ぶ音を体現している。

全部良い曲!!こんなアマチュアバンドは全国探してもなかなかいませんよ。
技術は大した事無いかもしれないが、それは練習していけばどうにかなるお話。

唯一無二の圧倒的ボーカル力を誇るカナへは不思議少女チャンっぽい出で立ちで、普通にそこらへん歩いていても全く意識しないであろうが、ステージに上がるとアーティストになり、可愛さすら憶える。バンドでボーカル担当するという事は歌が上手いという当然の役割であり、そして独自の世界観という強力な武器を持っている。この子は本当に良いボーカルなのである。

ショウゴのギターは全くウルサくない。それは誉め言葉である。唯一のメロディパートだが、歌メロが強いので、コードと単音を使い分け、キラキラ光るような音を醸し出す。

ベースのミヤはライブで演奏中にメガネがズレ落ちてマスオさん状態から、メガネをポイと投げ出す高橋尚子状態がお馴染みで面白い。どうせ外すなら最初からメガネかけないで出りゃいいのにと何度思ったことか。
ベースなのにメロディアスなラインを奏でる影の功労者だ。

ドラムのサトルは決して目立たないが、それこそドラムである。彼のドラムはギター同様、爆裂せずに騒々しくない。せっかくドラムしてるんだから暴れたいもんだが、決して表の音は出さず、リズムに徹していた。
ハイハットは裸足で刻むのがトレードマークであった。

そんな最高のバンドがFiction tellerなのであった。
活動休止理由はドラムのサトルが里帰りするというのが公式理由らしい。そもそもラストライブ(ラストになるのを知らなかったから行けなかった・・・)でも活動休止の旨をステージでは発表せず、内輪にのみ知らせていたようだ。
サトルは他のメンバーよりちょっと年上で、大学にいってたのか働いていたのかわからんが、諸事情で帰省せざるを得なくなり、それがきっかけで活動休止となった。

あくまで活動休止であって、解散といってないのが唯一の望みである。
しかし他のメンバーも大学の3回生くらいで、勉学も就職活動もあって大変だろう。サトルの脱退を理由にバンド活動を終えるというのも理解できなくはない。

それでも彼らは才能がある。プロになってもおかしくはないとさえ思っている。彼らにはそれを懸ける価値があるのである。
やってる本人達は決してわからないだろうが、ライブで感動した人は少なくはないであろう。
しかし地方のライブハウスで活動してるくらいではバンドは決して実感出来ないと思う。ほとんどのライブはガラガラだから。

それでも私は今後も彼らの活動再開を諦めない。勝手にレコード会社にCD送ろうかと思ってるくらいだ。

バンドは出会いだ。バンドはケミストリーだ。スーパーテクニックプレイヤーが集まって良いモノが出来るかといえばそれはNOである。
彼らは個々として傑出したものはないかもしれないが、バンドを組んだ事で奇跡が起きたのである。

Fiction tellerは最高のバンドだ。メンバーチェンジしてでも続ける義務がある。人をここまで感動させておいてそれはない。
バンドにはきちんとケジメをつけて欲しい。そうすれば遠からず道は開ける筈だ。

Fiction tellerに愛を込めて、活動再開を望む。

オススメ度(ロック評価)・☆☆☆☆