「霜柱」
雪のちらつく公園に霜柱を探しに行く
小学校の頃霜柱を踏んで通った道はアスファルトへと変貌していたので
自然を探すところは公園しかないと思えた
それらしい地表は樹木の根元で黒土かと思えた
雪どけのしずく、枝たれた水滴の跡のようにも思えた
わずか五ミリほどの氷柱に期待は満たされず寒さに打ち震え帰宅した
翌朝また別の公園へと急ぎ出発する
雪は相変わらずちらつき寒さもまだ引かずに残っている
ここは樹木の根元にさえ霜柱は無い
諦めて花壇へと入ると小高い丘の造りに赤玉がそのままばら撒かれている
大玉の赤土に見事に大きな霜柱は立っている
信じられることか園芸用土そのものに自然に霜柱が立っているのだ
信じられないこれが自然観察なのだろうか霜柱は人口花壇の内に在る
スケッチは難しいがこれほどの大きさなので氷柱の中まで筋は鮮明に明るく純潔
あわてて取って返して玄関のプランターを覗き込む
在った在った灯台下暗しである赤土は自宅の購入土の中にあり
しかし
霜柱は観察に適すほどに多く大きくは無かった
見事パブリックの公園の近代的花壇に打ち捨てられた赤玉大粒は誇れり
観察に適すほど大きく純潔の霜柱を作れり