Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(11)

2018-03-05 20:20:40 | 日記

 帰路の途中、八百屋のおばさんに顔色の青さを見咎められて、「風邪を引いたんだ。」と答える遊び仲間を無事家まで送ると、私もまた家路に着いたのでした。それには他の仲間が何処へ行ってしまったのかもう遅すぎて分からないという理由もありましたが、何だか今分かれて来た遊び相手の、常とは違う今日の話し方や様子が気になっていたからでした。家に着いても私は1人物思いにふけっていました。

 『土筆が、こんなまだ寒い雪のある時期に?本当に生えるのだろうか?あんな土筆など見た事も無い場所に、本当に土筆が有るのだろうか?そして、何であの子は私に、あの場所に土筆が有ると言って誘ったんだろう?内緒だなんて、不思議な事ばかり言って、何があったんだろう。』そんな訳の分からない事ばかりを堂々巡りに考えていました。

 「お父さん、今の寒い時に土筆は生えるのかしら?」

私は疑問に思った事を目の前に来た父に質問してみるのでした。「つくし?」父はぎょっとした感じで土地の名前の筑紫じゃないな等、もごもご口籠って言葉を濁らせていましたが、「この時期に土筆だなんて…」と、見た事無いなぁと言うと、おまえ何か見たのかと聞いてくるのでした。そんな父の顔を見ると、父も先程の遊び仲間に負けず劣らずの極めて生真面目な顔をしていました。その顔つきや口調は常の父とは違っているのでした。私は父の態度にも尚更に、「この時期の土筆」の事を怪訝に感じるのでした。

 「無いよね、今のこんな寒い時に。土筆だなんて。」

私は父の言葉に、やっぱり土筆はまだ生えていないのだと独り合点して安心しました。私にはこんなまだ雪が目に見えて残る時期に、土筆が生えているということ事態が信じられないのでした。そして、まだ見た事が無い物をそうだと言われると、未知の分野だけにその事がかなり不安に思えるのでした。自分には理解できない事、分からない事が不安感を呼んで来るのでした。

 


土筆(10)

2018-03-05 10:16:59 | 日記

   確かに、案内された場所は私達が昨年土筆を見た場所ではありませんでした。しかし、私の予想通りにそこには土筆の姿はなく、土の上にはまだ雪が解け残っていました。

 「あれ、…。」声にならない声と共に、立ち止まったままで、意外そうに身動きもしないでいる遊び仲間を前に、私は内心やっぱりと思うのでした。そして口に出して

「ほら、まだ大分土筆には季節が早いし、それにこんな所で土筆を見た事ないもの。」

と言うと、向こうは、それでも3、4日前に此処へ来た時には土筆が有ったのだと、不思議そうに呟くように返事をするのでした。本人してみると、その場所の白く土が覆われている状態が如何にも半信半疑、不思議な光景のようでした。実際に目にしても信じられない様子で、これを呆然自失の体というのでしょう。

 「行こう。」

程無くしてそう言う声と共に、ここにいても仕様が無いから、そう元気ない声に促されて、本当にここに土筆があったんだ。ここに土筆が生える話は内緒だから。そんな事をぽつりぽつりと言うその子の話を聞きながら、私達は施設の敷地から出て元の道に戻って来ました。その後の私達の歩が、仲間が行った方向へ向かうかというとそうでは無くて、2人の歩みは帰途へと向かって行きました。

   施設の敷地内を歩く途中、私は段々と連れの子の顔色が悪くなり、その顔色が蒼白に近くなると、連れはかなり具合が悪いのだと察することが出来ました。それでその子の歩みが仲間の行った方向ではなく、自然帰路へ向かうのを不思議には思いませんでした。私の方が皆の後を追わなかったのは、具合の悪いその子を1人で返さない方がよい、家まで付き添って送って行った方がよいと判断したからでした。


土筆(9)

2018-03-05 09:44:49 | 日記

 翌日の事です、皆で誘い合わせて遊び場に向かう途中、昨日沈んでいた仲間の1人が何度か真面目な顔で私を振り返ってみるのです。その内、「昨日は心配してくれたんだって、」と、八百屋のおばさんに聞いたと、その子の母親経由で話が伝わった事を話し始めました。

 「お礼という程の事でもないけど…」

と、その子は私に土筆のある場所を知っているかと聞くのでした。「知ってる。」と私は答え、昨年皆で遊んだ時に年長者から教えてもらった土筆のある場所を言ったのですが、その子の話ではそこではなく別の場所だという事でした。この前行ったらもうそこに土筆はあったという事でした。それでその場所を私に教えてくれると言うのです。

 「土筆が?、雪が残っているのに。未だ生えて無いわよ、土筆は。」

私は昨年の土筆を見た時期が春真っ盛りを過ぎ初夏に近い時期であったので、蟻が活動し、蝶や虫が飛び交うかなり暖かな時期でないと土筆は生えてこないものだという感覚でした。土筆はまだ無いという私に、その子はもう生えているのだと言うと、兎に角その場所を教えてくれるというのです。皆から遅れて2人、走っていた歩を止めて歩き出した私達は、皆の言った方向から外れ、私達の仲間が昨年皆で見た、土筆のあった場所のある大きな施設の敷地内へと入って行きました。

 「やっぱりここでしょ、この時期まだ早いわよ。」

土筆など生えていないと、遊び仲間の言葉が全く当てにならない話だと何度か言う私に、「内緒なんだ。」そんな話も聞かされて、私は段々秘密めいたその場所の様子や、その子の顔つきに、常の遊びとは違う雰囲気を感じるのでした。


もう20年以上

2018-03-05 09:36:25 | 日記

 花粉症の症状が出てから、もう20年以上になります。早いものです。最初は特に何もせずにくしゃみ鼻水の連続で1ヶ月を過ごしました。その後は症状が進み、通年でくしゃみ鼻水、何だか荒れたような状態になってしまい、とうとうお医者様に行く事になりました。

 予想通り、アレルギー検査で花粉症と診断され服薬する事になりましたが、あまり効果は無くすっきりしない状態でした。それでも花粉の時期よりはましな他の季節です。花粉の時期だけ薬を服用していました。

 10年ほどした頃、薬を飲まなくても大丈夫ですよという人がいて、翌年薬を飲まずにいたところ、体調を崩したらしく帯状疱疹になりました。人の言う事は当てになりません。その後はきちんと花粉の時期は服薬しています。くすりは副作用が有るので、現在は自分の体調を見ながらそれなりに対応しています。