Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(26)

2018-03-21 11:00:08 | 日記

 「土筆?ここに?」

彼女は私の言葉を訝って、すぐ真下、私が眺めていたその場の地面を眺めると、再び「土筆が?この下の場所に生えるって?あの人が?そう言ったの…。」と言った切、絶句して困惑したような顔付きになりました。彼女は何も言わずに私の顔を見つめたり、自分の兄が去っって行った方向を眺めたりして、彼女は彼女なりに何かを考え込んでいるようでした。その後ややあって後に、彼女は「あの人、時々妙なこと言うから。」そう言うと、年上らしく私の顔を見詰めて安心させるようににっこり笑うのでした。

 「あの人に叱られても気にする事無いよ。私なんか何時もだもの。あの人しよっちゅう妙なこと言ってるし…。」

気にする事無いよ。そう言うと、お姉さんは、土筆がねぇ、あの人がねぇ、こんな場所にねぇ、見た事無いけど。…本当に?有るって言ったの?と奇妙そうにぼそぼそ呟いていました。挙句の果てに彼女は私の顔をじろじろ見詰めると、

「土筆って?、どれの事か分かる?」

と、私に土筆という言葉やその物自体が分かっているのかとさえ疑問に思ったらしく、あれこれと質問してくる始末でした。この件で自尊心が傷ついた私は内心ぷんと来てしまい、「土筆は勿論ミョウガも知っている。」と頓珍漢な事を彼女に言ってのけるのでした。そして、土筆はダメだけどミョウガは食べられるのだ、と余計な知恵を披露して見せるのでした。

 彼女は自分の兄の件で心労していた所に年下の私の厄介毎迄しょい込んだ形になり、目の前の問答に疲れてがっくりと肩を落としました。そして、遂には私の事より兄の事と思い至ると、「あの人、やっぱり変なんだわ。」と、私に背を向けて再び兄の去った方向を眺め、静かに落ち着いた様子で何だか寂しそうに呟きました。彼女はこれで遂に結論が出たのだと思うと、自身に言い聞かせるようにきっぱりとした感じでこの言葉を口にしてみたのでした。


土筆(25)

2018-03-21 10:42:29 | 日記

 しかられた?

急に話掛けられたので、考え事に集中していた私には彼女の言葉がすぐには理解出来ませんでした。しかられた?を2、3回口の中で繰り返してみます。

 その言葉にどうやらピンと来て、話しかけられた言葉の意味が分かって来た私は、「叱られてないよ。」と、驚いたように彼女に返事をしたのでした。

 叱られたんじゃないなら兄が私に何を言ったのかと、再び仲良しのお姉さんが私に問い掛けて来ます。彼女の何時に無いしつこい問いかけに、私は彼女とよく似た違う子だろうかと一瞬思うと、彼女の顔をよくよく見てみます。それがやはり何時もの仲良しのお姉さんの顔だとはっきり分かると、私を見詰めるこれもやはり何時もと違う彼女の生真面目な顔を、再度彼女だろうかと確認しようとして、私は穴の開くほどにしげしげとその顔を見返しました。やはり仲の良いお姉さんです。

 『如何して?、今日は何かあったのだろうか?兄、妹で私に話しかけて来るなんて。何の用があるのだろう?お姉さんは何時も遊んでいるから、今日話しかけられても何時もの事で不思議じゃない。けど…。』お姉さんはこれが普通だと私は思いました。

 しかしそのお兄さんの方は、何時もなら、私の事は取るに足らないものというように無頓着な扱いでいましたから、先程の様に私に向けられた普段に無い笑顔と、語り掛けられた言葉数の多さに、その時の私は酷く面食らっていました。 

 また、お兄さんの話に出てきた「誰か」もその時の私には想像がつかない、思い当たる相手がいない謎でしたから、その日自身に降り注いでくる謎の多さに、私は困惑し、またその事を不思議に思っていました。

 さて、お兄さんとの会見の後の彼の妹との対談です。私にとってその日は特別な何かがあるのだろうか?と私は思うのでした。考えることが多すぎて頭を抱え込んでしまった私は、先ず直近の質問にだけと、問いかけて来た彼の妹にお兄さんは此処に土筆がある事を話していただけなのだと教えるのでした。