それは、何時の事だったでしょうか、2年生の頃だったかもしれません。
何時ものように彼が遊ぼうとやって来ました。その日は私が誘ったのですが、玄関で僕の家で遊ぼうという彼の声がします。
私はうん、いいよ、おー君の家へ行くんだね、と、準備します。
準備を終えて出ていくと、祖父がおー君と膝を交えて、といった感じで間近で話していました。
玄関に立っているおー君、玄関に座りかなり身を寄せて正面から話をしている祖父。
そして、玄関に続く戸口から顔を出した私に、祖父のかなり真面目な声が聞こえました。
「私の目の黒い内は、孫を中国人と結婚させたりしないからね。」
私はすぐにその言葉が、祖父が私とおー君の交際に反対している言葉だと分かりました。
戸口から覗きながら、出て行ったものかどうか躊躇しました。
さらに見聞きしていると、祖父はおー君に、私(祖父)の言葉が分かったねと念を押しているようでした。
その時、おー君は私が見ていることに気づいたようでした。
彼は全く側面の祖父の体制とは違い、半身をこちらに向けていましたから私の動きが目に入ったのでしょう。
彼は祖父に顔を向けると、何やら祖父に反論したようでした。
黒い目もその内白くなるさとか、孫の方を抑えとくんだねとか、こっちは頼まれてるから付き合ってるのさとか、そんな言葉だったようです。
全く怒るとか、慌てるそぶりも無く、にこやかな表情で言い返したおー君を、私はその時つぶさに見ていました。
私は意を決して2人の傍へ歩み始めました。
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