消えてしまったその子達の一部始終の様子を見ていた私は、内心『ああするのだ。』と呟きました。嫌な場所からはああやって組になり、一気にその場所から遠ざかり、あの様に言って走り去ってしまえばよいのだ。と悟ったのでした。そうなのだ!と目を見張って学習すると、自分の場合や次の機会のことを考えてみました。その時自分と組になる子を誰にするか、逃げ出す頃合いを何時にしたらよいか考えてみるのでした。
『そうだ、嫌な所に何時までもうろうろしている方が馬鹿だ。あの子達は何て利口なんだろう。』
私は逃げ出した子達に感心してそう考えると、良い事を知ったと、にこやかな笑顔が浮かんで来るのでした。この時の私の笑いはほくそ笑んだと言った方がよいでしょう。
「駄目だよ、あんなことしちゃ。あんな皆から外れて行くような子達は泣く事になるんだからね。」
私の考えを見透かしたように、指導者の子は皆に言うのでした。そして意味ありげににんまりと笑いました。
「いいな、泣くだけなら帰ろうかな。」そんな声がして、立ち上がる子がいました。
「泣く前に…。」
指導者の子が顔をしかめて口籠りました。泣く前に?立ち上がった子が不思議そうに聞くと
「泣く前に、…痛い目にあいたくないだろう。」
指導者の子はそんなことをやや小声でぼっそり言うと、続けて、これ以上は自分の口からは何も言えないと言い、皆に背を向け「帰りたい子は帰ってもいいよ、でも、どうなっても知らないからね。」と静かに言うのでした。
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