kaeruのつぶやき

日々のつぶやきにお付き合い下さい

呆作落語 「床上げ」 第四回。

2014-02-16 23:09:57 | 非詩的なつぶやき

 どんな悪夢も何時かは終わりがまいります、悪夢だけでは片手落ちになり

ます故、夢の様な素晴らしい、今、あなたが見ているその夢も何時かは終る

のです、どーかその時がくるまでめくるめくひと時をご堪能ください。

 目が覚めている人は八ちゃんの言葉に耳を傾けて下さい。

 

八「やぁー、よく飲んだね、しゃべった酔ったそして寝た!おわり」

kaeru「待った!また寝るな、なにが終わったのだ、夕べの話はどうなってる?」

八「昨夜?あー隠居さんとこでの話、だからよく飲んで、よくしゃべって酔って酔っ

て、そこで寝込んでしまい、朝方自分の部屋に戻ってまたすこしひっかけて寝た、

それが一日だけど、なにか問題かい?」

ka「八ちゃんのことも知りたいが、隠居さんとこでの集まりを知りたいですよ、昨

夜のままだと全部中途半端、え、どうなったの七人も行って、隠居さん喜んだで

しょう。陽子さんは酔ったんですか、五郎さんのお母さんはどうだったんですか」

八「わ・か・り・ま・し・た、要するに知りたいのは七人のうち、お二人だけ、御婦人

の酔った姿を詳らかに知りたい、そしてあわよくば自分のブログで、あたかも自

分が目にし耳にしたことかのようにして載せようという魂胆だな。いや、言い訳

は必要無い、それはそれでアンタのことだからどうでもいいんで、この長屋に直

接関係してこないかぎりどーぞ、御勝手にということ。昨夜のお二人について言

えば、御立派、陽子ちゃんについてはみんな知っている理想の女房、まぁ長屋

の鑑だな、女ばかりじゃない男も含めて言ってるんで、これは隠居も太鼓判。

だんだん、頭がはっきりしてきた、うん、五郎ちゃんのお袋さん、これがまた凄い、

陽子ちゃんを五人集めて2で割った位凄い、うん、中身が濃い。生まれは鹿児

島だってそう薩摩、え、そうなんです、あの「てんがらもん」の薩摩おこじょ、これ

は偶然それとも必然、その辺のところは神さまが知っていること。それで、陽子

ちゃんとそのお袋さんが話をしているのを聞いていると、陽子ちゃんも親の代は

九州に居たんだって、いや鹿児島じゃない、それその上の、うえ?なに?違う

雲の上じゃないよ、北そう鹿児島の北だよ、福岡?一気に飛ぶな、長崎にも行く

な、うんそのまま下がってきて、何だか背中の痒いとこ当てに動いてる感じだ、

うん、佐賀か、もっと下がる、うん、その辺が田原坂、西郷さんだな、それで一気

に右肩さがり、あまり行き過ぎると太平洋だ、その手前、どこ?宮崎、そうその辺。

日向ってある、そこが陽子ちゃんの両親の里なんだって。陽子ちゃんとお袋さん、

二人気が合って、結構飲んでたよ、陽子ちゃんの強いのは知ってたが、お袋さん

も強い、強いというより実に深い飲み方をする、言い方が難しいが酔わないわけ

ではない、崩れないと言えばそうなんだが、飲むにつけ変わっていく、その変わり

方が深くなっていくと言えばいいのか、そんな感じだね」

ka「どうしたの、八さん、首なんか廻し始めて」

八「こうしていると、だんだん、昨夜のことがはっきりしてくるんでね」

ka「ビデオの巻き戻しモードだね」

八「おっと、この辺か、もうしこし先か、いや、今ね、俺がトイレに入った場面が出た、

話そうか」

ka「遠慮する」

八「こちらは配慮する」

ka「昨夜、七人で七福神をやろう、となり何をやろうか、というところでお時間!に

なちゃったんだが、何かやったんでしょう」

八「そこなんだよ、そこの場面がね、なんだかモザイクがかかっている、うん誰か

裸踊りでもしたのかなー まさか俺じゃないよなー 記憶がないものなー お!

なにか文字のようなものが記憶の底から浮き上がって来て、え?な、な…だよな」

ka「一字だけ?幾つも、そう 読みあげて 書きとるから、え? な・か・き……」

 

このようにして八さんの記憶の底というべきか夢の底とすべきか、いずれにしまし

ても書きうつされましたのはこの三十一字であります。

 【なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな】

 

お分かりですか、かなり和歌に堪能な方で、〇文?そうなんです。

ここまでたどり着いたというか、迷い込んだとすべきか、いずれにしてもオチが!

これ以上落しようのないとこで「下げがない!」でオチにするか

これ以上下げ様のないところで「落すな!」でサゲになってしまうか、

それが問題なのです、悩めるkaeruより。