kaeruのつぶやき

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『北越雪譜』、積雪54メートル。

2014-02-22 23:37:28 | 本のひと言

 先週の土曜日早朝、積雪の中を歩きました。膝を埋めて踏み込んだの

は、吹き溜まりの中、さすがそういう場所は至るところというわけではあり

ません、それでも貴重な経験でした。

 そんな経験したあとのこの本の「面白さ」は至るところにあり今はじっくりと

読み直しをしたいというのが感想です。

 

 降雪の高さ、まずこの数字=「雪の高さ十八丈ありしといへり」

1丈=10尺=約3m。となると「雪の高さ54mあったと言った」

となるわけです。このあとの続き、

≪此話雪国の人すら信じがたくおもへども、つらつら思量(おもいはかる)に、

十月(旧暦)の初雪より(天保五年・1834年)十二月二十五日(同)までおよそ

その日数八十日の間に五尺(1尺=約30cm)づつの雪ならば、廿四丈にいた

るべし。

  (その間除雪したり人の住んでいる所では雪は減る)我国の深山幽谷雪の深

事はかりしるべからず。天保五年は我国近年の大雪なりしゆゑ、右の話し誣(し)

ふべからず(おおげさではない)。≫

 

 この高さは人が住んでいるところで、≪雪の下る毎に用意したる所の雪を尺

をもって量(はか)りしに≫というわけですから、「誣ふべからず」なのです。

ですから、加賀の国から来た飛脚が高田にきて、「この下に高田あり」という高

札をみた話もうなずけるわけです。

 この本の「面白さ」は雪の量だけではもちろんありません。

 雪に谷に落ちた村人が熊に助けられた話、雪のなか川に落ちて亡くなった女

性の幽霊の頼みによって髪の毛をすってやり、その髪の毛を橋のたもとに埋め

て毛塚をつくり供養した話、狐をとらえるに雪中に穴を掘り底に餌を置く、穴の周

りにも餌を播きおけば狐はつられて穴の餌を食いに頭を入れ食う、食い終わって

出ようとしても穴が小さくつくってあるため出られず、

≪雪は深夜にしたがひてますますこほり、かれがちからには穴はやぶる事もならず、

~これを見て水をくみきたりてあなに入るゝ、狐は尾を振はして水にくるしむ。人は

辺りにありてかれ将に死せんとする時かならず屁をひるを避る。狐尾をうごかさゞる

を見て溺れ死たるを知り、尾をとり大根を抜くがごとく狐を得る。≫

 

 ざっと見ただけでもこんな話が拾い読み出来るのですから、これは宝島の宝石箱

というべきでしょう。