《ひまわり》もだが、ゴッホの静物画が好きだ。やはりオランダ静物画の伝統を背負った画家なのだなぁと思う時がある。
で、葡萄繋がりの「秋の味覚」と言うことで...
フィンセント・ファン・ゴッホ《葡萄、檸檬、梨、林檎》(1887年)シカゴ美術館
https://www.artic.edu/artworks/64957/grapes-lemons-pears-and-apples
葡萄を中心とした磁場がもの凄い(笑)。ゴッホらしい線描筆致なのだが、ブルームを纏った葡萄が実に美味しそうで、ああ上手いなぁ!と思う。オランダ静物画の伝統が低音としてしっかりと効いているような気がした。
林檎はセザンヌ風なのがご愛嬌だけど、檸檬の黄色と葡萄の紫、林檎の赤と西洋梨の緑、補色が効果的だ。ちょっとゴーギャンを想起させるものがあるが、檸檬の黄色なんてまさしくゴッホの黄色なのだ。ゴッホ独特の色彩感覚って本当に素晴らしいよね。
ちなみに、シカゴ美術館はゴッホの《自画像》も所蔵している。《葡萄、檸檬、梨、林檎》と同年に描かれており、背景の細かな点描が印象的である。
フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》(1887年)シカゴ美術館
https://nocache.www.artic.edu/artworks/80607/self-portrait
「ゴッホのスタイルの特徴となったその密集した筆使いは、ジョルジュ・スーラ《グランドジャット島の日曜の午後》の革命的な点描的なテクニックに対するアーティストの反応を反映しています。」(シカゴ美術館サイト)
※ご参考:この自画像は、2022年開催予定のコートールド美術館「Van Gogh Self-Portraits」展(会期:2022年2月3日〜5月8日)にも出展予定だ。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/24372
さて、ということで、シカゴ美術館にはそのスーラ《グランドジャット島の日曜の午後》もあるのだった(笑)。
ジョルジュ・スーラ《グランドジャット島の日曜の午後》(1884/86年)シカゴ美術館
https://www.artic.edu/artworks/27992/a-sunday-on-la-grande-jatte-1884
画面がぼやけているが(汗)、《グランドジャット島の日曜の午後》に接近して撮影した写真の一部だ。細かな色彩の点描を興味深く見ることができる。
ちなみに、現在、東京都美術館でクレーラー=ミューラー美術館所蔵を中心とした「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」が開催されている。
・期間:2021年9月18日(土)~12月12日(日)
・場所:東京都美術館
・公式サイト: https://gogh-2021.jp/index.html
公式サイトにサクッと目を通してみると、《麦わら帽子のある静物》にもオランダの静物画らしさが滲み出ているような気がした。
フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽子のある静物》(1881年)クレラー=ミュラー美術館
やはりゴッホはオランダの画家なのだよなぁ、とつくづく思うのだった。