毎年、この時期になると、読み返したくなる本がある。
庄司薫さんの「薫クン」シリーズだ。
必ず第1作の「赤頭巾ちゃん気をつけて」から順番に再読していく。
今回読んでいて、あらためて小説の中の<時制>を思った。
大学紛争で、東大が入試を中止した年の話だから、1969年だ。
薫クンは日比谷高校の3年年生だが、東大入試が中止なら京大とか一橋大とか、そういう問題ではなく、大学に行く(受験する)のをやめようと決める。
で、その決意を幼ともだちの由美(かなりキュートだ)に伝えようとする。
しかも、物語の中の「今日」、2月9日のうちに伝えたいと思うのだ。
薫クンによれば、「国立大学の願書は十日まで受付ける」からだ。
ふーん、そうかあ、1969年2月9日だったのかあ、とヘンに感慨深い私(笑)。
わが家の息子が、ちょうど高3の春休みで、この時の薫クンと同年齢になったということもある。
それと、あらためて計算するまでもなく、薫クンと私は4歳違うだけなんだなあ、と。
もちろん薫クンのほうがお兄さんだから、すでに定年を迎えてから数年経っているわけで。
「薫クン、今、どうしているんだろう」と、またまた感慨深い私。
まさか、「そば打ち」はやってないよな、とは思うのですが(笑)。
えーと、今週の「読んで、書評を書いた本」は、以下の通りです。
高村 薫『冷血』上・下 毎日新聞社
窪島誠一郎『父 水上勉』 白水社
相倉久人 『至高の日本ジャズ全史』 集英社新書
宍戸 錠 『シシド完結編~小説・日活撮影所』角川書店
佐野 洋 『推理日記FINAL』講談社
和田静香 『評伝・湯川れい子 音楽に恋して』 朝日新聞出版
* 上記の本の書評は、
発売中の『週刊新潮』(2月14日梅見酒特大号)
Bookworm欄に掲載されています。