碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「周年」あれこれ

2013年02月21日 | 「東京新聞」に連載したコラム

東京新聞に連載している「言いたい放談」。

今回は、記念の年としての「周年」について書きました。


今年って何周年?

今年はなぜか身近な「周年」が多い。まず、上智大学が創立百周年を迎えた。元々は四六十年前、来日したフランスシスコ・ザビエルが「日本の首都に大学を」とローマに希望したことがきっかけだ。日本初のカトリック系大学として開設されたのは一九一三(大正二)年。パリ大学に学び教授の資格を得ていたザビエルさんに感謝だ。

また今年はテレビ六十周年。私はテレビを浴びるように見て育った。大好きだった。小学生の頃、ブラウン管の前から動かない私に怒った父がテレビを持ち上げ、縁側から投げ捨てようとしたこともある。息子が将来、番組制作や放送研究の仕事に就くなど想定外だったろう。

テレビ放送開始から十年目に放送批評懇談会が誕生する。放送文化の振興と放送の発展に寄与すべく、評論家や研究者などが設立した団体だ。五十周年の今年はギャラクシー賞などの通常活動以外に、記念イベントや論文集の出版が行われる。

もう一つ。実は来週、わが家は結婚三十周年となる。どんな事業や取り組みも、立ち上げること以上に継続することが大変だといわれる。ならば称賛されるべきは私の超人的忍耐力だ。高校の同級生なので今も「碓井くん」と呼ばれ、合議・対等・役割分担が家訓である。ただ、私がどんなにテレビを見ていても決して怒ったりしないことだけはありがたい。

(東京新聞 2013.02.20)