先日、中嶋嶺雄先生が亡くなりました。
私は法学部政治学科の出身ですが、専攻は現代中国論でした。
高校生の時、日中国交回復があり、この国に興味をもったのがきっかけです。
第二外国語は中国語を履修し、中国文学者の立間祥介先生に教わったのですが、恥ずかしながらダメな学生で、中国語はものになっていません。
中国現代史の石川忠雄先生(後に慶応義塾塾長)のゼミに入りましたが、こちらも十分に学ばないまま、卒業してしまいました。
反省ばかりです。
当時、中嶋先生は新進気鋭の中国研究者であり、しかも松本深志高校の大先輩ということもあって、その著作は結構読ませていただきました。
『中国~歴史・社会・国際関係』(中公新書)は1982年の出版ですが、すでにテレビの仕事をしていた私にも、とても興味深い1冊でした。
久しぶりで再読。
「特殊なエモーションにとらわれやすい中国という対象を見つめていく場合には、両者(日本と中国)の異質性を冷静に理解することが重要な前提だといえよう」
こうした中嶋先生の指摘は、今、まさに耳を傾けるべきものと思われます。
最後にお会いしたのは数年前で、松本行きの特急あずさの中。
先生は、すでに秋田にある国際教養大学の学長を務めていらして、冗談半分に「碓井さん、秋田にいらっしゃい」とおっしゃってくれました。
「全部の授業を英語で、というのは私には無理ですよ」と笑って答えたことを思い出します。
合掌。
今週の「読んで、書評を書いた本」は、以下の通りです。
島田雅彦 『傾国子女』 文藝春秋
福田和也 『「贅」の研究』 講談社
斎藤美奈子 『名作うしろ読み』中央公論新社
コロナ・ブックス編集部 『作家の犬2』 平凡社
杉田 敦 『政治的思考』 岩波新書
* 上記の本の書評は、
発売中の『週刊新潮』(2月28日号)
Bookworm欄に掲載されています。
