碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

ドラマ「時計屋の娘」の沢尻エリカ

2013年11月19日 | テレビ・ラジオ・メディア

芸術祭参加ドラマ「時計屋の娘」(TBS)を見ました。

脚本は池端俊策さん、主演女優は沢尻エリカさんです。


2012年4月30日に放送したドラマ特別企画 『悪女について』 のプロデューサー・八木康夫、脚本家・池端俊策、主演女優・沢尻エリカが再び集結し、新しいドラマに挑む。今作は地方にある時計屋を舞台に、時計職人・秋山守一(國村隼)とその前に突然現れた若い娘・宮原リョウ(沢尻エリカ)との心の交流を描く。

リョウはかつての秋山の恋人の娘だといい、二人が本当の父娘なのかという謎を残しつつ、次第に心を通わせていく。また、物語が進みながら若き日の秋山とリョウの母親・知花子との恋の行方も明らかに。二人の出会いと別れが切なく綴られていく。

秋山が生活する町内と、リョウが母親と暮らしていた石巻、両方の土地にそれぞれ聳える欅の木が、人々の心の支えになっている。二本の欅が優しく人々を見守り、登場人物たちの希望と復興の象徴として印象深く描かれる。



・・・・物語全体は、震災がらみということもあり、予想通りの「いい
お話」でした。

國村隼さんも、予想通りの渋さで、拍手です。






そして、注目の沢尻エリカさん。

こちらは、予想以上によかったです。



ヒロインのリョウは、ごくフツーに「いい娘(こ)」であり、それを沢尻さんは自然に、ケレン味なく演じていました。

変にとんがった役柄じゃないことが功を奏した感じです。

しばらく、この路線がいいですね(笑)。

久しぶりで、沢尻さんが好演した映画「クローズド・ノート」を思い出しました。

池端俊策さんの、ベテランらしい丁寧な脚本は、登場した「時計」と同様に、「女優・沢尻エリカ」の“修理”も目指したのかもしれません(笑)。

沢尻さん、大事なのはこれから、でしょう。







日刊ゲンダイで、再来年の「大河ドラマ」についてコメント

2013年11月19日 | メディアでのコメント・論評

来年のことを言うと、鬼が笑うんでしたね。

じゃあ、再来年だと、どうなるのか。

2015年のNHK大河が話題に・・・・


再来年の大河ドラマは「吉田松陰の妹」!?
安倍カラーに染まるNHK 

再来年のNHK大河は「吉田松陰の3姉妹」に決定――。先週末、一部スポーツ紙がこう報じた。

現在放送中の「八重の桜」は幕末から明治初期を描き、そのバトンを引き継ぐ「軍師官兵衛」は戦国もの。幕末、戦国ともに大河ドラマでは十八番の時代設定だが、ひとつ置いてまた幕末である。

「15年の大河はキムタク主演で織田信長を描く『信長燃ゆ』や冲方丁原作の『光圀伝』が有力候補といわれていただけに、また幕末・明治維新期の女性が主人公とは驚きました」(TV誌関係者)

長州の思想家で明治維新の精神的指導者として知られる吉田松陰。今作でスポットライトが当たるのは吉田家三女で松陰の末妹にあたる人物。キャスティングはすでに井上真央で内定しており、ほかの共演者の人選も着々と進んでいるという。

これに大喜びなのが安倍首相だろう。地元山口出身の松陰を尊敬し、自身の座右の銘に、松陰の「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」という言葉を引用するほど。NHK大河でその松陰を描くというのだから、さぞご満悦のはず――。

しかし、「時期が時期だけに何かしらの“流れ”を感じる視聴者もいるかもしれません」というのは、上智大教授の碓井広義氏(メディア論)だ。

たしかに安倍首相はNHK経営委員に自身の思想に近い人物を推し、政治介入の声が巻き起こったばかり。NHK会長人事への介入も懸念されている。そんなタイミングで決まったのが吉田松陰のドラマである。NHKの安倍政権への「すり寄り」「おもねり」と取る向きも少なくないはずだ。

「中央政府の反対勢力となった会津藩を描いた『八重の桜』からひとつ置いて、また幕末が舞台の作品です。しかも明治維新の軸となる長州藩のドラマとは発想がちょっと安易な気がします。政治的文脈とは無関係であって欲しいのですが……」(碓井氏=前出)


これで脚本が同経営委員に就任した作家の百田尚樹なんてことになれば、NHKは「安倍色」に染まる。

(日刊ゲンダイ 2013.11.18)