碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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【気まぐれ写真館】 梅雨の晴れ間

2022年06月09日 | 気まぐれ写真館

2022.06.09


「ザ・タクシー飯店」主演の渋川清彦は仕事と食にこだわりを持つ男がよく似合う

2022年06月09日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

水ドラ25「ザ・タクシー飯店」テレビ東京系

主演の渋川清彦は

仕事と食にこだわりを持つ男がよく似合う

 

深夜のグルメドラマはテレビ東京のお家芸。その最新作が1日から始まった、水ドラ25「ザ・タクシー飯店」だ。

昔から「安くておいしい店はタクシードライバーに訊け」と言われている。街なかを流しながら、休憩時間に立ち寄った店で食事をする彼らは、味、値段、そして店の雰囲気にも敏感だからだ。

主人公は個人タクシーのドライバー、八巻孝太郎(渋川清彦)。クルマの運転が大好きで、毎日違う街を走ることのできる仕事を愛している。さらにもう一つ、孝太郎が偏愛するのが町中華だ。

栄えある第1話の町中華は、東京・志村坂上の「丸福」だ。偶然入ったにも関わらず、一瞬で店に馴染む感じが町中華の達人っぽい。見知らぬ客との小さな交流を楽しみ、注文した「チャーハン」と「きくらげ玉子炒め」をじっくりと堪能する。

食べながら「たまらん、おかずとチャーハンのエンドレスループ!」と心の中でつぶやくあたりは、元祖グルメドラマ「孤独のグルメ」へのオマージュか。そこに「人生は選択の連続。自分が正解と思えば正解なんだよな」といった、八巻らしい言葉が加わっていく。

渋川は在京キー局の連ドラ初主演。どこか訳あり風でいて、仕事と食にこだわりを持つ男がよく似合う。また車中での客との短いやり取りが、しっかり「人間ドラマ」になっているのも個性派俳優・渋川ならではだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2022.06.08)