碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「ピンズバNEWS」で、松下洸平さんについてコメント

2023年07月29日 | メディアでのコメント・論評

『最高の教師』の松岡茉優さん、松下洸平さん

 

 

松下洸平『最高の教師』を

評論家が徹底分析

「ひっそり咲く花」

「ただの良い夫ではない」

 

7月15日から日本テレビで放送されている松岡茉優(28)主演のドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』が早くも話題になっている。

松岡演じる「3年D組」の担当教師、九条里奈が卒業式の日に教え子の手により、校舎から突き落とされる衝撃シーンから始まる本作。地面に叩きつけられそうになった里奈が、突如1年前の始業式の日へと舞い戻り、未来の自分の姿を変えんと奮闘するという筋書きだ。

スポーツ紙記者が話す。

「主演の松岡さんは8歳の時に芸能界入り。生徒役である芦田愛菜さん(19)は2011年に放送された『マルモのおきて』(フジテレビ系)でスターへの階段を駆け上がりましたし、加藤清史郎さん(21)もトヨタのCMに“こども店長”として出演したことで世にその名を知られました。子役出身俳優が繰り広げる演技合戦もドラマの魅力の一つです」

『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)らの著書があるドラマ評論家の木俣冬さんが語る。

「子役出身の俳優さんは、芸歴が長いこともあり、役作りをしっかりとした上で撮影に臨む傾向があります。実際に第1話では、芦田さんが6分に及ぶ迫真の号泣演技を見せました。今後も3人の子役出身俳優が繰り広げる演技バトルによって物語全体が緩みのないものになるのでは」

■ドラマ評論家が注目する“隠れたキーマン” 松下洸平の演技力

その中でキーマンとなり得るのが、主演である里奈(松岡)の旦那役・蓮を演じる松下では、と木俣さんは指摘する。

「ドラマのストーリー自体は1年後に里奈(松岡)が生徒に殺される未来を変えていくという構想なんだと思います。そこに松下さん演じる蓮が、どの様に絡んでいくのか。生瀬勝久さん(62)や古田新太さん(57)といったベテラン舞台俳優が多く所属する事務所に籍を置くだけあって、松下さんも舞台出身の演技派。今作でも脇役として、加藤さんや芦田さんに負けない演技を披露するはずです」(前出の木俣さん)

松下の役者としての魅力はどこにあるのか。

「表現力が非常に高いのではないかなと思います。心地よいウィスパーボイスが魅力の松下さんですが、台詞回しは非常に聞き取りやすい。切ない目の表情など細かな演技も魅力です。21年にTBSで放送された『最愛』で吉高由里子さん(34)の相手役を演じ、人気が爆発した今、松下さんが今作で“ただの良い夫”を演じて終わるとは思えません。何か裏があるような演技に期待したい」(前同)

コラムニストでドラマ評論家の吉田潮さんは松下の演技をどう評するのか。

「困っているけど“ノー”とは言えない。そんな表情が絶妙なんです。日本テレビで放送された『トクボウ 警察庁特殊防犯課』(14年)で主人公の朝倉草平(伊原剛志)にこき使われてエプロンをつけて料理をさせられる姿なんて、しいたげられた子犬そのもの。本人が子犬顔だから余計その姿が似合うんです」

■「横にいて欲しい……」繊細な表情に視聴者がハマる可能性

その後、19年後期に放送された朝の連続テレビ小説『スカーレット』に戸田恵梨香(34)の相手役として出演したことで、松下の知名度は全国的なものとなる。その時の演技を吉田さんは「無礼がない」と振り返る。

「ヒロインである戸田さんと相思相愛になって朝からイチャつくんですが、決して俺が俺がと前に出てくる感じがしないんです。相手に敬意を持っていて、嫌味がない。その姿勢にドはまりする視聴者が続出しました。元々、セリフがない場面でも、顔の表情をキュッと絞ったり、細やかに繊細な感情を表すのが得意。スポットライトを浴びてないところで良い表情をするんです。良い意味で華がない。ひっそり咲く花ですよね」(前同)

今作での松下は、今後いかなる活躍をしていくと見ているのか。

「学園モノなのでメインになる役どころではないのでは。主人公の里奈を支えるような、現実世界でも女性が横にいて欲しいって感じる演技を披露してくれるかも。最高のサブキャストだと思います」(同)

今後の演技に期待したいと語るのはメディア文化評論家の碓井広義さんだ。

「松下さんは23年4月期に放送され、天海祐希さん(55)が主演した『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』(フジテレビ系)で披露したような、相手に寄り添った演技が魅力。だからこそ、今後はエリートサラリーマンなんだけど、裏の顔がある。そんな二面性のある悪役として主演を張るような演技に期待したいですね」

作品ごとに様々な顔を見せてくれる松下。今作ではどの様な姿を見せてくれるのか。

(双葉社「ピンズバNEWS」)