碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「視聴覚教育」の授業で、スタジオ実習

2013年11月26日 | 大学

新聞学科以外の学部・学科の学生たちが履修している「視聴覚教育」の授業。

教員免許や学芸員の資格を得るための必修科目です。

何回かのスタジオ実習を経て、グループによる映像制作へと向かいます。







43年後の「11月25日」

2013年11月25日 | 書評した本たち

日付が変わって、11月25日となりました。

今年もまた、三島由紀夫の命日がやってきたわけです。

昨年、この時期に、東京新聞に連載していたコラムで、以下のような文章を書きました。


42年後の「11月25日」

十一月二十五日は三島由紀夫の命日だった。自決したのは昭和四十五(一九七〇)年。当時私は高校一年で、意識して作品に接したのは没後からだ。

やがて三島自体に興味を持ち、毎年この日の前後に、私が“三島本”と呼ぶ関連書籍の新刊を読む。

たとえば二〇〇二年の橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』。〇五年は中条省平の編著『三島由紀夫が死んだ日』。椎根和『平凡パンチの三島由紀夫』は〇七年だ。

一〇年には多くの三島本が出て、『別冊太陽 三島由紀夫』には川端康成宛ての手紙が載った。「小生が怖れるのは死ではなくて、死後の家族の名誉です」という言葉が印象に残る。

今年は柴田勝二『三島由紀夫作品に隠された自決への道』を読んだ。「潮騒」から「豊饒の海」までを分析し、その死の意味を探っている。

だが、これを読みながら気づいた。私は三島を理解したい一方で、未知の部分を残しておきたいらしい。新たな三島本でも謎が解明されていないことに安堵しているのだ。

先日の二十五日は日曜だったが、入試があり大学に来ていた。三島が自決した正午すぎ、たまたま上階にある研究室に戻った。

窓外には四谷から飯田橋方面にかけての風景。正面に背の高い通信塔が見える。そこに位置する防衛省本省庁舎、かつての陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に向かって合掌した。

(東京新聞 2012.11.28)


・・・・43年後の今日は、昨年出版された三島由紀夫『日本人養成講座』(平凡社)を再読することにしました。

高丘卓さんの責任編集による、三島の“ひとりアンソロジー”のような本です。

巻末に置かれた「私の中の二十五年」には、有名なあの文章が含まれています。

このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではにかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機質な、からっぽの、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。




さて、今週の「読んで、書評を書いた本」は、次の通りです。

東野圭吾 『祈りの幕が下りる時』 講談社

石原千秋 『教養として読む現代文学』 朝日新聞出版

半藤一利 ・保阪正康 
『そして、メディアは日本を戦争に導いた』 東洋経済新報社

* 書いた書評は、
  発売中の『週刊新潮』(11月28日霜降月増大号)
  読書欄に掲載されています。


週刊新潮の「みのもんた」特集記事でコメント

2013年11月25日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「週刊新潮」最新号。

掲載されている特集記事『視聴者が許してくれない「みのもんた」焦燥の日々』で、コメントしています。


記事はまず、島倉千代子さんの葬儀に関する失言やその他の失言について書いています。

「あの発言はアウトだね」と語るのは、「みのもんた」という芸名の名づけ親でもある野末陳平さん。

それに続いて、私のコメントがあります。

野末陳平氏がそう指摘すれば、上智大学の碓井広義教授(メディア論)も言う。

「世間から批判される言葉を発し続ける彼は、迷走というより暴走状態になっています。モノを言えば言うほど世間はみのさんから離れていくのに、モノを言わなければ忘れられてしまうと焦っている。業界に残りたいという焦燥感を越えた執着心のために、批判や炎上ですら“世間が自分を見てくれている”という錯覚に陥るのでしょうが、このままでは唯一の冠番組であるラジオ番組も、支えられなくなりますよ」


それから、ここ最近、みのさんがあちこちの雑誌に登場しているインタビュー記事に関して。

やはり、野末陳平さんの「このまま忘れられたらどうしようという焦りもあるんじゃないかな」という談話の後、私の部分になります。

一連のインタビュー記事にすべて目を通している碓井教授は、

「どこでも全く同じことを言っていますね。基本的には“息子に対する親の責任は取ったが納得はしていない”“週刊新潮をはじめとする活字の力にねじ伏せられ、不本意ながらこういう状況になった”と、不満をぶちまけているだけ。どうしてこんな仕打ちを受けるのかと被害者然とするために、メディアを利用しているんです。発信する場を失うのを恐れ、何が何でも露出が必要だと考えたのでしょうが、悪あがきにすぎません」


この後、みのさんが記者の質問に答えるブロックがあり、

「相談する相手がいなかったのが、対応が後手に回った原因だと思います」と、憤懣をぶちまけながら後悔の念を吐露するみのだが、碓井教授が言う。

「みのさんは親の責任という一般論に逃げたい。そうすれば、それ以上の批判には人格攻撃だと反撃できるからですが、あのような31歳を育てた親の責任は追及されて当然です。でも、それ以前に、公共の電波を通じて世の中に白黒つけてきた、みのもんたという“公人”の責任が問われているのです」


 以下の本文がまとめになります・・・


だが、バッシングであれ、相手にされるうちが華。

「反撃する相手すらいなくなったとき、どうやって苦境を切り抜けるのか」と野末氏。

迷走の果てにたどり着く先は、深夜バラエティのピエロか、世の中から忘れ去られた老境か。

(週刊新潮 2013.11.28号)


NHKニュースが伝えた、猪瀬知事「徳洲会5000万円」問題

2013年11月24日 | テレビ・ラジオ・メディア

23日、猪瀬知事「徳洲会5000万円」問題に関して、NHKもニュースで伝えました。

新聞も含め、多くの報道が続いていますが、NHKが何を、どんなふうに言うのか、注目していました。

以下は、いわば「ニュース原稿」の全文です。

なかなか踏み込んでいますよね。


徳洲会側「猪瀬知事が1億円お願い」

東京都の猪瀬知事が去年の知事選挙の前に大手医療法人「徳洲会」グループ側から5000万円を受け取っていた問題で、関係者によりますと、徳洲会の徳田虎雄前理事長が次男の徳田毅衆議院議員から「猪瀬さんが『1億円をお願いしたい』と言っている」と伝えられ、「5000万円で対応しろ」と指示していたということです。

猪瀬知事は、初当選した去年12月の知事選挙の告示日直前に「徳洲会」グループから5000万円を受け取り、ことし9月に徳洲会が東京地検特捜部などの強制捜査を受けたあと全額を返却していました。

この経緯について猪瀬知事は、去年11月上旬に徳洲会の徳田虎雄前理事長に面会し、選挙への支援を要請したと説明しています。

関係者の話によりますと、その後、前理事長は次男の徳田毅議員から電話で「猪瀬さんが『余ったら返すのでまずは1億円をお願いしたい』と言っている」と伝えられたということです。

これに対し前理事長は「5000万円で対応しろ」「足がつかないよう議員会館で渡せ」などと指示したということです。

これを受けて徳田議員は議員会館の事務所で知事本人に直接、現金で5000万円を手渡したということです。

猪瀬知事は22日の会見で、受け取った資金は個人的な借入金だと強調したうえで、「徳洲会側から申し出があり、厚意を断るのは失礼だと考えて借りた。5000万円という額になった理由は分からない」などと説明しています。

(NHKニュース 2013.11.23)

NEWSポストセブンで、「ポストみのもんた」についてコメント

2013年11月24日 | テレビ・ラジオ・メディア

ポストみのもんた 
宮根、羽鳥、福澤、梶原らの名前が挙がる

次男の不祥事の責任をとり報道番組を降板したみのもんた(69才)。大物が抜けた穴を巡って、テレビ業界では“ポストみの”探しが始まっている。

「みのさんは年間7億円といわれるギャラもあって、TBSとしては降板してもらってひと安心という部分もあるでしょう。ただ、みのさんのように政治から経済、事件にいたるまで自分の考えをはっきり言うことができ、さらにバラエティーと両立できる人はそういない。現場では早くも“次のみのもんた”を期待する声が上がっています」(テレビ局関係者)

みのは、これまで『みのもんたの朝ズバッ!』『みのもんたのサタデーずばッと』に出演。そのタイトル通り、政治家などに対してもズバっとモノを言うスタイルが受けてきた。一方で『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)などのバラエティー番組では、軽快なテンポで番組を盛り上げている。この路線を継承できる司会者は他にいるのだろうか?

「さすがにみのさんとまったく同じ路線は難しいでしょうけれど、フリーアナで報道からバラエティーまで幅広くこなせる人は今、注目が集まっています。福澤朗さん(50才)、羽鳥慎一さん(42才)は硬軟どちらでもこなせるタイプで、あまりクセがないのでいろんな番組に起用しやすいですね」(バラエティー番組スタッフ)

元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏は羽鳥を推す。

「若さもあるし、福澤さんほど報道色が強くないので、バラエティーに出ても違和感がない。それに朝の情報番組をやっていてさわやかな印象もあり、女性の支持を得やすいのではないでしょうか。みのさんも、人気のある頃は、女性からの支持がけっこうありましたからね。そういう意味では、今後、羽鳥さんの存在感は増すかもしれません」(碓井氏)

“浪速のみのもんた”と呼ばれ、関西弁を織り交ぜた軽快な司会スタイルで、関西のみならず関東でも人気が高い宮根誠司(50才)も、“ポストみの”の代表格だ。宮根は『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)、『Mr.サンデー』(フジテレビ系)といった情報番組から、多くのバラエティー番組にも出演している。

「みのさん以外で、報道にバラエティー色を出せる人は宮根さんぐらいじゃないでしょうか。関西での人気は圧倒的ですし、みのさんほどアクが強くないので、幅広い層から支持を集めやすいと思います。今回のみのさんの降板によって、長期的には宮根さんの仕事が増えるのは間違いないでしょう」(テレビ局関係者)

まだいる、と前出・碓井氏が有力候補に挙げるのは梶原しげる(53才)だ。

「梶原さんはみのさんと同じ文化放送のアナウンサーからの転身組です。ラジオ出身の人の強みは、何もなくても“しゃべり”だけで番組をつなぐことができるところです。また、梶原さんは最近では、著書も出して日本語の使い方やコミュニケーションに関する提言もしています。政治や社会など世の中のさまざまな事象に対しても、自分の考えを発信できる人なのではないかと思います」(碓井氏)


みのショックはテレビ界にまだまだ広がっているのだ。

(NEWSポストセブン 2013.11.23 )


この週末、本学は「入試」

2013年11月24日 | 大学

土曜、日曜と、公募推薦などの「入試」を実施中。

我が新聞学科では、筆記試験と面接の両方を行っており、終日、
受験生たちと真剣に向き合っています。







アエラで、テレビの「動物虐待」についてコメント

2013年11月23日 | メディアでのコメント・論評

「演出」で「虐待」する
テレビの「動物虐待」体質

猿の首に釣り糸を巻きつけて無線操縦車につなぎ、引っ張り回すことで、追いかけているように見せる──。

フジテレビは11月1日、そんな「演出」をしたバラエティー番組「ほこ×たて」の放送終了を発表した。同社にとっては、演出によって真剣勝負への信頼性を損なったことが致命的だったという。だが番組制作のために動物へ虐待行為をしたことこそ、より大きな問題ではないだろうか。

 動物保護法に違反か

動物愛護法はこう定めている。「動物が命あるものであることにかんがみ(中略)苦しめることのないように」適正に取り扱うようにしなければならない(2条)。「愛護動物をみだりに傷つけた者」は2年以下の懲役か200万円以下の罰金に処する(44条)。今回の「演出」は、同法違反に問われかねない「事件」だったのだ。

テレビ局によるずさんな動物の取り扱いは少なくない。例えばNHKは2年前の「爆笑問題のニッポンの教養」で、ハムスターを箱に入れて絶叫系マシンにのせ落下させる「実験」をした。NHK広報局はこの実験は「専門家の指導の上で、問題がないことを確認した」とする。だが国際的に提唱されている動物実験の三原則(苦痛軽減、代替法活用、使用数削減)に照らせば、あえてハムスターを使う必要があるとは考えにくい。

日本テレビの「天才!志村どうぶつ園」には、タレントが野生動物を屋内で飼育したり、「生まれたばかりの子犬」をスタジオに登場させたり、動物の生態への配慮に欠けた企画が散見される。

 いい絵、視聴率のため

このような状況はなぜ生まれるのか。動物番組の内情にくわしい業界関係者はこう話す。「視聴率のためです」

動物のありのままを伝えるまじめな内容よりも、犬の赤ちゃんをスタジオに連れてきてタレントがキャーキャー言いながら抱き上げるほうが、ヒット企画としてもてはやされるという。

「撮影の現場では、出演タレントにも見せられないような暴力が動物に振るわれることもありますが、動物を思い通りに動かすためには黙認される。下請け会社のディレクターは『いい絵』を作らないと死活問題。テレビ局の社員は視聴率が出世につながる。そういう構図のなかで、動物にしわ寄せがいく」

米国には、あらゆる映像メディアでの動物の取り扱いを監視するAHAという非営利祖ぞきがある。英国には映画やビデオの撮影に動物を使う際の規制法がある。日本では、民放連の放送基準とNHKの番組基準に動物に関する文言はない。

本誌は在京キー局に、動物を扱う際の内規等の有無を尋ねた。NHKとフジテレビ以外にはあった。それでも、動物への「虐待」はなくならない。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は言う。

「いまや人間に対してむちゃなことはできないが、もの言わぬ動物に対しては無理を強いる風潮が根強く残っている。作り手の都合で動物を好き勝手に扱うことは、もうやめるべきだ」


(アエラ 2013.11.25号 編集部・太田匡彦)


「金曜オトナイト」で、作家の山口恵以子さんと

2013年11月23日 | 金曜オトナイト


11月22日(金)夜10時54分
BSジャパン 「大竹まことの金曜オトナイト」


ゲストは、「月下上海」で松本清張賞を受賞した、作家の山口恵以子(えいこ)さんでした。

「月下上海」は面白い歴史サスペンス小説。

「スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子は、戦時統制下の日本を離れ、上海に渡った。謀略渦巻く魔都・上海で、多江子は憲兵大尉・槇庸平、民族資本家・夏方震など、いわくつきの男たちと出会う」

舞台となる戦時下の“魔都”上海の雰囲気が素晴らしい。

そんな山口さんは、作家となった今も、自称「社員食堂のおばちゃん」の仕事を続けています。

43回のお見合いを経て、現在も独身の55歳。

ざっくばらんなお話が楽しかったです。

























今週の「繁田美貴アナ」

サンデー毎日で、「ごちそうさん」の魅力を解説

2013年11月22日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「サンデー毎日」最新号に、朝ドラ「ごちそうさん」の特集記事が掲載されました。

確かに10月のスタート時からの好調が今も持続しています。

記事の中で、この「ごちそうさん」の魅力について解説しました。


「あまちゃん」超えの視聴率
NHK朝ドラ「ごちそうさん」が好調なワケ
ヒロイン杏をいびり倒す
小姑・キムラ緑子の味わい

NHKの朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」はなぜ、これほど好調
なのか。

上智大学文学部の碓井広義教授(メディア論)が言う。

「幼少期から描く女性の一代記という意味では、朝ドラの王道です。ただ、ヒロインのめ以子は恐らくプロの料理人になるのではなく、家庭で料理を作り続けるでしょう。そして、登場する食べ物がまたいい。特別なものではなく、オムレツや納豆、おにぎりなど、身近なものにスポットを当てているのが親しみやすいですね」


確かにこれまでのヒロインは、医師や弁護士、教師などが多かった。しかし今回は、一般庶民の日常生活を取り入れて丁寧に描いている。そこが、視聴者に安心感をもたらしているようだ。

前作の「あまちゃん」にはスピード感があって、一秒たりとも見逃せないジェットコースター的な面白さがあった。ところが今回は、従来のテンポに戻り落ち着いて見ることができる。あまちゃんを見慣れた視聴者にとっては、本来の朝ドラのリズム感に戻ってちょうどいいリハビリになっている。これも好調の要因だろう。

多くの人が興味を持つ食べ物に焦点を当てて共感を得ている中で、もう一つ注目すべき点があると、前出の碓井教授は指摘する。

「それは嫁いびりです。嫁いびりは視聴者、特に女性に受けるドラマの定番でしたが、最近はあまりなかった。だからこそ逆に新鮮に感じます。しかも、現代的ないびりだと悲愴感がありますが、ドラマは大正・昭和初期が舞台なので、余裕を持って見ることができるのもいいですね」


こんな印象的ないびりのシーンがあった。嫁であるヒロインのめ以子が小姑の和枝に、こう宣言される。

「女中だ!」
「まだ女中なんだ、嫁じゃない」

いかにも昔のきついいびりである。

しかし、お膳をひっくり返されても、拾ってご飯を食べてしまうめ以子もたくましい。家財道具を実家に送り返されそうになっても、まったく動じることがない。

「あの時代に、これほど逞しい女性は珍しかったでしょうから、ほどよく現代的な要素を取り込んでいる。実にうまい設定です」(前出の碓井教授)


コラムニストの桧山珠美さんも、こう見ている。
「視聴者は『あの姑は本当にひどい』と思うより、むしろ面白がっている。時々やり返したり、旦那や幼馴染の源ちゃんに愚痴ったりして、ストレスをまったくため込んでいません。そこが痛快です」

その小姑の役を演じ、はっきりとモノを言う迫真の演技を見せているキムラ緑子(52)とは、どんな女優なのだろう。桧山さんが解説する。

「2010年に解散した『M.O.P.』という劇団の看板女優でした。そこで脚本や演出を担当していたマキノノゾムさんが夫です。テレビや映画でも四半世紀以上にわたって活躍しています。親は教師で、幼少期から厳格な家庭に育ち、同志社女子大を卒業後は塾の講師をしていましたが、大学時代に始めた演劇から離れることができず、本格的に女優を目指した方です」

つかこうへいとも親交があり、1984年に上京し、『M.O.P.』の旗揚げに参加。舞台のほか、関西のテレビ番組を中心に活動していたが、日本テレビ「雲の階段」、TBS「池袋ウエストゲートパーク」、テレビ朝日「ドクターX」などにも出演している。さらに「極道の妻たち」や「感染列島」など、多くの銀幕にも出ている。

「かつて井上ひさしさんの舞台に出て評判になり、最近ではTBSのドラマ「黒の女教師」で、クレームをつけるPTA会長役が印象に残っています。モノをはっきりと言う役どころが多いですね。こういう役は、確かな演技力の裏付けがないとなかなかできません。それだけに、実力派女優の一人といえるでしょう」(前出の桧山さん)

実は、キムラは朝ドラの常連でもある。02年には夫のマキノが脚本を担当した「まんてん」に出演した後、06年「純情きらり」、07年「ちりとてちん」などで脇を固めている。

名脇役ともいえるキムラの演技を、前出の碓井教授は評価する。

「私が印象に残っているのは、映画の『パッチギ』です。笑っているときは実にいい笑顔なんですが、物静かなシーンだと非常に凛々(りり)しい。もっと言うと、凛(りん)とし過ぎていて怖いくらいに感じてしまうことがあります。キムラさんにしかできない独特のオーラを醸し出していました。『ごちそうさん』の演技は、はまっていますね」


「いびり」が不快さにつながらない

そんなキムラだが、11月11日にNHKの「スタジオパークからこんにちは」に出演し、話題を呼んでいる「いびり」について言及し、次のような発言をしている。

「いびりシーンは、初めは戸惑いがありました。でも次第に役にのめり込んでいって、本当にご飯粒を口から飛ばしながら演じていました。今ではそれが、快感のような感じになってきています(笑)」

視聴者はキムラの演技を、自分に置き換えて見ているのかもしれない。姑はニヤニヤしながら、嫁側は「がんばれ、負けるな」と自己投影し、それぞれの目線から楽しむことができるのだ。

今後の展開について、桧山さんは期待を寄せる。

「め以子の周りはいい人ばかりなので、もっともっといびりがあるといいですよね(笑)。まだ『おしん』の姑の域には達していません。『ごちそうさん』を面白くするのも和枝の”いけず”にかかっていると言っていいのでは・・・・」

今後の展開について、碓井教授もこう深読みをする。

「壁を乗り越えるのが朝ドラの王道。その壁の一つが小姑です。小姑は単に嫁が気に入らなくていびっているのではなく、嫁を鍛えるニュアンスがあるように思えて、今後に期待しています。今は試している期間で、いずれ、小姑はめ以子の師匠の一人になっていくのではないでしょうか」


いびりがあっても全く不快さを感じさせないところも、このドラマが「おいしい」理由だろう。さまざまなおいしさを味わうことができ、見終わったあとに思わず「ごちそうさん」と呟いている人が多いかもしれない。

ジャーナリスト・青柳雄介/牧野めぐみ

(サンデー毎日 2013.12.01号)


ゲストは「繁田美貴アナウンサー」

2013年11月21日 | テレビ・ラジオ・メディア
(上智大学・四谷キャンパスで)


私が担当する授業「メディアと文化(表象文化論)」。

今回は、「大竹まことの金曜オトナイト」でご一緒している、テレビ東京の繁田美貴アナウンサーに、ゲストとして来ていただきました。

いつもと逆転して、私が繁田アナに聞く形で、テレビとの関わり、アナウンサーという仕事、そしてコミュニケーションの秘訣まで。

途中、学生たちからの質問にも答えながらの公開インタビューでした。




さらに、「金曜オトナイト」の工藤里紗プロデューサー、繁田アナが出演している「週刊ニュース新書」の河村彩子ディレクター(上智大・新聞学科卒)にも登壇していただき、4人でのトークライブを展開。

報道とバラエティ、女性の職場としてのテレビ局、それぞれの就職や採用をめぐる貴重な体験談も・・・・。








学生たちには、大きな刺激、そして参考になったと思います。

繁田アナ、工藤P、河村D、ありがとうございました!





河村D、繁田アナ、工藤P

アサヒ芸能で、「みのもんた×坂東英二」についてコメント

2013年11月21日 | メディアでのコメント・論評


スキャンダル査定!「大幅ダウン」なヤツラ

みのもんた×坂東英二
老醜度3番勝負!
銭ゲバ 詭弁術 悪あがき

11月9日、文化放送の冠番組で、みのもんた(69)は島倉千代子の葬儀に触れ、死者を冒涜するかのような発言をした。

「私の復帰第一作。南青山の斎場、私のカムバックにふさわしい
舞台がそろったじゃないですか!」

さらには、「12時半ちょい前には行きます」と、メディアをたきつけるかのように参列予告までしてのけたのだ。

一方の坂東英二(73)は、会見で、みずからの「脱税問題」に触れ、
こう言い放った。

「カツラは経費で落ちるが、植毛はダメだった」

もはや老醜をさらすばかりの2人について、アサ芸世代1000人にアンケートを実施すると、ともに約8割が「引退」、もしくは「休業」すべきと答えた。

有効回答数も実に9割を超えたほどで、「みっともなさすぎです」「自分が間違っていないと確信するのは、認知症が始まっている証拠」と、いずれも厳しい意見ばかり。

思想家の内田樹氏は、老醜コンビと世間のバッシングの両方をいさ
める。

「悪いことしたほうもきちんと謝らず責任を取らずにいる。批判するほうも群れに隠れて匿名で石を投げるようなことをする。双方に節度がないという印象です」

一方、上智大学教授でメディア論の専門家である碓井広義氏はこう分析する。

「年齢的なことだけで醜いと捉えられているのではないと考えます。一般の人で年収200万円が少なくない時代、1~2時間だけ話して400万円もくれる世界がどこにありますか。駄弁を垂れ流すことで
これだけのお金をもらえる場所はテレビ以外ありえない」

そもそもテレビは、水道・ガスなどと違い、なくとも生活に困るものではない。つまり2人もまた生活必需品ではないのだ。

「謙虚にそのことを受け止めなければならないし、『俺がいなければ回らない』などと誤解している彼らを、世間は裸の王様だと感じているのだと思います。紳助さんの件もあり、おふたりとも、テレビというおいしい世界からいったん離れたら、戻るのは難しいということを良く知っているから執着している。それが醜いとみられているのだと考えます」(前出・碓井教授)


自分の立場が見えない2人

ベテランの芸能記者が語る。

「みのが自身で降板を決めたのは、カネに関する暴露報道が効いたからです。自身の豪邸や会社の資産、TBSの株を取得し、局から特別扱いされていたことなどが明らかになりました。このことで5㌔近く痩せ、憔悴しきった果てに降板を決意したのです」

一方、坂東は脱税に至った原因をこう釈明した。

「個人のカネと事務所のカネを1人の経理が管理していて、どんぶり勘定のような状態になっていました」

坂東といえば、これまで財テクを売りにした自著「金はこうして儲けるや」(主婦と生活社)で、脱税を指南する内容も記載している。

前出・芸能記者が語る。

「リーマン・ショックの時期に、坂東のギャラが高すぎることが問題になった。それを察して坂東は、「ギャラを下げたので使いやすくなりました」とファックスを送り、営業をかけて出演機会を増やしていた。

今回の休業でカネに困窮しているとの報道もあったが、実際は所有していた不動産を売却して3億円近い収入を得ている」

また、みのは自身への逆風を次男の問題が原因としてきた。前出・芸能記者が語る。

「問題の本質は女子アナへのセクハラのせいで、スポンサーが離れ、局内の不要論が過熱したことです。それをすり替えて実の息子を公然と罵倒する姿は詭弁としか思えません。

弁明会見のあとに週刊誌に出まくっていましたが、インタビューでは質問は受け付けず、自分の話だけを一方的にまくしたてて席を立つということを繰り返しています。対する坂東は、“脱税”を植毛に絡めて笑いを取り、話を矮小化しようとした」

前出・碓井教授が語る。

「2人の共通点は、自分が今どういう状況に置かれている、客観的に見る目を持てなくなっている、それを老醜と呼ぶのではないでしょうか。

昨日今日のことだけで、今回の事態が起きたわけではない。それぞれがこれまでしてきたこと、言ってきたこと、その“負の部分”を視聴者はカウントしており、反感が一気に噴出したのです」


醜くしか見えない2人の銭ゲバ、詭弁、悪あがき・・・・老醜勝負はがっぷり四つと言えそうだ。

(アサヒ芸能 2013.11.28特大号)


【気まぐれ写真館】 夕景 2013.11.19

2013年11月20日 | 気まぐれ写真館

授業「テレビ制作」、撮影進行中

2013年11月20日 | 大学







ゴールデンの3%ドラマ「夫のカノジョ」のこと

2013年11月20日 | テレビ・ラジオ・メディア

日刊ゲンダイに連載している「 TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ「夫のカノジョ」(TBS)を取り上げました。

可哀相なくらいの超低空飛行で、いつ墜落してもおかしくない状態なのですが・・・・


ドラマ「夫のカノジョ」
“生ける伝説”見るなら早く!

TBSの連ドラ「夫のカノジョ」(木曜夜9時)が、先週14日に視聴率3.1%を記録した。これはすごい。初回4.7%でスタート。第2話が4.8%、第3話は3.7%、そしてあわや2%台かというところを踏みとどまった状態だ。

もちろん裏の「ドクターX」が強いことだけが原因ではない。2人のカラダが入れ替わるという設定は映画「転校生」をはじめ、ドラマ「パパとムスメの7日間」、「山田くんと7人の魔女」など前例だらけだ。

また、入れ替わる39歳の主婦(鈴木砂羽)と20 歳のOL(川口春奈)の関係が、「妻が夫の愛人だと誤解した」だけという設定も実に弱い。そして一番の欠点は、中途半端なドタバタ劇のようなストーリーが幼稚なこと。ナレーションを子役の鈴木福くんが担当しているのも象徴的だ。

しかし、この瀕死のドラマにも「見るべきもの」はある。それは鈴木砂羽だ。ホクトの「きのこCM」で見せた“主婦のエロス”は秀逸だった。残念ながら一週間で放送打ち切りになったが、このドラマの行方によっては鈴木に「打ち切り女優」のレッテルが貼られてしまう。それはイカン。

現状でも打ち切りは十分あり得る。視聴率が2%台まで落ちたら
本当に終わるだろう。そうでなくても「ゴールデンの3%ドラマ」自体、
貴重な“生ける伝説”である。見るなら早いほうがいい。

(日刊ゲンダイ 2013.11.19)



<追記>

・・・・上記の文章を書いた後、21日に放送された第5話が3・0%だったそうです。
 

「夫のカノジョ」第5話は3・0% 
今世紀民放連ドラ最低を更新

川口春奈(18)主演のTBS系連続ドラマ「夫のカノジョ」(木曜後9・00)の第5話が21日に放送され、平均視聴率が3・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが22日、分かった。

放送枠の“木曜ドラマ9(ナイン)”は2011年10月クールから国民的ドラマシリーズ「渡る世間は鬼ばかり」の後番組として新設されたドラマ枠。3・0%は同枠で放送された作品の中で最も低い数字。また、前回の3・1%はテレビ東京を除く、今世紀以降のプライム帯(午後7~11時)で放送された民放の連続ドラマの中で最も低かった03年1月期の日本テレビの「メッセージ」(真中瞳主演)第6話、同年10月期の「ライオン先生」(竹中直人主演)最終回、12年4月期の「家族のうた」(オダギリジョー主演)第4話に並んでいたが、今回はこれをわずかながら下回った。

「夫のカノジョ」は初回4・7%、第2話4・8%、第3話3・7%、第4話は3・1%と低迷が続き、主演の川口が自身のブログや出演イベントで番組PRを猛アピール。川口のブログには激励のコメントが相次いだものの、数字は伸びなかった。5話までの平均も3・9%となり、4%を割り込んだ。同ドラマは12月12日放送の第8話で終了することも決まっている。

(スポニチ 2013.11.22)


・・・・「今世紀民放連ドラ最低」というのも、事実とはいえ(笑)、「100年に1本の・・・」みたいで凄まじいですね。



ドラマ「時計屋の娘」の沢尻エリカ

2013年11月19日 | テレビ・ラジオ・メディア

芸術祭参加ドラマ「時計屋の娘」(TBS)を見ました。

脚本は池端俊策さん、主演女優は沢尻エリカさんです。


2012年4月30日に放送したドラマ特別企画 『悪女について』 のプロデューサー・八木康夫、脚本家・池端俊策、主演女優・沢尻エリカが再び集結し、新しいドラマに挑む。今作は地方にある時計屋を舞台に、時計職人・秋山守一(國村隼)とその前に突然現れた若い娘・宮原リョウ(沢尻エリカ)との心の交流を描く。

リョウはかつての秋山の恋人の娘だといい、二人が本当の父娘なのかという謎を残しつつ、次第に心を通わせていく。また、物語が進みながら若き日の秋山とリョウの母親・知花子との恋の行方も明らかに。二人の出会いと別れが切なく綴られていく。

秋山が生活する町内と、リョウが母親と暮らしていた石巻、両方の土地にそれぞれ聳える欅の木が、人々の心の支えになっている。二本の欅が優しく人々を見守り、登場人物たちの希望と復興の象徴として印象深く描かれる。



・・・・物語全体は、震災がらみということもあり、予想通りの「いい
お話」でした。

國村隼さんも、予想通りの渋さで、拍手です。






そして、注目の沢尻エリカさん。

こちらは、予想以上によかったです。



ヒロインのリョウは、ごくフツーに「いい娘(こ)」であり、それを沢尻さんは自然に、ケレン味なく演じていました。

変にとんがった役柄じゃないことが功を奏した感じです。

しばらく、この路線がいいですね(笑)。

久しぶりで、沢尻さんが好演した映画「クローズド・ノート」を思い出しました。

池端俊策さんの、ベテランらしい丁寧な脚本は、登場した「時計」と同様に、「女優・沢尻エリカ」の“修理”も目指したのかもしれません(笑)。

沢尻さん、大事なのはこれから、でしょう。