碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 我が家に「オナガ」がやって来た

2022年06月19日 | 気まぐれ写真館

 

10羽くらいの仲間と一緒に

突然の訪問。

 

名前通りの

長いを尾を持つ

美しい姿と、

ギャーギャーという

しわがれ声のギャップが

なんだか可笑しい。

 

みんなで遊んでいるのか、

鳴きながら

さんざん飛び回った後、

小休止している1羽を

激写(懐かしい)成功!

 


【旧書回想】 2020年3月後期の書評から

2022年06月19日 | 書評した本たち

 

 

【旧書回想】

週刊新潮に寄稿した、

2020年3月後期の書評から

 

毎日新聞出版:編、和田誠:画、

『わたしのベスト3―作家が選ぶ名著名作』

毎日新聞出版 2200円

「毎日新聞」書評欄の人気コーナー、15年分である。肝心なのは選者だ。誰が、誰の、どんな作品を選ぶのか。原尞のチャンドラー。逢坂剛のハメット。太田光の太宰治も好企画だ。さらに、みうらじゅんのスキャンダル、三谷幸喜が選んだ和田誠の3冊も見逃せない。(2020.02.29発行)

 

古関正裕『君はるか―古関裕而と金子の恋』

集英社インターナショナル 1760円

4月からのNHK朝ドラは『エール』。主人公のモデルは作曲家・古関裕而と妻の金子(きんこ)である。本書は夫妻の長男によるノンフィクション・ノベル。オペラ歌手を目指す少女が書いた、一通のファンレターから始まる文通と恋は、小説より奇なる純愛物語だ。(2020.02.29発行)

 

隈 研吾『点・線・面』

岩波書店 2420円

新国立競技場の外壁は、なぜ杉の板なのか。「風通しをよくしたい」と建築家は言う。人と物、人と環境、人と人をつなぎ直すために、建築という大きなボリューム(量塊)を点・線・面へと解体するのだと。世界を巡り、過去へと遡る思考の旅。その全記録である。(2020.02.07発行)

 

藤村忠寿『笑ってる場合かヒゲ~水曜どうでしょう的思考2』

朝日新聞出版 1430円

全国区のローカル番組『水曜どうでしょう』のディレクターが、新聞に連載したコラム集だ。5夜連続放送のドラマ制作。役者として参加した劇団の舞台。マラソン大会への出場。そして『水どう』ファンとの祭り。他人と積極的に関わることで自分が見えてくるそうだ。(2020.02.28発行)

 

宇梶静江『大地よ!―アイヌの母神、宇梶静江自伝』

藤原書店 2970円

俳優・宇梶剛士の母でもある著者は、アイヌの自立と連帯を体現してきた女性だ。昭和8年北海道生まれ。23歳で中学校を卒業した。詩作と、アイヌの叙事詩を古布絵として表現する活動が現在も続く。本書では自身の軌跡は勿論、リアルなアイヌ文化を語っている。(2020.03.03発行)

 

下川耿史『性風俗50年~わたしと昭和のエロ事師たち』

筑摩書房 1980円

性風俗研究の第一人者が遭遇した傑物たちの肖像だ。SM雑誌の創生者。夫婦交換の先駆者。ゲイバー文化の開拓者。いずれも自身の嗜好をビジネスに昇華しながら一時代を築いてきた。そして、この世界を半世紀以上も取材し続ける著者もまた一人の求道者である。(2020.02.28発行)

 

加藤節雄『バーナード・リーチとリーチ工房の100年』

河出書房新社 2750円

イギリス西南端の街、セントアイヴス。リーチ工房はそこにある。フォトジャーナリストである著者が初めてこの地を訪れたのは45年前。やがてリーチへのインタビューも実現させた。美しい写真と簡潔な文章が、リーチの人物像と工房の歴史を浮き彫りにしていく。(2020.02.28発行)

 

吉田 豪『書評の星座』

集英社 2970円

著者はプロ書評家にしてプロインタビュアー。格闘技専門雑誌『紙のプロレス』に参加していた、生粋の格闘技ライターでもある。この15年間に書いた、膨大な「格闘技本」の書評をまとめた本書だが、実は著者初の「書評本」だ。裏格闘技史としても画期的な一冊。(2020.02.29発行)


【旧書回想】 2020年3月前期の書評から

2022年06月18日 | 書評した本たち

 

 

【旧書回想】

週刊新潮に寄稿した、

2020年3月前期の書評から

 

柴田元幸『ぼくは翻訳についてこう考えています』

アルク 1760円

ポール・オースターなどアメリカ現代作家の翻訳で知られる著者。過去30年の間に翻訳について書いたり話したりしたことのエッセンスが一冊になった。「翻訳は楽器の演奏と同じ」「読んだ感じがそのまま出るようにする」など、100の意見と考察が刺激的だ。(2020.01.27発行)

 

全 卓樹『銀河の片隅で科学夜話』

朝日出版社 1760円

量子力学などが専門の物理学者による科学エッセイだ。読みやすいのに、奥は深い。「真空の発見」は何をもたらしたのか。人間の自由と「確率の概念」。「多数決の理論」とグーグル検索。科学は〝秘密の花園〟であり、〝豊饒の海〟だという著者の言葉は正しい。(2020.02.10発行)

 

川田順造『人類学者の落語論』

青土社 1980円

文化人類学の泰斗と落語の組み合わせが新鮮だ。戦後の小学生時代から落語と接してきた経験は、後のアフリカ口承文化研究につながっている。著者が愛する八代目桂文楽や五代目古今亭志ん生の芸と、現地で採取された「アフリカの落語」が地続きとなる面白さ。(2020.02.20発行)

 

伊東 潤『茶聖』

幻冬舎 2090円

千利休という「茶聖」と「茶の湯」のイメージを一新させる長編歴史小説だ。秀吉が茶の湯に求めた「武士たちの荒ぶる心を鎮める」機能。利休が天下人に求めた「人々が安楽に暮らせる世」の実現。互いの領分を侵さぬはずが、やがて表と裏の均衡は崩れて・・。(2020.02.20発行)

 

片山夏子

『ふくしま原発作業員日誌―イチエフの真実、9年間の記録』

朝日新聞出版 1870円

新型コロナウイルス騒動で脇に置かれた、今年の3月11日。しかし9年が過ぎたことで、ようやく明かされる真実もある。「行ってはいけない」場所で働く人たちは、その目で何を見てきたのか。取材を続けてきた記者が伝える、終わりなき原発事故のリアル。(2020.02.28発行)

 

内田 樹『サル化する世界』

文藝春秋 1650円

著者によれば、為政者から市民までを支配する気分は「今さえよければ、自分さえよければ、それでいい」。つまり「朝三暮四」の論理だ。ポピュリズム、憲法改正、貧困など多様なテーマを論じる本書。正しい書名は「サル化する日本と日本人」かもしれない。(2020.02.28発行)

 

橋爪紳也『大阪万博の戦後史―EXPO'70から2025年万博へ』

創元社 1760円

大阪を舞台とする「現代史読み物」であり、軸となるのは昭和45年の大阪万博だ。万博以前、万博そのもの、そして万博後と、編年体の通史になっている。中でも万博主要パビリオンの解説は圧巻。世紀のイベントが大阪という街にもたらしたものは何だったのか。(2020.02.20発行)


フライデーで、「女優・三浦透子」について解説

2022年06月17日 | メディアでのコメント・論評

 

前田敦子&三浦透子

元人気アイドルとオスカー女優

最強タッグの現場は意外に和気あいあい

 

5月8日のお昼ごろ、浅草の商店街にある喫茶店の前に撮影クルーが大挙していた。店内から姿を現したのは、女優の前田敦子 (30)と三浦透子 (25) 。どうやら映画の撮影のようだ。

店の前で三浦が手を振り、それを前田が何度も振り返りながら歩いて行くシーンらしい。赤灯を持ったスタッフがピッタリと前田に寄り添っていたものの、撮影は和(なご)やかな空気の中で進行する。テイク3で店前のシーンを撮り終えると再び店内に場所を移し、撮影は夜まで続いた。

『AKB48』の初代センターから、映画女優へすっかりステップアップした前田と、映画『ドライブ・マイ・カー』で一躍オスカー女優に上り詰めた三浦。とくに三浦の勢いは凄まじく、NHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』に大河『鎌倉殿の13人』と立て続けに出演、若手演技派女優の最右翼として気を吐いている。

異なるキャリアを歩んできた二人だが、現場は終始和気あいあいとした雰囲気で、息もピッタリそうだ。

メディア文化評論家の碓井広義(うすいひろよし)氏は次のように語る。

「三浦さんは、『ドライブ・マイ・カー』での役がまさにそうなのですが、口数が少なくぶっきらぼうでいて、相手役との距離の取り方が絶妙。これは役柄もさることながら、彼女の女優としての天性のものです。だから目立たないのに、どこか気になってしまう。まったく違うタイプである前田さんと本気でぶつかり合ったときの”化学反応”が楽しみです」

(『FRIDAY』2022年6月17日号より)


言葉の備忘録289 文体は・・・

2022年06月17日 | 言葉の備忘録

 

 

 

文体は人生である!

 

 

「本の雑誌」特集 2022年3月号

 


【書評した本】 津堅信之『日本アニメ史~手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年』

2022年06月16日 | 書評した本たち

 

 

国産アニメの100年をコンパクトに俯瞰する

津堅信之

『日本アニメ史手塚治虫、宮崎駿、

 庵野秀明、新海誠らの100年

中公新書 1034円

 

津堅信之は『新版アニメーション学入門』『新海誠の世界を旅する』などを著してきたアニメーション研究家だ。

造詣の深さと明快な語り口は、新著『日本アニメ史~手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年』でも存分に生かされている。コンパクトでありながら、進化の軌跡を的確に把握できるのだ。

黎明期である大正時代から戦前・戦後までの流れも興味深いが、手塚治虫の『鉄腕アトム』(1963年)に始まる重要作品列伝が実に熱い。

『機動戦士ガンダム』(79年)、『風の谷のナウシカ』(84年)、そして『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)などだ。

著者はこれらの作品の何が新しく、時代の壁をどう打ち破ったのかを指摘していく。

たとえば宮崎駿の『ナウシカ』は、現代的かつ社会性の強いストーリーで世界を驚かせた。

また庵野秀明の『エヴァ』は、テレビアニメから年少の視聴者を切り離してブームを作り、アニメビジネスの形態まで変えてしまった。

さらに、『君の名は。』(2016年)などの新海誠にも注目する。特色は人物よりも圧倒的な風景描写で物語を牽引することだ。

一方で、人物はモノローグ(独白)で心の動きや変化を伝えていく。その合わせ技に独創性があった。

著者によれば、『エヴァ』以降の四半世紀は「日本のアニメの方向性を根本的に変えるような事象は起きていない」。

だからこそ、未知なる作品への期待が高まってくるのだ。

(週刊新潮 2022.06.09号)


「満天☆青空レストラン」ゲストを自然体にする宮川大輔

2022年06月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「満天☆青空レストラン」(日本テレビ系)

ゲストを自然体にしてしまう宮川の手腕

 

2009年に放送開始の「満天☆青空レストラン」(日本テレビ系)は、今や堂々の長寿番組だ。

司会の宮川大輔とゲストが全国各地を訪れ、地元の食材生産者と、その食材を使った料理を紹介していく。何より「食材」という一見地味なテーマを大切にしてきたことが長寿に繋がっている。

最近だと、大友花恋が鹿児島県の霧島で「旨だし酢」に驚き、浜口京子が小田原の「下中たまねぎ」にかじりついていた。中でも出色だったのが、玉木宏の所沢編だ。

聞けば、所沢は小麦の名産地。「麺」は地域のソウルフードだという。訪問したのは300種類の生麺を扱う製麺所だ。ここで玉木は見学するだけでなく、中華麺やうどん作りにも挑戦する。

その上で、製麺所の麺を使った「肉汁うどん」や「醤油焼きそば」をいただくのだが、玉木の食べっぷりが実に気持ちいい。人柄の良さだろう。仕事というより、好きな麺を心から味わっていることが伝わってくるのだ。

毎回、こんなふうにゲストを自然体にしてしまうのは、宮川の手腕だ。「うまい!」の雄たけびは賑やかなのに、自分を押し出し過ぎず、ゲストがリラックスできるよう常にフォローしている。

番組の締めは「本日の乾杯メニュー」のコーナー。地元ラーメン店が作った「ところざわ醤油生姜ラーメン」を前に、みんなで乾杯する生ビールが何ともうまそうだった。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2022.06.15)


一周回って面白くなってきた、『ちむどんどん』に期待感

2022年06月14日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

 

一周回って面白くなってきた、

朝ドラ『ちむどんどん』に期待感

 

朝ドラ『ちむどんどん』が、一周回った感じで、面白くなってきました。
 
レストランのオーナー、大城房子(原田美枝子)の命令で、「新聞社」や「おでんの屋台」に“臨時出向”したことが大きいですね。
 
これまで、非常識や無知を恥じないままのように見えた、ヒロインの暢子(黒島結菜)。それが、ここに来て、ぐーんと成長したのです。
 
何より「他者から学ぶこと」の大切さを知ったおかげで、これまでもどかしかった、唯我独尊の部分が少しづつ解消されてきました。
 
特に、屋台での体験は、料理人としての今後を変えるはずです。
 
基本が大切であること。また、自分のエゴを主張するのではなく、食べてくれる人たちを思いやりながら料理を作ること。
 
当たり前でありながら、実はとても大事なことに、ようやく気づけた暢子。
 
しかも頭で理解したというより、体験して納得できたことを喜びたいです。
 
それに、いい言葉が、いくつも出てきましたね。
 
幼馴染の新聞記者、青柳和彦(宮沢氷魚)のアドバイス。
 
「もっと地味で、新鮮味はなくても、大切なものがきっとあるはずだよ」
 
沖縄県人会の会長、平良三郎(片岡鶴太郎)は言いました。
 
「迷子になったときは、一回入り口に戻る。それが人生の基本だ」
 
そして亡き父・賢三(大森南朋)は、少女だった暢子と共に料理を作りながら、教えてくれました。
 
「あせらず、じっくり、丁寧に。基本のだしは、当たり前で地味だけど、それが一番大事」
 
いたずらに新規性を追うのではなく、あくまでも基本を押さえた上で、新しいことに挑戦していく。
 
料理に限らず、応用の効く教訓だと思います。
 
脚本の羽原大介さんが、こうした「いいセリフ」を今後も随時、物語に差し込んでくれたら、とてもありがたい。
 
さて、トラブル生産機である兄の賢秀ですが、以前働いたことのある養豚場に戻ったようです。
 
とはいえ、このまま地道にやっていけるかどうかは不明(笑)。「紅茶豆腐」の失敗から、多少は学んでいればいいのですが。
 
全体として、暢子の成長物語の側面が補強され、共感を得られるヒロインへと、より近づいてきたことは確かです。
 
以前、どこか違和感のあったヒロインについて、コラムでこんなふうに書きました。
 
「脚本も、演技も、そして演出も、暢子というヒロインの造形は本当にこれでいいのか、少し考えてみたほうがいいのではないでしょうか」
 
2度の“武者修行”を経て、ヒロインの印象も変わってきました。まさに一周回って期待感が出てきた、『ちむどんどん』なのです。

【気まぐれ写真館】 散歩道で・・・

2022年06月14日 | 気まぐれ写真館


倉本聰『破れ星、流れた』は、笑って泣ける自伝エッセイ

2022年06月13日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

 

倉本聰の新刊『破れ星、流れた』は、

笑って泣ける自伝エッセイ

 

『北の国から』や『前略おふくろ様』など、多くの人の心に残る名作を生み出してきた脚本家、倉本聰さん。
 
80歳を過ぎて『やすらぎの郷』や『やすらぎの刻~道』を手掛けただけでなく、87歳の現在も、密かに“新作ドラマ”に挑んでいます。
 
そんな倉本さんが、これまでの半生を振り返る「自伝エッセイ」を出版しました。題して、『破れ星、流れた』(幻冬舎刊)。
 
このタイトルの元になったのは、かつて倉本さんが詠んだ、「隕石も 落とさず散った 破れ星」という俳句なのですが、実はドラマ『北の国から』とも関係しています。
 
小沼シュウ(宮沢りえ)が、恋人だった純(吉岡秀隆)に語る言葉として書いたものの、最終的には使わなかったセリフだというのです。それが……。
 
「流れ星の中にはきっと、崩れ星っていうか破れ星っていうか、流れ星になり切れないで散る、ゴミみたいな星があるって気がするの。純君、私たちって、そんなもんじゃない?」
 
シュウと純のその後を思うと、ぐっと切なくなる、いいセリフです。
 
そして、「破れ星」という言葉が、“愛すべき破天荒”ともいうべき2人の男の人生を象徴していることも、本書から伝わってくるのです。
 
それが倉本さん自身と、敬愛する亡き父・山谷太郎(やまや たろう)さんです。
 
この自伝エッセイには、「倉本聰が、倉本聰になるまで」が綴られているのですが、前半の少年時代の回想に登場する、父とのエピソードが魅力的です。
 
旧制高校時代は柔道の猛者。趣味は俳句、野鳥、気象。倉本さんの祖父が興した医学系出版社を経営しました。
 
クリスチャンでありながら、ケンカも大好き。厳しく、優しい、明治生まれの快男子でしたが、倉本さんが高校時代に52歳で亡くなってしまいます。
 
思えば、倉本さんの代表作『北の国から』は、“父と子の物語”です。
 
放送が始まった80年代初頭まで、ホームドラマといえば、“母と子の物語”が定番でした。その意味で、『北の国から』は新機軸だったのです。
 
その後も『優しい時間』や『拝啓、父上様』などで、父と子の物語が描かれてきました。
 
この本を読んでいると、もちろん、そのままではありませんが、ドラマの中の父親たちには、姿形を変えた太郎さんの“温もり”が、そっと投影されているように感じます。
 
しかも少年時代の倉本さんが、単なる優等生ではないことが何とも楽しい。
 
感性豊かな一方で、小ずるさも見せる山谷少年。それに対する、父の無言の教えがまた素晴らしい。
 
戦前から戦後にかけての大変な時代、子どもたちは何を見て、何を感じていたのか。本書は、その貴重な証言でもあります。
 
そして、迎えた青年時代。2浪しての東大入学。それからは芝居と映画と酒にのめり込む、疾風怒濤の日々。
 
まあ、よくぞこれだけと思うほどの暴れん坊ぶりです。しかしシナリオ作家への道は、すでに歩み始めていました。
 
やがて入社したのは、ラジオのニッポン放送。ラジオドラマ制作の経験が、脚本家・倉本聰に大きな影響を与えたことがよく分かる、抱腹絶倒のエピソードが並びます。
 
そう、読みながら、つい笑ってしまうことが多い。このユーモアは倉本ドラマにも通じる、本書の特徴とも言える持ち味でしょう。
 
ある家族の物語であり、秀逸な青春物語でもある本書。
 
世代を超えた読み手が、それぞれに何かを受け取ることの出来る、自伝エッセイの名作が生まれたのだと思います。
 

<ときどき記念写真> 「TBSレビュー」無事オンエア!

2022年06月12日 | テレビ・ラジオ・メディア

 

本日、

「TBSレビュー」の

特集『妻、小学生になる。』が、

無事にオンエアされました。

 

『妻、小学生になる。』の

中井芳彦プロデューサー、

キャスターの

豊田綾乃アナウンサーと

伊藤隆佑アナウンサー、

制作陣の皆さん、

そして

ご覧くださった皆さん、

ありがとうございました!

 


日曜劇場『マイファミリー』の終盤から目が離せない理由

2022年06月12日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

 

日曜劇場『マイファミリー』の終盤から

目が離せない理由

 

終盤、日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)が、一層面白くなってきました。
 
ドラマが始まった当初は予想していなかった、「誘拐」と「自力救出」の連打という展開から目が離せません。
 
冴える、オリジナル脚本
 
ざっと振り返ると……。
 
主人公の鳴沢温人(二宮和也)はオンラインゲーム会社の社長で、いわゆる富裕層です。
 
ある日、娘の友果が何者かに誘拐されます。
 
しかも温人は、友人たちの力を借りて、警察に頼らない「自力での救出」に成功します。
 
『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』などを手掛けてきた、黒岩勉さんのオリジナル脚本が、その本領を発揮するのはここからでした。
 
次に、友果の事件で力を貸してくれた弁護士の三輪(賀来賢人)の娘、優月が誘拐されてしまう。衝撃の連続誘拐です。
 
その優月もまた無事に取り戻すことが出来ましたが、今度はネットサービス企業を率いる阿久津(松本幸四郎)の娘、実咲までがさらわれます。
 
知り合い同士の娘が連続して誘拐されてきたわけで、当初から犯人は彼らと関係のある人物の可能性がありました。
 
結局、三輪と同じく温人の友人で、自分の娘を誘拐されたままの元刑事、東堂(濱田岳)が関与を告白。
 
とはいえ、彼もまた謎の「黒幕」に操られている一人でした。
 
「日曜劇場」の犯罪ドラマ
 
これまで日曜劇場では、年に1本は犯罪ドラマが放送されてきました。
 
一昨年は『テセウスの船』。昨年は『天国と地獄~サイコな2人~』が記憶に新しい。
 
どちらも最終回まで目が離せない作品でしたが、“大胆な物語構造”になっていたことでも共通しています。
 
『テセウス』では、時空を超える「タイムスリップ」。
 
『天国と地獄』では、追う者と追われる者の「人格の入れ替わり」。
 
これらを非現実的と退けるかどうかで、評価も左右される”大仕掛け”でした。
 
犯罪ドラマとしての「今日(こんにち)性」
 
さて、今期の『マイファミリー』ですが、過去2作のような”トリッキーな設定”はありません。
 
その代わりに物語を駆動させているのが、スマホというツールであり、ネットやITに関する知識と技術です。
 
加害者である犯人も、被害者である温人たちも、これらを武器にしてきました。
 
同時に、被害者側が誘拐犯と「警察抜き」で直接向き合うことを可能にしていました。
 
その意味で、極めて「今日(こんにち)的」な犯罪ドラマになっています。
 
さらに、タイトルにもあるように、キーワードが「家族」であることも、今日的と言えるでしょう。
 
ここ数年のコロナ禍の中で、私たちはそれまで当たり前の存在だった家族の大切さを思い知りました。
 
温人も三輪も、誘拐事件に遭遇したことで、自分と仕事だけでなく、あらためて家族に目を向けるようになりました。
 
手段はともかく「家族のためなら何でもする」という思いは、ドラマを見る側の中にもあるわけで、温人たちへの共感を支えています。
 
物語の行方は?
 
今後の物語の行方ですが、当然のことながら、黒幕の特定と目的の解明が最大のポイントとなります。
 
ワナに落ち、警察に身柄を拘束されてしまった温人。
 
また、これまで事件の捜査を制限されてきた刑事、葛城(玉木宏)の追撃も気になるところです。
 
果たして両者がたどり着くゴールは同じなのか。また真相はどんなものなのか。
 
注目したいのは、「マイファミリー」の「ファミリー(家族)」が、親子や夫婦という意味だけではないかもしれない、ということです。
 
最後まで油断できません。

12日(日)の「TBSレビュー」で、ドラマ「妻、小学生になる。」について話します。

2022年06月11日 | テレビ・ラジオ・メディア

伊藤アナ、豊田アナ、碓井、中井プロデューサー

 

 

「TBSレビュー」

2022年6月12日(日) 
あさ5時40分〜6時00分
 

〈特集〉

ドラマ「妻、小学生になる。」が伝えたこと

 
亡くなった妻が、
10年の時を経て小学生の姿で家族の元に現れる。
 
マンガ原作の
ドラマ「妻、小学生になる。」(1〜3月放送)は、
そのユニークな設定などが話題となりました。
 
“家族”というキーワードで、
そのメッセージを読み解きます。

〈出演〉
碓井広義さん (メディア文化評論家)
中井芳彦 (コンテンツ制作局)

〈キャスター〉
豊田綾乃(TBSアナウンスセンター)
伊藤隆佑(TBSアナウンスセンター)
 
 
<番組サイトより>

 

 


【気まぐれ写真館】 散歩道で・・・

2022年06月11日 | 気まぐれ写真館


6月12日(日)「TBSレビュー」に出演します。

2022年06月10日 | テレビ・ラジオ・メディア

TBS前で

 

 

「TBSレビュー」

2022年6月12日(日) 
あさ5時40分〜6時00分
 

〈特集〉

ドラマ「妻、小学生になる。」が伝えたこと