碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「ハヤブサ消防団」は、あくまでも「池井戸ミステリー」

2023年07月19日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

木曜ドラマ「ハヤブサ消防団」テレビ朝日系

あくまでも「池井戸ミステリー」

 

池井戸潤の小説が原作のドラマと聞けば、やはり気になる。木曜ドラマ「ハヤブサ消防団」(テレビ朝日系)のことだ。

しかも物語の舞台は銀行でも町工場でもない。山奥の小さな集落である。それでいて、あくまでも「池井戸ミステリー」なのだ。興味津々、13日の初回を見てみた。

主人公はミステリー作家の三馬太郎(中村倫也)。かつて「明智小五郎賞」受賞で注目されたが、その後はあまり売れていない。

ふとしたことから、山間部のハヤブサ地区に移住することを決意。そこには母と離婚して長年疎遠だった亡父が暮らした、古い民家があった。

ストレスも減って、執筆もはかどる太郎。最大の変化は地元の消防団に参加したことだ。工務店勤務の勘介(満島慎之介)をはじめ、団員たちとの交流も始まる。

実は、この地区では連続放火と思われる火事が頻発していた。のどかな山村での陰湿な事件。放火犯かと疑われていた男性の住民が遺体で見つかり・・・。

ゆったりした風景の中、ミステリアスな事態がいいテンポで進んでいく。また集落全体をフルに使ったロケーション映像がドラマにリアル感を与えている。

そして、クセの強い消防団の面々。生瀬勝久、梶原善、橋本じゅん、岡部たかしなどドラマ好きには堪らないキャスティングだ。

望洋としていながら観察眼が光る主人公はもちろん、彼らからも目が離せない。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.07.18)


【気まぐれ写真館】 ベランダ測候所の記録更新、42℃!

2023年07月18日 | 気まぐれ写真館

2023.07.18


【書評した本】 『誰も知らないジブリアニメの世界』

2023年07月18日 | 書評した本たち

 

岡田斗司夫『誰も知らないジブリアニメの世界』

SB新書 990円

今年7月、宮崎駿監督の新作『君たちはどう生きるか』が公開される予定だ。現時点で内容はまだ公表されていない。しかし、前作『風立ちぬ』が堀辰雄の小説を映画化したものではなかったように、今回も吉野源三郎の作品がそのまま描かれることはないはずだ。

10年ぶりの宮崎作品に期待が高まる中、予習もしくはウォーミングアップに最適な一冊が登場した。岡田斗司夫『誰も知らないジブリアニメの世界』である。

制作会社ガイナックスを設立し、『ふしぎの海のナディア』などのヒットアニメを生んだ岡田。「オタキング」の名で親しまれ、プロデューサーや評論家として活動してきた。本書では、宮崎駿がジブリで監督した長編アニメ全10作について、「場面」や「キャラクター」に込めた意図などを独自の視点で解説していく。

人間と「技術」をめぐる物語『風の谷のナウシカ』。「才能と時代との戦い」が裏テーマだったという『魔女の宅急便』。黒澤明監督『七人の侍』など往年の時代劇へのアンサーである『もののけ姫』。宮崎駿が私小説的な要素を盛り込んだ『千と千尋の神隠し』。そして『風立ちぬ』の真のモデルが、宮崎自身の父親であることも指摘する。

さらに岡田は、宮崎駿の哲学が途中で変化したことを見逃さない。「重要なのは状況を引き受ける以上に、状況のなかでいかに生きていくか」である、というシフトチェンジだ。果たして新作もまたその延長線上にあるのか、注目したい。

(週刊新潮 2023.06.08号)

 

日曜劇場「VIVANT」のスタート

2023年07月17日 | テレビ・ラジオ・メディア

 

 

驚異的な

暑さだった日曜。

 

その夜。

 

日曜劇場

「VIVANT」初回の冒頭が、

日本より

もっと暑そうな

砂漠って(笑)。

 

しかも

字幕ばかり

延々と読まされたりして。

 

豪華なキャスト。

 

今どきバブリーな

海外ロケ。

 

それにしても、

何だか

ずいぶん大きな話に

なってましたね。

 

このキャストと

福澤さんなどの制作陣なら、

普通のドラマでも

よかったんだけど(笑)。

 

このドラマで、

何を

しようとしているのか。

 

主人公たちが

日本に

帰ってからの展開を

見てみないと、

わかりません。

 

ということで、

一応

次回も

拝見してみます。

 

そうそう、

自動車会社が

スポンサーに入っているのに、

海外だからって

あんなに

クルマをクラッシュさせて

いいのかな?(笑)

 

ま、

細かなことですが。

 


【気まぐれ写真館】 ベランダ測候所で、40℃を記録!

2023年07月16日 | 気まぐれ写真館

2023.07.16


今年上半期、CMでも光っていた女性たち…のんさん、古川琴音さん、あのちゃんも

2023年07月16日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

今年上半期、

CMでも光っていた女性たち…

のんさん、古川琴音さん、あのちゃんも

 

猛暑の7月となりました。

今年1~6月の上半期、女性たちが光っていたCMを振り返ってみます。

【のんさん】諦めない生き方を、そのまま体現

この4月からNHK・BSプレミアムで『あまちゃん』が再放送されています。

ご存じのように、2013年の4月から9月にかけて放送された、朝ドラの歴史に残る名作の1本です。

ヒロインの天野アキを演じているのは、能年玲奈(現在は、のん)さん。

16歳のアキは、母の春子(小泉今日子さん)によれば「地味で、暗くて、パッとしなくて、何のとり得もない女の子」でした。

そんな引っ込み思案の少女が、やがて多くの人を元気づける「アイドル」へと成長していく物語です。

国民年金基金のCM「夢を、上乗せしよう」篇に、のんさんが登場しました。

アトリエでキャンバスと向き合い、夢中で絵筆を動かしている、のんさん。

真剣で楽しそうなその横顔に、自身によるナレーションが重なります。

「独立したあの日から、将来のことも自分で考えるんだなあって。私は一生、夢を追い続けたいんです」

『あまちゃん』から10年。様々な体験を積み重ねての今があります。

夢を諦めない。現状に満足せず、夢を上乗せしていくこと。

のんさんの生き方が、それを体現しているような気がします。

【古川琴音さん】すてきな母娘、演じ分けも見事

サントリー「ほろよい」の新作CM「ほろよいで話そ。」篇は、淡いグリーンの色調が印象的なアニメーションで始まります。

遠くに海が見える、アトリエのような一室。2人の女性が差し向かいで談笑しています。

やがて「ほろよい」で乾杯すると映像が実写に変わり、彼女たちが古川琴音さんとCharaさんであることが分かるのです。

何を話しているのだろう。とにかく楽しそうです。

「私たちって、時々親子」と琴音さん。

「時々、友だち」と続けるCharaさん。

母と娘の関係は一筋縄ではいきません。喧嘩ばかりしていても仲が悪いとは限らない。

また平穏な日々の裏で対立が深まっていたりもする。でも、この母娘は大丈夫でしょう。

バックに流れているのは、Charaさんが1997年に発表した「やさしい気持ち」のアレンジ曲。

当時、琴音さんはまだ生後6カ月でした。

そんな2人が今、画面の中で素敵な母と娘になっています。

NHK大河ドラマ『どうする家康』で目を引く、怪しい巫女との演じ分けも見事な琴音さん。

俳優としての進化の加速度が増しているようです。

【あのちゃん】未知との遭遇に、自由人もタジタジ

KDDIのau三太郎シリーズ「新人さんのあまのじゃ子」篇で、強烈なキャラクターが登場しました。

舞台は竜宮城。桃太郎(松田翔太さん)と浦島太郎(桐谷健太さん)に、乙姫(菜々緒さん)が新人のあまのじゃ子(あのちゃん)を引き合わせます。

2人は「俺たちは英雄の…」と自己紹介。

ところが、あまのじゃ子は「英雄ってそんなに偉いんですか?」と軽くいなしちゃう。

さらに「生きてるだけで偉くないですか?」と突っ込んできました。

慌てた乙姫が、「2人に会えるの楽しみにしてたのよ~」とフォローするも、「してないです」とニベもありません。

「若いね~」と苦笑いの2人に、「若いでまとめないでください!」と追い打ちをかけます。

いやはや、これは只者ではありません。

桃太郎も浦島太郎も、常識に縛られない自由人です。

そんな彼らをタジタジとさせる「新世代」の出現。

理解不能な相手を、つい「年齢」でくくろうとした、桃太郎たちの困惑が伝わってきます。

しかし未知との遭遇は、新たな世界観や価値観との出会いでもあります。

揺さぶられる自分を楽しみながら、自然体で向き合っていけばいいのではないでしょうか。

 


映画『君たちはどう生きるか』に、ちょっと困ってます(笑)。

2023年07月15日 | 映画・ビデオ・映像

 

 

宮崎駿監督の新作

『君たちはどう生きるか』を、

初日の14日に

観てきました。

 

全編、

怒濤の宮崎ワールドでしたが、

ひと言で

物語をまとめるのが

なかなか困難です。

 

というか、

「こういう映画です」と

説明するのも

やや難しい。

 

ちょっと

困惑しております。

 

前宣伝をしなかったのも、

そんな背景があるせいかも

しれません。

 

どう宣伝したら

よかったのか。

 

吉野源三郎の本

『君たちはどう生きるか』は、

思わぬ形で

登場するのですが。

 

全体を

解読するのに

少し時間が必要かもしれません。

 

いや、

ほんとに

ちょっと

困っております(笑)。

 

 


【新刊書評2023】 2月後期の書評から 

2023年07月14日 | 書評した本たち

 

 

【新刊書評2023】

週刊新潮に寄稿した

2023年2月後期の書評から

 

 

伏尾美紀『数学の女王』

講談社 1925円

乱歩賞受賞作『北緯43度のコールドケース』の続編にして受賞後第1作である。主人公は前作同様、博士号を持つ北海道警察のノンキャリア警察官、沢村依理子だ。ある日、新設された理系大学で爆弾による殺傷事件が起きる。犯人の狙いが曖昧ないまま、班長として捜査にあたる沢村。かつて自身も博士課程にまで進んだ彼女の目に、「研究者」という特異な世界に広がる闇が徐々に見えてくる。(2023.01.23発行)

 

古川真宏『エゴン・シーレ~鏡のなかの自画像』

平凡社 2420円

暴力的とも言える表現がーレの特徴だ。それは残された数多くの自画像でも変わらない。独特の線描と激しい筆致の着彩。生と性、死というテーマもそこにある。画家の自意識が映し出されている自画像。精神分析理論による解釈も含め、自画像の観点から「夭折の画家シーレ」に迫ったのが本書だ。ちなみに「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展」が、東京都美術館で4月9日まで開催されている。(2023.01.25発行)

 

武田砂鉄『父ではありませんが~第三者として考える』

集英社 1760円

著者は『紋切型社会』などで知られるライター。社会的事象を冷静な目線で語るコラムに定評がある。本書のテーマは、父親ではない人間が考える「親・子・家族」だ。子どもについて、「いない」「できない」「ほしくない」という立場からの声はなぜ上げ辛いのか。「あるべき家族の形」の呪縛。子どもに象徴される「加算されていく人生」への迷いや疑い。いわゆる「普通」とは何かを考える。(2023.01.31発行)

 

ひのまどか

『音楽家の伝記 はじめに読む一冊 バーンスタイン』

ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス 1760円

『ウエスト・サイド物語』などで知られるレナード・バーンスタイン。ベートーヴェンやモーツアルトと並んで現代の音楽家も登場する伝記シリーズだ。指揮棒を使わないことで話題となった若き日。急病のブルーノ・ワルターの代わりを務めれば、彼の動きは音楽そのものだった。一方でその指揮を嫌う批評家たちとの闘いが続いた。豊富なエピソードで甦るのは、稀代の指揮者・作曲家の実像だ。(2023.02.10発行)

 

養老孟司『ものがわかるということ』

祥伝社 1760円

「ものがわかる」とはどういうことなのか。そんな普段は考えたこともないことを考えさせてくれる一冊だ。知るとは自分が変わること。その自分は探すものではなく創るものである。他者の心を理解するには、「相手の立場だったら」と考えてみることだと著者は言う。そして「わかる」ためには意識や理性を外す必要がある。理系の知識と論理を足場にした、悠々たる禅問答のような語り口を楽しむ。(2023.02.10発行)

 

近田春夫『グループサウンズ』

文春新書 990円

エレキギターを軸にした数人編成のバンドがグループサウンズ(GS)だ。ブームは1965年から69年にかけてで、ピークは63年。ザ・スパイダース、ブルー・コメッツ、ザ・タイガース、ザ・テンプターズなどが活躍した。本書は近田春夫が語るGS論だ。どこが新しく、何がファンを熱狂させ、なぜ消えていったのか。日本のGSはザ・ビートルズに影響されたムーブメントという“定説”も覆される。(2023.02.20発行)

 


【気まぐれ写真館】 ファミマのコラボカフェ

2023年07月13日 | 気まぐれ写真館

 

ファミマで、

マシンのカフェラテを購入。

 

すると、

カップが映画とのコラボでした。

 

「IMF」とは、

トム・クルーズ主演

『ミッション:インポッシブル』シリーズに登場する

CIAの極秘諜報部隊 IMF

(Impossible Missions Force、不可能作戦部隊)。

 

シリーズ最新作は、

『ミッション:インポッシブル

 デッドレコニング PART ONE』。

 

公開は7月21日です。

 


【新刊書評2023】 2月前期の書評から 

2023年07月13日 | 書評した本たち

アルピコ交通 上高地線キャラクター、渕東(えんどう)なぎさ

 

 

【新刊書評2023】

週刊新潮に寄稿した

2023年2月前期の書評から

 

 

小林和幸:編著『東京10大学の150年史』

筑摩書房 1870円

ありそうでなかった、コンパクトな大学史だ。登場するのは筑波大、東大、慶応、立教、青山学院、学習院、法政、明治、早稲田、中央の10大学。150年の歩みと、それを記録する年史編纂について紹介されている。創設の理念や時代との関わり方の中で培われてきた校風の違い。名門校という枠では括れない個性がそこにある。さらに、比較しながら読むことで見えてくる「今後の大学像」も興味深い。(2023.01.15発行)

 

菅付雅信『写真が終わる前に』

玄光社 2200円

編集者である著者が、写真専門誌『コマーシャル・フォト』で続けた連載の6年分だ。スマートフォン1台で誰もが写真家になれる時代。その一方で高騰する、スーパースター写真家による広告&芸術写真。「両極の間に今の写真がある」と著者は言う。森山大道、杉本博司、ホンマタカシ、片山真理などの取り組みはもちろん、海外の動きも的確に論評していく。写真をめぐるジャーナリズムだ。(2023.01.25発行)

 

岡崎武志『憧れの住む東京へ』

本の雑誌社 1980円

地方から東京へ。「上京」という視点で作家と作品を解読していく文学案内。『上京する文學 漱石から春樹まで』『ここが私の東京』に続くシリーズ最新作だ。赤瀬川原平は美術学校の受験で名古屋から上京した。阿佐ヶ谷や高円寺に住み、銀座と日比谷が重要な場所となる。復員後、呉から上京してきたのは田中小実昌だ。なぜ田中はバスでの東京散策を好んだのか。作家・表現者6人の深層に迫る。(2023.01.26発行)

 

片岡義男『僕は珈琲』

光文社 1980円

『珈琲が呼ぶ』から5年。待望の最新珈琲エッセイ集である。登場するのは著者の日常を彩る〝心の風景〟としての珈琲だ。スティーヴ・マックイーンの珈琲カップと台本。植草甚一とMJBの緑色の珈琲缶。生まれて初めて珈琲牛乳を飲んだ1969年の夏。本書には喫茶店が舞台の短編小説「謎なら解いてみて」も収められている。気に入った人には珈琲をめぐる小説集『大福豆と珈琲』がお勧めだ。(2023.01.30発行)

 

文藝春秋:編『巻頭随筆 百年の百選』

文藝春秋 1980円

創刊100周年となる月刊『文藝春秋』。7000を超える「巻頭随筆」から100篇を厳選したのが本書だ。昭和の井伏鱒二や田村隆一から平成の時実新子、令和の先崎学までが並ぶ。自身の仕事、日常の気づき、趣味の話など、書き手と内容の妙に新鮮な驚きがある。また芥川龍之介「侏儒の言葉」、司馬遼太郎「この国のかたち」といった名物連載の第一回も収録。深い洞察と言葉の力に圧倒される。(2023.01.30発行)

 

マイケル・ベリー;著、竹田純子:訳

『「武漢日記」が消された日~中国から始まったある言論弾圧』

河出書房新社 2750円

武漢在住の作家・方方(ファンファン)が、2020年1月から毎日ブログにアップした「武漢日記」。自身の近況、市内の様子、感染者数や医療の状況をリアルタイムで伝えていた。それを英語に翻訳したのが著者だ。やがてブログはネットから削除され、文章をまとめた本は現在も中国で刊行されていない。作者だけでなく訳者までが攻撃された、前代未聞の顛末を克明に記録したノンフィクションだ。(2023.01.30発行)

 


NHKドラマ10「悪女について」 大健闘だった田中みな実

2023年07月12日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

NHKドラマ10「悪女について」

大健闘だった田中みな実

 

先週、NHKドラマ10「悪女について」の後編が放送され完結した。

莫大な富を築いた実業家・富小路公子(田中みな実)が、所有するビルから転落死する。自殺か他殺かも不明だ。

毀誉褒貶の激しかった公子について、生前の彼女を知る人たちが、小説家(木竜麻生)の取材を受ける形で語っていく。

ある者は「ひどい女」だと言い、ある者は「正直で真っすぐな人」だと言う。

このドラマ、注目ポイントが2つあった。

まず、有吉佐和子が45年前に書いた原作小説を、いかにして2023年のドラマにするのか。脚本・演出は山田洋二監督の薫陶を受けてきた平松恵美子だ。

平松は時代背景をバブル期から現代までに設定し、社会の仕組みや人間の感情を巧妙に操ることで成功を収めていく女性の実像に迫っていた。

どんな犠牲を払ってでも、自分が望むものを、自分の力で手に入れる。そんな公子は、確かに単純な「悪女」ではない。

次の注目点は、ドラマ初主演となる田中みな実である。

「悪女について」は過去に何度かドラマ化されている。中でも11年前のTBS版は、ヒロインが沢尻エリカだったことでも話題となった。

今回、田中は意外なほどの自然体で公子を演じている。虚実が混在する謎の人生。ある時は愛らしく、ある時は狂気さえ感じさせる多面体の女性に挑んでいた。大健闘だったと言っていい。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.07.11)


【気まぐれ写真館】 本日、40℃でした

2023年07月11日 | 気まぐれ写真館


漫画や小説の「原作」を超えて、「ドラマならではのリアル」なヒロインを生んだ佳作

2023年07月11日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

漫画や小説の「原作」を超えて、

「ドラマならではのリアル」

ヒロイン生んだ佳作

 

間もなく、夏ドラマがスタートラッシュを迎えることになります。

あらためて春クールを振り返ってみると、漫画や小説を原作とした「女性ドラマ」が目立ちました。

波瑠主演『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)、奈緒主演『あなたがしてくれなくても』(同)などです。

その中に、原作を超える魅力を持つヒロインたちがいました。

芳根京子『それってパクリじゃないですか?』

1本目は芳根京子主演『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)。

芳根さんには、なぜか「お仕事ドラマ」がよく似合います。

出世作のNHK朝ドラ『べっぴんさん』も、実在のアパレルメーカー創業者をモデルにした、一種のお仕事ものでした。

その後、『チャンネルはそのまま!』(テレビ朝日系、北海道テレビ放送制作)ではテレビ局の報道記者。

『半径5メートル』(NHK)では雑誌編集者を演じていました。

本作の舞台は飲料メーカーで、主人公の藤崎亜季(芳根)は新設の知的財産(知財)部の所属です。

たとえば「商標権の侵害」が発生します。

パクリとパロディーの違いは? 

オマージュやインスパイアは許される? 

親会社から出向してきた、弁理士の北脇雅美(重岡大毅)は知財のプロです。素人同然の亜季は彼を通じて学び、成長していきます。

それは仕事だけでなく、一人の女性として、人間としての成長でもありました。

また見る側も、知財が開発に関わった人たちの汗と涙の結晶であり、「商標」は努力の証明であることが分かっていきます。

小芝風花『波よ聞いてくれ』

2本目は、小芝風花主演『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)です。

舞台は千葉県の架空の街。

スープカレー屋で働いていた鼓田ミナレ(小芝)は地元ラジオ局の麻藤兼嗣(北村一輝)にスカウトされ、ラジオパーソナリティーとなります。

このドラマ、何よりミナレのキャラクターが際立っていました。

気合で生きているような金髪のヤンキー系。がさつで無神経なところはありますが、裏表がなくサッパリした性格です。

仕事も私生活も失敗続きなのに全くめげないのがいい。

ミナレは高速回転の口調ですが、話す内容は面白い上に聞き取りやすい。

毎回、リスナーや周囲の人たちを救っていきますが、彼女が状況を動かすというより、状況自体をぶっ壊していくタイプです。

そんなヒロインを、小芝さんが全力で体現していました。

最終回では、放送エリアで地震が発生し、大停電となります。

麻藤は、ミナレの深夜番組『波よ聞いてくれ』を朝まで続けさせます。

「おまえがいつものように、一人じゃない、大丈夫だって声を届けることに意味があるんだ」と激励する麻藤。

極めてパーソナルなメディアであるラジオの力が、ミナレを通じて発揮されていきました。

肩の力を抜いて役柄に溶け込む芳根さん。

過剰なほどの熱量で役を引き寄せる小芝さん。

それぞれの手法を駆使して、「ドラマならではのリアル」な女性像を生み出していた2人に拍手です。

 


『らんまん』妻・寿恵子(浜辺美波)の「ギャップと落差」の魅力

2023年07月10日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

『らんまん』

妻・寿恵子(浜辺美波)の

「ギャップと落差」の魅力

 

NHK連続テレビ小説『らんまん』。

先週は、植物学者としての未来が閉ざされそうで、万太郎(神木隆之介)と田邊教授(要潤)の関係にハラハラする一週間でした。

そんな中、救いとなっているのが、晴れて万太郎の妻となった寿恵子(浜辺美波)の存在でしょう。

苦労することが分かっていながら、万太郎と共に「冒険の旅」に出た寿恵子。

その思いきりの良さに感心しながら、浜辺さんの初主演作を思い出しました。

女子高生雀士の勝負勘

2016年に放送された『咲―Saki―』(毎日放送制作、TBS系)は、小林立さんの麻雀漫画が原作の連続ドラマです。

主人公の宮永咲(浜辺)は、一見ごく普通のおとなしい女子高生ですが、麻雀では誰にも負けない天才的な勝負勘と強運を発揮する女の子でした。

高校の麻雀部に入り、それぞれ個性的な仲間たちと県大会、そして全国を目指すことになります。

見どころの一つは、「四暗刻(スーアンコウ)」「嶺上開花(リンシャンカイホウ)」といった役が飛び出す、麻雀の対戦場面です。

麻雀を知っている人はもちろん、知らない人でもつい見入ってしまう、緊迫感と高揚感がありました。

しかも雀士はセーラー服の女子高生。多くの人が、このギャップにハマりました。

次に見るべき点は、麻雀という勝負を描くこのドラマが、出演者たちにとっても「勝負の場」になっていたことです。

浜辺さんは、「東宝シンデレラ」ニュージェネレーション賞の受賞者。

麻雀部員には、「SUPER☆GiRLS」のメンバーだった浅川梨奈さん。

「私立恵比寿中学」にいた廣田あいかさん。

そして元「ニコラ」専属モデルの古畑星夏さんなどがいました。

当時は皆、ライバル関係にあるメンバーです。

また他校の麻雀部にも、人気モデルの武田玲奈さんや、バラエティーでもよく見かけた山地まりさん。

さらにAKB48の元メンバーである永尾まりやさんなどが控えていました。実に、にぎやかだったのです。

女子高生たちが雀卓を囲む、異色の麻雀ドラマというだけでなく、4校20人の女子たちが競い合う、華やかなサバイバルゲームでもありました。

ギャップと落差

初主演作『咲―Saki―』から7年。

その後の『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日系)の探偵役や、『ウチの娘は、彼氏が出来ない‼』(日本テレビ系)での大学生なども、どこか「実は…」という「ギャップと落差」の特徴を持っていました。

そして今、万太郎はもちろん、誰をも和ませてしまうのが寿恵子の笑顔です。

一方で、寿恵子の中には、ここぞという時の思い切りの良さと勝負勘が潜んでいる。

今後、ギャップと落差という魅力に、ますます拍車がかかっていくはずです。


遙か南の島 2023(7) マウイ島・キヘイ散歩

2023年07月09日 | 遥か南の島 2023