碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 秋の「諏訪湖」

2023年10月19日 | 気まぐれ写真館

2023.10.18


【気まぐれ写真館】 秋の「八ヶ岳」

2023年10月19日 | 気まぐれ写真館

2023.10.18


「いちばんすきな花」生方美久の脚本に期待

2023年10月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「いちばんすきな花」(フジテレビ系)

生方美久の脚本に期待だ

 

どんなドラマにも「テーマ」がある。作り手が見る側に「訴えたいもの」だ。「いちばんすきな花」(フジテレビ系)では、「男女の間に友情は成立するか?」だという。

古くからあるテーマで、その問いへの答えも明らかだ。「成立する場合もあれば、そうでないこともある」。あくまで個別の問題であり、一般化できるものではない。

このドラマに登場するのは年齢やキャリアも異なる男女4人。塾講師の潮ゆくえ(多部未華子)、出版社で働く春木椿(松下洸平)、美容師の深雪夜々(今田美桜)、そしてイラストレーターの佐藤紅葉(神尾楓珠)だ。

彼らは共通した「生きづらさ」を抱えている。自分が「2人組」になれないことだ。昔から2人組を作るのが苦手だったゆくえ。2人組にさせてもらえなかった椿。1対1で人と向き合うのが怖かった夜々。1対1で向き合ってくれる人がいなかった紅葉。

確かに、そういう人は少なくないかもしれない。悩んできた人もいるだろう。しかし、2人組であることが、必ずしもシアワセとは限らないのもまた事実だ。その辺りを含め、本作ではどこまで描くのか。

偶然と必然が適度にブレンドされた出会いを果たした彼らが、4人という「枠」の中だけで男女間の友情探しや、2人組探しをするのではつまらない。「silent」も手掛けた、生方美久の脚本に期待するところだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.10.17)

 


【気まぐれ写真館】 「まだ暑い10月」の夕景

2023年10月17日 | 気まぐれ写真館

2023.10.17


【新刊書評2023】 6月後期の書評から 

2023年10月17日 | 書評した本たち

日本橋で見つけた、ダイキャスト・ミニチュア(えんぴつ削り)

 

 

 

【新刊書評2023】

週刊新潮に寄稿した

2023年6月後期の書評から

 

 

鈴木涼美

『「AV女優」の社会学 増補新版~なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』

青土社 2090円

10年前に刊行された、秀逸な学術論文でありルポルタージュの増補新版。この業界を内側から冷静に見つめた本書の主要テーマは、AV女優による「動機語り」である。昨年6月、AV出演被害防止・救済法が施行された。この新法をめぐる議論から抜け落ちていたのは、AVに出演する女性=当事者の「実像」と「肉声」だ。本書を読むと、彼女たちが単なる「被害者」ではないことがよく分かる。(2023.04.25発行)

 

井口貢『昭和歌謡と人文学の季節』

ナカニシヤ出版 2640円

著者は文化政策が専門の同志社大学教授。誰もが知る昭和歌謡を文化の視点から考察していく。しかも演歌やフォークソング、さらにシティポップなども歌謡曲の範疇に入れている点が特徴だ。鶴見俊輔を梃子に捉え直す、美空ひばり。「大衆芸術」としてのグループサウンズ。高石ともや、ザ・フォーク・クルセダーズと「戦争」。さだまさしの楽曲における「詩」と「詞」。人文学の醍醐味だ。(2023.05.20発行)

 

箭内道彦、河尻亨一

『ふるさとに風が吹く~福島からの発信と地域ブランディングの明日』

集英社 2420円

広告のクリエイティブ・ディレクターである箭内道彦は福島県の出身だ。東日本大震災の直後から現在まで、直接的・間接的な支援を行ってきた。本書はその活動記録であると同時に、「地域」を軸に人と社会を考える一冊だ。「ふくしまプライド。」や「来て。」などのキャンペーンはいかにして生まれ、どのように進められ、何を成果とするのか。発信を続けることによって地域の未来も見えてくる。(2023.05.30発行)

 

本の雑誌編集部:編『本屋、ひらく』

本の雑誌社 1870円

一度消えた本屋は、嘆いていても戻ってこない。ならば「自分で本屋をひらこう」と考えた人たちがいる。本書では全国各地の当事者たちが経緯と思いを語っていく。品揃えの工夫で店独自の「物語」を発信する。カフェやギャラリーを併設する。「街のゼミ室」を目指す。「対話」を織り込んだ選書サービスもある。経営の苦労も明かされるが、本屋になったことを後悔する言葉は無いのが嬉しい。(2023.05.27発行)

 

校條 剛『富士日記の人びと~武田百合子を探して』

河出書房新社 1980円

武田百合子『富士日記』は、富士山麓の山荘で夫・武田泰淳と過ごした13年間の記録。鋭い観察眼とユニークな表現が際立つ日記文学だ。今年は百合子の没後30年。武田山荘の跡近くに暮らす、元編集者の著者が彼女の実像を探っていく。「聖地巡礼」で見えてくる、富士山麓の過去と現在。日記に登場する大岡昇平夫妻や出版社の編集者、そして地元の人たち。『富士日記』を再読したくなること必至だ。(2023.05.30発行)

 

鈴木エイト『自民党の統一教会汚染2~山上徹也からの伝言』

小学館 1760円

著者は統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と20年にわたる闘いを続けてきた。この宗教団体と政治家たちの繋がりを暴き、問題を黙殺するメディアを鋭く批判する。本書は安倍晋三元首相銃撃事件の深層、そして自民党と統一教会の共存関係をめぐる最新レポートだ。加えて江川紹子、弁護士の紀藤正樹、太田光などとの対話も収録。硬軟取り混ぜた議論の中で問題解決へのヒントを提示していく。(2023.05.31発行)

 


【新刊書評2023】 6月前期の書評から 

2023年10月16日 | 書評した本たち

日本橋で見つけた、ダイキャスト・ミニチュア(えんぴつ削り)

 

 

【新刊書評2023】

週刊新潮に寄稿した

2023年6月前期の書評から

 

田中伸尚

『死刑すべからく廃すべし~114人の死刑囚の記録を残した明治の教誨師・田中一雄』

平凡社 2860円

教誨師とは服役中の囚人に過ちを悔い改めさせ、徳性を養う道を説く人だ。宗教関係者が多い。明治時代の教誨師・田中一雄は約200人もの死刑囚と向き合った。本書は彼が遺した手記を手がかりに、田中という人物の軌跡と思想を探り、死刑制度を再検証するノンフィクションだ。国家による死刑を是としなかった田中。制度の存否が議論されつつある現在、彼の葛藤と肉声には注目すべき価値がある。(2023.04.19発行)

 

清水美穂子『月の本棚 under the new moon』

書肆梓 2420円

著者はパンに関するジャーナリスト。本書は読書エッセイ集だが、食べ物についての本を取り上げているわけではない。並ぶのは著者が2018年~22年に読んだ多彩な本だ。人生は奇跡の連続だと思わせてくれる、ポール・オースター『冬の日誌』。「わたしはわたしの言葉だけに属している」と言う、ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』。どの本も読む者の心の水盤に映った、揺れる月のようだ。(2023.04.20発行)

 

齊藤倫雄&NHK取材班

激走!日本アルプス大縦断~TJAR2022 挑戦は連鎖する』

集英社 2090円

「トランスジャパンアルプスレース(TJAR)」は列島縦断の山岳耐久レースだ。行程は日本海側の富山県魚津市から太平洋側の静岡県静岡市までの約415㎞。北、中央、南という3つのアルプスを5~7日間で走破する。本書は昨年の大会を密着取材した、NHK・BS1の同名番組の書籍化だ。選手たちの思い、過酷な修行にも似た昼と夜、さらに極限の道を行く彼らの息づかいまでが伝わってくる。(2023.04.30発行)

 

白井聡、高橋毅

『ニッポンの正体~漂流を続ける日本の未来を考える』

河出書房新社 1980円

著者が出演しているユーチューブのニュース解説番組「デモクラシータイムス」。昨年2月から9月までの内容が書籍化された。日本政府が「朝鮮戦争終結」の動きに賛同しないのはなぜか。北朝鮮による「日本人拉致問題」の本質。安部元首相の「核共有議論」の意味。「非核三原則」と「米国の核の傘の下」という矛盾した国是。誰もが違和感を持ちながら流されている現実に楔を打ち込んでいく。(2023.04.30発行)

 

伊藤裕作:編著『寺山修司 母の歌、斧の歌、そして父の歌』

人間社 1980円

今年は寺山修司の没後40年にあたる。「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」。遺された歌は今も光彩を放っている。本書は風俗ライターで歌人の伊藤を含む6人が、あらためて寺山の歌を読み解こうとする試みだ。たとえば10首に登場する「斧」を、「父を斥(しりぞ)ける」道具と解釈する。さらに母の歌50首、父の歌38首。寺山と肉親との関係や確執が垣間見えてくる。(2023.05.04発行)

 

デビッド・ロス:著、大島聡子:訳

『絶対に停まらない世界の廃墟駅』

日経ナショナル ジオグラフィック 2310円

世界各地の「宮殿廃墟」や「廃墟島」などを取材した廃墟シリーズの最新刊だ。ロシアから南アフリカまでの129駅。群馬・碓氷峠の熊ノ平駅もその一つだ。海に面した高級ホテルのような米国のジャージーシティ・ターミナル。オリエント急行も到着していたが、内戦で破壊されたレバノンの旧トリポリ駅。廃墟駅を包んでいるのは憂愁だけではない。人々の記憶や温もりと共に刻まれた歴史がある。(2023.05.08発行)

 


【気まぐれ写真館】 慶應義塾大学「児童文化研究会」同期会

2023年10月15日 | 気まぐれ写真館

2023.10.14


【書評した本】 保坂正康『テロルの昭和史』

2023年10月14日 | 書評した本たち

 

 

昭和の政治テロと新しい戦前の導火線

 

保坂正康『テロルの昭和史』

講談社現代新書 1034円

 

今年の夏も戦争関連番組が何本も放送された。主に太平洋戦争を扱ったものが多く、それ以前のこの国の動きを伝える番組は意外と少なかった。

当然のことながら、戦争はいきなり起きるものではない。伏線というか、見えない導火線のようなものがあったはずだ。保阪正康『テロルの昭和史』は、そんな関心に応えてくれる一冊である。

始まりは昭和3年に関東軍高級参謀の河本大作らが中国東北部で起こした、張作霖爆殺事件だ。

その後、三月事件、十月事件、血盟団事件、五・一五事件、死のう団事件、永田鉄山刺殺事件、そして昭和11年の二・二六事件まで、8年間にわたって驚くほど多くのテロ事件が起きた。

著者は昭和の政治テロの特徴として以下の三点を挙げる。政治テロは連続して起こる。国民の多くがそれを義挙扱いする。

加えて政治家が警世演説や現状批判をしなくなるというのだ。中でも決行者が愛国者として持ち上げられる異様さを指摘する。

たとえば五・一五事件では裁判を通じて事件が正当化され、義挙であるかのように変質していった。

動機が正しければ何をしても許されるという空気であり、著者はそれを「動機至純論」と呼ぶ。決行者に私欲や打算がないことを理由に、行為が美徳へと変化する危うい思想だ。

テロは決して過去の出来事ではない。昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件。今年4月に起きた岸田文雄首相襲撃事件。テロの先にあるものこそ警戒すべきだ。

(週刊新潮 2023.09.21号)


【気まぐれ写真館】 「13日の金曜日」の夕景

2023年10月13日 | 気まぐれ写真館

2023.10.13


【気まぐれ写真館】 路線バスに乗って・・・

2023年10月13日 | 気まぐれ写真館

2023.10.12


テレ東「きのう何食べた? season2」西島秀俊と内野聖陽の“距離感”に注目

2023年10月12日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「きのう何食べた? season2」

注目したいのは彼らの「距離感」だ

 

ドラマ24「きのう何食べた? season2」がスタートした。コロナ禍をはさんで4年ぶりの復活だ。とはいえ、シンプルな設定に大きな変化はない。弁護士の筧史朗(西島秀俊)と美容師の矢吹賢二(内野聖陽)は、現在も同じ2LDKで同居生活をしている。

何より、以前と変わらない2人の暮らしぶりが、見る側をホッとさせる。ゲイを公表していない史朗は、相変わらず倹約家で料理好き。一方、ゲイであることにオープンな賢二は、今も史朗と彼の作る料理の大ファンだ。

変わったことといえば、賢二の体重の増加と史朗が通い続けたスーパーマーケットの閉店。そして史朗が2万5000円と決めていた月の食費が3万円に上がったことくらいだ。

■「コロナ後の生き方」のロールモデルに

心優しき男たちの穏やかな日常を描くこのドラマ。注目したいのは彼らの「距離感」だ。たとえば史朗は、食費を切りつめようと魚より肉を食材の中心にしてきた。それが賢二のコレステロール値を上げたに違いないと本気で謝罪する。

しかし深刻な表情で「話がある」と言われた賢二が恐れていたのは、2人の生活が壊れるような告白だった。つまり、どちらも現在の関係に安住せず、一種の緊張感を持ち続けているのだ。

心地よい距離を保ちながら、出世やお金より一緒に食卓を囲む生活を大切にする2人。「コロナ後の生き方」のロールモデルのひとつがここにある。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.10.11)


ネット観戦した王座戦で「藤井八冠」誕生! 

2023年10月11日 | 日々雑感

2023.10.11 AbemaTV 

言葉の備忘録342 道に・・・

2023年10月11日 | 言葉の備忘録

 

 

 

道に迷ったら、

より興味のある方向に

行けばいい。

興味は、

神さまがくれた

アンテナだから。

 

 

清水ミチコ

「清水ミチコリサイタルin武道館~カニカマの夕べ~」

 2023.01.02 日本武道館

 

 WOWOWライブ 2023.10.10 ON AIR


映画『イコライザー3/ THE FINAL』

2023年10月10日 | 映画・ビデオ・映像

 

『イコライザー3/ THE FINAL』

元海兵隊員で国防情報局(DIA)の凄腕の特殊工作員だった過去があるロバート・マッコール。ある日、イタリアのシチリアで負傷し、近くのアマルフィ海岸沿いの静かな田舎町で休むことになる。身内のように温かく接してくれる人々の存在に救われた彼は、この町を安住の地にしようかと気持ちが傾いていく。しかしその町にも悪意に染まった者が巣くっており、マッコールは大切な人々を守るべく動き出す。

 

映画『イコライザー3/ THE FINAL』を観ました。

大好きなシリーズで、前2作も繰り返し観ています。

「THE FINAL」ってことは、ついに終わりってことで、やはり寂しいですねえ。

とはいえ、今回もデンゼル・ワシントン演じるマッコールは、まさにマッコールらしさ全開です。

自分のためでなく、大切な誰か(たち)のため、単身で悪と戦います。

シリーズを観てきた人には、うれしいエピソードが隠されており、また初めての人も十分楽しめる1本になっていました。

デンゼルさんに感謝しつつ、大団円に拍手です。

 


【気まぐれ写真館】 日本橋「水天宮」界隈

2023年10月09日 | 気まぐれ写真館

2023.10.08