櫻井とりお、河出書房新社。
イヌガミさんの過去編2冊目。
「司書先輩と見習いのぼく」のそのまま続き。
だけど、内海さんの一件は、時系列がよく分からんな。
青柳さんも霜月さんも退職や転勤していなくなって、
いよいよ初心者ヅラもしてられない犬上さん。
でも確実に成長している。
そこにやってきた後輩くん。
図書館に馴染めない高橋くんをサポートするけど。
最後の最後まで読んでようやく決着するのはこのシリーズのパターン。
しかし、またも、ちょっとしたドンデン返し的な仕掛けがあって面白い。
今度出る新刊が最後になるのかな。
櫻井とりお、河出書房新社。
シリーズ4冊目は、過去に遡る。
へびおとこ、こと、犬上健介。
図書館に入りたての高卒18歳。若いねえ。
図書館の本を読み尽くした設定が、
新卒だけど児童書コーナーで輝く。
巻末にあるリスト、読んだことないのもいっぱいあるな。
表紙で犬上さんを囲む霜月先輩と青柳先輩はさておき、
1個上の内海さん、若かりし日はずいぶん飛ばしてたんだなあ。
図書館は、どこまで個人の事情に配慮できるか?
双子のおふちゃんとごまちゃん、勤労少年つめえり君にやんちゃ娘ちー。
おせっかいした人もいた、でも、おせっかいできる範囲は限られる。
図書館にいる間だけでも、ということかなあ。
最後のカラーは、ネタが尽きたのか、普通の挿絵に近くなってきた。
表紙のタイトル、ちょっと読みづらいね。デザインになってしまってる。
ロアルト・ダール、ハヤカワ文庫。
飛行機乗りの短編集。
ロアルト・ダールといえば、
「チャーリーとチョコレート工場」だけど、
これは、読み口は軽く、ちょっと中身は重い、戦争の物語。
サン=テグジュペリ「南方郵便機」を思い出す。
宮崎駿の「紅の豚」の私の好きなシーンは、
この中の「彼らに歳は取らせまい」そのまんまだった。
飛行中、雲の中に入って、出られなくなり、
ぽかっと抜け出た青い空間の遠くに、飛行機の群れが見えた。
死んだパイロットとクルーたち、ありとあらゆる機種の飛行機。
「人を殺す」のが仕事の飛行機乗り。
酒に酔い、狂い、怪我して生き延びた者、
死んだ息子を思い亡くなる母親、
家族を殺した飛行機に立ち向かう九歳の少女。
なかなか重かったなあ。
宮部みゆき、角川書店。
三島屋変調百物語八之続。
「賽子と蛇」
「土鍋女房」
「よって件のごとし」
日本土着の物語のアレンジとかではなさげな
とんでもない異世界と繋がる話が、1つ目と3つ目。
神様の賭場で働くことになった少年の語り。
代々渡し船の船頭をする兄が縁談を断る理由を妹が語る。
池の底で繋がる別の世界でのゾンビ退治の結末。
語り手がいるから、生還したのはわかるが、
それでもハラハラする展開が続く。
そして、おちかから引き継いだ富次郎の百物語も
一旦休止となる、というところで、了。
もう九之続が出てたから、どうなってんだろうねえ。